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イワテバイクライフ 2010年7月後半
2010年7月31日(土)
しっとり濡れて朝を迎えた街は、陽射しも無く、雨も無く、ただ蒸し暑く、表面だけは乾いた。 @岩手山麓
誰が味方で、誰が敵か。 それはね、 ゆっくり時をかけて判明するものさ。 私の道を塞いだ者が、 実は、私を正しい道へ導いていたり、 私の道を広げた者が、、 実は、私を走らせ手駒にしていたり、 そんなことが、 数え切れないほどあるのさ。 だからね、急いではいけない。 昨日や今日の出来事だけで、 結論を出してはいけない。 旅が終わった時に、 すべてが明らかになるのだから。 そうだったのかと、 思わず大地に跪くことも あるのだから。 |
2010年7月30日(金)
地を打つ雨。夜を揺さ振る雷。夜が明けても暗く、小雨断続。まるで梅雨。 @岩手山麓
本当はね、 呼吸の方法なんて、 人それぞれのはずなんだよ。 どんなリズムで、 どんな速度で、 どんな深さで、 何を呼吸するのか。 人それぞれなんだよ。 実はね、僕はね、 この日々の風を胸におさめるばかりさ。 大地の匂いを、天空の香りを吸って 僕は生きている。 もう吐き出すことのできない命なんだよ。 |
2010年7月29日(木)
朝から湿った雲が濃淡様々に流れ、夕刻には激しいスコール。真夏日には至らなかったが、蒸し暑かった。 @盛岡市
人々の助言に いちおう耳を傾け、 役に立ちそうなものだけ 選びとって自分のものとする。 そんな賢い君に助言しよう。 合理主義の小箱に 誰かの断片的な知恵を並べたところで、 所詮はコレクションさ。 ひとりの人間のひとつの教訓はね、 その人生の一部なんだよ。 すべてを受け止めずに、 ひとかけらの教訓を貰い受けても 君のものにはならないのさ。 ジグソーパズルのピースだけ見ても、 どんな眺めの断片か、わからない。 そのおさまるべき場所や意味も、わからない。 同様に, 君の人生の何処に当てはまるのかも、 わからない。 (役に立つ日は、遂に来ない) |
2010年7月28日(水)
岩手全体ほぼ真夏日。唐突な降雨もなかったが、夜になっても風は動かず、相当な不快指数。 @三陸沿岸
詮索の必要は無い。 人の正体は、 そっとしておけば、見えて来る。 狡猾な群に籠絡されていく 上っ面だけの者。 頷く者で周囲を固めていく 自尊心だけの者。 目前の地獄から目を逸らす 事なかれ主義者。 (しかし、結果はどうあれ、だ) 落胆し、嘆息してはならない。 消沈し、項垂れてはならない。 絶望し、破棄してはならない。 風景を見て大地の理を知るが如く、 風を受けて天空の気を量るが如く、 人を眺め、人に触れ、人と生きてゆけ。 |
2010年7月27日(火)
夏と秋の雲が入り乱れ、唐突な雨。短い道程なのに、濡れたり乾いたり。 @岩手山麓
人を淘汰する力を持たない場所では、 それぞれが、 己自身を厳しく判断しなくてはならない。 凡そ「先生」とは呼び難い者。 大物面で闊歩してはならぬ者。 巨匠気取りなど笑止千万の者。 御意見番の資格なんぞ無い者。 看板など出してはならない者。 それら役不足が身を引くことこそ、 良識なのだ。健全なのだ。 己が何者かを言い張るのではなく、 己の値打ちを黙々磨き、 己の本分をまっとうする者であれ。 |
2010年7月26日(月)
強烈な陽射しの盛岡を離れ、十和田湖周辺の緑陰へ。さらり乾いた風の癒し。 @十和田湖(青森県側)
湖畔のホテルのベッドで、 僕は、女スパイと息を殺していた。 スナイパーの弾丸は窓を貫通し、 電気スタンドを粉微塵にした。 彼女は落ち着いている。 無数の歯車を枕元に置き、 ピンセットで選び取る。 時限装置の部品だ。 選択の基準を訊くと 「ありきたりなもの。 どんな国でも手に入るもの」と 指先から目を離さない。 第二弾がブラインドをかすめて ブリーフケースを砕く。 僕は、シーツに顔を押し付け、 また訊いた。 「下着の選択は?」 第三弾がバスルームの鏡を割った。 シャワーが狂ったように吹き出した。 女は答えた。 「ワクワクするのがいいわ。 思い切り、スリリングな」 その言葉を合図に、 部屋の壁は蜂の巣になっていく。 西日が幾筋もベッドを刺していく。 (そんな夢を見た) |
2010年7月25日(日)
大気不安定。局地的に強い雨。北上川も増水し、ゴムボートの川下り大会も途中で中止。 @秋田県田沢湖町
苦しさや辛さを うまく塩梅して 楽しませるのは難しい。 理由のある困難や 道理のある難関に 人は挑戦したがる。 そこには、必ず、 克服のための鍵が隠されているからだ。 知恵を傾ければ開ける道があるからだ。 技を誘い引き出す間合いがあるからだ。 何となく易しいだけの問題は、 思い出にならない。 闇雲に難解だったりする問題は、 教訓を残さない。 楽しませることは、 苦しい仕業なのだ。 ※本文は、撮影された大会とは一切関係ありません。 |
2010年7月24日(土)
当たり前のように真夏日は続く。大気は不安定で、局地的な雷雨もあるが、焼け石に水だ。 @盛岡市
愚か者が、たまたま頂に立つと、 いつも、そうだ。 己の足場の誇らしさに溺れて、 転落するとか、追われるとか、 想像さえしない。 だから、本人にしてみれば、 最期は突然やって来るのさ。 あれこれ算段して、 号令を下した途端、 足場が崩れるのさ。 そんな騒ぎに 天地は顔色ひとつ変えない。 風が、すべてを運び去る。 |
2010年7月23日(金)
暦の上では「大暑」。相も変わらぬ暑さ。北国とは異質の真夏。夜も蒸し暑く・・・。 @岩手山麓
継母は 幼子に言った。 「お前は、私の子供だよ。 愛しい我が子だよ。」 やがて、幼子に養子縁組の話が持ち上がった。 継母は、涙を流して別れを悲しんだ。 「お前は、私の子供だよ。 生涯忘れはしない。」 ところが、幼子が家を出る前日になって、 縁組の話は立ち消えになった。 (理由はよくわからない) その日から 継母の凄まじい虐待が始まった。 (風の中に、そんな物語が浮かんだ。) で、その子はどうなったのかって? 継母に寄り添い、最期を看取ったのさ。 そして、ついに オートバイから降りられなかったのさ。 |
2010年7月22日(木)
一関では36度。酷暑続きで大地は寡黙。にぎやかなのは舞い狂う雲ばかり。 @八幡平(樹海ライン)
人も国も、 崖っぷちでは、 ひどく頑なで、 自尊心に拘る。 (独裁者を許す) 人も国も、 成り上がると、 ひどく乱雑で、 夢を奪い合う。 (モラルを失う) 人も国も、 落ちぶれると、 ひどく脱力し、 表情まで失う。 (羊の群を生む) |
2010年7月21日(水)
朝から陽射しの殺気が違っていた。真夏の核爆発は、大地の一切を黙らせた。 @三陸沿岸
私のことを 四六時中考えているのは、 私と、私を憎悪する者ぐらいのものだ。 (まして) 私を幸福にするための一手を 考え抜く者など、 私だけだ。 私の行方を 議題のひとつとしか見ない者は、 遥か昔の私を知るだけだ。 私の明日を 模様替えしようと動き回る者は、 書面上の私を知るだけだ。 今日の風を浴びて 未来の骨格を削り出す魂に 生涯をかけて向き合う者など、 ついに現れない。 この当たり前の事が理解できれば、 あれこれ待ちわびて落胆もしない。 |
2010年7月20日(火)
暑さもさることながら、怒濤の積乱雲が林立した。 さすがに深夜は北国の涼しさを感じたけれど。
人それぞれの未来とは、 「今日の決心」のこと なのかもしれない。 道が何処まで続くのか。 誰が現れて消えるのか。 何が大きく変わるのか。 すべては、 今日確定した私の心しだいなのだと、 わかって来た。 (明日を知ることの何という穏やかさだ) |
2010年7月19日(月)
ほぼ岩手全体、真夏日。北国の夏の異様な変質を、誰一人議題にしない不思議。 @秋田県
どれほど 好ましく美しい思いであっても 突き詰めるほどに 鋭く深く何かに突き刺さる。 やがて狂気の沙汰になる。 だから、 この世には、 掟というのか 法のようなものがあって、 その思いの息の根を止めようとする。 |
2010年7月18日(日)
岩手も梅雨明け。32度9分(盛岡)。もはや体感的には猛暑の範ちゅう。 @滝沢村
自然の懐で 力の限り競い、 爽快な汗を流し、 仲間と語り合い、 大いに笑い合い、 明日へ心を向ける。 そんな休日も、 見る者によっては、 眉をひそめる光景になる。 舌打ちの対象になる。 だから、 さり気なく、大過なく、やり抜こう。 文句のつけようもない態度で、 したたかに楽しんでしまおう。 ※本文と画像は一切関係ありません。 |
2010年7月17日(土)
内陸では、軒並み32度前後。大気惑乱。夜になって盛岡市などに大雨・洪水警報。 @岩手山麓
よかったね。 誰にもへつらわない君は、 けして評価されないよ。 だから、恩など着せられない。 よかったね。 どんな群にも属さぬ君は、 けして支持されないよ。 だから、踊る必要なんか無い。 よかったね。 裏で取り引きしない君は、 けして優遇されないよ。 だから、怯える夜なんか無い。 大丈夫。 片隅で堂々と思いのままだ。 ぶらさげるものも無い胸を 大きく張って生きていける。 |
2010年7月16日(金)
暗い雲の狭間に真夏の蒼さがのぞく。そんな希望を追うほどに気紛れな雨を浴びる。 @青森県
毒を与えられ 酒にすることを覚える。 闇に封じられ、 火をおこすようになる。 牢に入れられ、 夢を明らかにし始める。 |