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イワテバイクライフ 2010年9月前半


2010年9月15日(水)
雲ひとつない秋晴れという、ひとつの教科書のような現象。とはいえ、陽射しの強さは夏の余韻。 @岩手県三陸沿岸



  ひとつの土地を
  自分の足で確かめる。
  身銭を切って心に刻む。

  空の蒼さの濃度。
  海の香りの鮮度。
  光と影の筆具合。
  寄せる波の呼吸。
  舞う海鳥の気分。
  そして、人々と交わす挨拶の語感。

  そうさ、今すぐの仕事なんかじゃない。
  五年先、十年先のその日の為に必要な
  生き様の基本さ。
ヘリテイジ ソフテイル クラシック


2010年9月14日(火)
その透明度ときたら、剃刀のようで、彼方の稜線に手を伸ばせば、指が切れ血がしたたりそうだった。
 @八幡平アスピーテライン



  大魚を釣り損ねた王様は腹を立てた。
  「この川がおかしいのだ。
  川を堰き止めてしまえ」

  猛獣を撃ち損じた王様は臍を噛んだ。
  「この森がおかしいのだ。
  森を焼き払ってしまえ」

  美女にふられた王様は夜も眠れない。
  「その血がおかしいのだ。
  一族を滅ぼしてしまえ」

  さて私を消し損ねた王様は、どうだ?
  「その魂がおかしいのだ」と叫んで、
  それで、どうした?

  私を満たす天地の眺めを、
  どうしたというのだ?

  私を生かす日々の道程を、
  どうしたというのだ?

  私を走らせる四季の風を、
  どうしたというのだ?
スポーツスター883R


2010年9月13日(月) 
大雨を告げる予報は、しだいにトーンダウン。夕刻には、うっすら青空さえ。 @盛岡市




  そうかい、旅が好きかい。
  羽を伸ばすがいいさ。

  そうかい、絵が好きかい。
  筆を振るうがいいさ。

  そうかい、恋に夢中かい。
  燃え尽きるがいいさ。

  上機嫌におなりよ。
  時を忘れておやりよ。
  うまく自分をだましておやりよ。

  涙は、旅空に乾かしてもらう。
  血は、絵の具に混ぜてしまう。
  傷は、陶酔の炎で焼きつぶす。
  迷わず時を進めなよ。

  止まることが寂しければ、
  さ、今日も舞台を始めなよ。
  空白に佇むのが怖ければ、
  さ、今年も祭りを始めなよ。



  ※本文と画像は一切関係ありません。
HONDA Monkey


2010年9月12日(日)
停滞する前線に大雨のおそれはあったが、空の行方は善意に満ちていた。 @秋田県(田沢湖高原)


  いつか、いつの日か、
  熱い涙が押し寄せ、
  思いが溢れ、
  嗚咽が堰を切る物語を綴りたい。

  その一行一行を
  微塵も呼吸を乱さず、
  涙ひとつこぼさず、
  朗読する精神でありたい。
オートバイトライアル東北選手権シリーズ第7戦・秋田大会  


2010年9月11日(土) 
東北北部に前線停滞。時折強い雨。どこか梅雨の末期のような。 @盛岡市



  なあ、お前さんよ。
  舞台が終わった時からが本番なんだぜ。
  誰も振り返らなくなってから、
  値打ちが決まるんだぜ。
  いかにすんなり
  素顔に戻れるか。
  暮れてみせるか。
  始末をつけるか。
  消えてみせるか。
  終わる時こそ、凛としていなくちゃ。
  ひとりきりでも、微笑んでいなくちゃ。
  (記憶にさえなれないぜ)
HONDA Monkey


2010年9月10日(金) 
陽射しは残暑の類だったが、雲のあれこれは秋そのものだった。 @八幡平市



  かつて、此処で立ち止まった気がする。
  (見知らぬ場所だった)
  今日、此処で久しぶりに立ち止まった。
  (自分の居場所だから)
  いつか、もう一度、此処に立ち止まる。
  (ほんとうの故郷だから)

  その時には、
  もう何ひとつ憂いの無い笑顔でありたい。
  もう何ひとつ闘う理由の無い旅でありたい。
  もう何ひとつ脅えることの無い日々でありたい。

  此処で、こうしていられることが、
  誰にも問われず、非難されず、
  ごく平凡な佇まいとして、
  見過ごされるのであれば、
  もう一切を投げ打っても構わない。
  もう未来など来なくても構わない。
  もう真実を知らなくても構わない。

  この道端で
  心ゆくまで秋の光を呼吸できるのなら、
  もう構わない。
ヘリテイジ ソフテイル クラシック  

2010年9月9日(木) 
日中はまだまだ夏の余韻が漂うけれど、朝夕の冷涼は「北国」の証。



  そこへ急いだのはね、
  今日最後の光が欲しかったからじゃない。
  はかなくも暮れていく私を
  見送りたかっただけさ。
KTM250EXC-F  

2010年9月8日(水) 
光の穏やかさ。さらり乾いて涼しい風。まずは本来の初秋。 @岩手県三陸沿岸



  僕が、港町をめざすのはね、
  そこに辿り着きたいからではない。
  そこから船出できるかもしれないからだ。
 スポーツスター883R  

2010年9月7日(火)
早朝の雨。はるか西の台風は、東北へ雲の大軍を送り込んだ。真夏日は回避された。 @盛岡市



  誰かに勧められて選んだ賢明な道より、
  心に従がって敢えて踏み込む道の方が、
  後悔は無いと思うよ。

  でもね、この当たり前のことが難しい。

  耳を貸さぬ狭量の者と呼ばれ、
  視野の狭い浅はか者と嘲られ、
  情けを知らぬ人でなしにされ、
  それでも、めざす所を見据え、
  己の魂を追いかける生き様は、
  いいかい、どこまでも一人だ。

  後悔した途端、気が狂う程の寂しさだ。
 スポーツスター883R (画像は2009年9月9日に撮影したものです。)

2010年9月6日(月) 
まったく盤石の残暑だが、朝夕のかすかな涼しさや虫の音まで誤魔化せない。 @
岩手県三陸沿岸



  まあ、何の世界でもそうなのだが、
  いわゆる神業がいる。

  芸術とか思想とか
  そんな心模様ではなくて、
  明確な現実の力だ。

  しかし、その神業とやらは、
  公に認定されることは稀だ。
  神業を神業として認識できる者は、
  稀なのだ。

  もし次々認定してしまったら大変だ。
  それぞれの世界の基準が問い直される。
  すると、立場を失い、資格すら疑われる者が、
  大量に発生してしまうから、
  神業など存在させてはならないのだ。

  はるか彼方の御伽の世界に
  隔離する他ないのだ。
 ヘリテイジ ソフテイル クラシック  

2010年9月5日(日)
朝方の涼しさと澄んだ青空は「秋」だった。すぐ真夏の熱気に濁ったけれど。 @岩手山麓



  どこかの田舎の
  やり手と呼ばれる旦那たちが、
  茶飲み話で盛り上がる。
  悪質商法を
  いかに辛辣にやりこめ、追い払ったか、
  得意になって披露する。

  (そりゃあ、百戦錬磨だからね)

  その強さと賢さで
  商店街が賑わえば、よかったね。

  そのしたたかさで
  町が生き返えれば、よかったね。

  そのたくましさで、
  幸福の風が吹けば、よかったね。
HONDA Ape100  

2010年9月4日(土) 
澄んだ青空に、先を急ぐ雲が、思わぬ影を残していった。依然、真夏の日々。



  未来に向かって約束するのであれば、
  失敗が許されないこともある。

  百発百中の場面でも、
  確信が持てなければ、、
  動かぬことだ。沈黙することだ。

  自信満々で語り出す自分を警戒することだ。
  辣腕を気取り推し進める計画を疑うことだ。

  決めつけてかかり、勢いまかせで動く者は、
  ひっそり待ち受ける平凡な罠の餌食になる。
  誤算の山を築き、大ボラ吹きに成り下がる。
  道化にされて、記憶の彼方に追い払われる。

  勇ましくラッパを吹きたくなったら、
  立ち止まることだ。
  移ろうものの気配に心を向けることだ。
 KTM 250EXC-F  

2010年9月3日(金)
台風の気配か、雲の流れは速く、時折の降雨。盛岡は、かろうじて真夏日を免れた。
 @遠野市



  人は、
  切羽詰まると、
  劇薬を欲しがるものだ。

  一刻も早く逃れたい痛みがあると、
  爆薬さえ使って楽になろうとする。

  この瞬間の迷宮を解決する為なら、
  悪魔に鍵を持たせて野に解き放つ。

  彼方までひっくり返したくなると、
  ついには独裁の亡霊を掘り起こす。
 スポーツスター883R  

2010年9月2日(木) 
真夏の幻は、にゅうどう雲となって踊った。大気は薄黄色の被膜をまとって、けだるく・・・。 @岩手山麓

 

  町はずれの広場だった。
  人影も稀な公園だった。
  ある日、その真ん中で誰かが声を上げた。
  「かつて、ここは楽園だったのです。
  花は咲き乱れ、荘厳な塔が建ち、
  何より人々は慈愛にみちていました。
  まさに理想郷だったのです。
  目を閉じれば見えて来ます。至福の光景が。
  この公園を全世界の宝とすべきです。」
  ひとりの子供が、
  片隅でブランコをこぎだした。
  懐かしい音に誘われて
  アイスキャンディー売りが現れた。
  それを合図に子供達が群がった。
  やがて、公園は広く知れ渡り、
  遊具の前には行列ができた。
  ユートピアの遺跡をひと目見ようと
  旅人が押し寄せた。
  ついに公園の周りは、
  土産物屋とホテルで埋め尽くされた。
  町は空前の好景気にわいた。

  (忘れた頃に、そんな時代が巡って来る) 
 スポーツスター883R  

2010年9月1日(水)
湿気を含んだ熱風。湧き上がる夏の雲。33度8分(盛岡) @盛岡市

 

  穏やかで、賢くて、
  肩の力が抜けていて、
  ユーモアもある。
  そんなあなたを
  わたしは、眺めるばかりだ。

  面倒には関わらず、いざとなれば知らん顔か。
  問題の所在を掴み、修羅場でひと肌脱ぐ者か。
  じっと見届けようとする。

  急いで信じて、瞬く間に落胆してきた者は、
  牛のような眼差しになる。
 HONDA Ape100  

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