イワテバイクライフ 2013年1月後半
2013年1月31日(木)
予想最高気温4度だとか朝の晴れ間に期待をかけ過ぎたせいか、実にさえない曇天の一日。少しゆるんだだけの街の氷雪も腹立たしい。
常に整理すべきものはある。 ただ、どうでもよいものに どうでもよいとは言いにくい。 ならば、 落胆してもらおう。 見限ってもらおう。 絶縁してもらおう。 厄介なものと 刃を交えず無縁になるには、 それに限る。 |
|
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓 |
2013年1月30日(水)
空の占有率なら青空だったが、印象率で言えば、厳冬期らしい雲の乱舞だった。最高気温も3度1分(盛岡)で、未明に僅かに重なった新雪もとけた。
言葉を用意するのではない。 伝えるべき事実の質量や温度を思うのだ。 ひとつひとつが、 どのように絡み、重なり、作用し合って 成り立っているのか、 心の中に浮かべ、回し、眺めて、 鮮明にするのだ。 言葉は、そこに自ずとあらわれる。 語勢は、そこに自ずとほとばしる。 後は、無心に時の中に生きるのだ。 (肉声は、魂の剣だ) |
|
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓 |
2013年1月29日(火)
予報の雪マークは、山間部をカバーするためだ。盛岡市街地は、概ね穏かで、時折、小雪がちらつく程度。最高気温プラス1度9分(盛岡)で、また雪がゆるんだ。
悩みが無いというのも馬鹿みたいだから、 眉間に皺の一本刻んでおく。 意見が無いというのも無責任の様だから、 まずは態度を保留しておく。 友達が無いというのも寂しく見えるから、 いち応何かに所属しておく。 とりあえず、そうしているうちに 悩みは生まれ、 意見は固まり、 友達ができる。 (良かったね) |
|
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓 |
2013年1月28日(月)
濃厚な青空だった。3月を思わせる陽射しだった。冬の正念場を乗り切りつつあるようだ。最高気温2度6分(盛岡)だが、雪は地道にとけていく。
見渡す一面が、 春へ動き出したのだ。 降ってみたり、積ってみたり、 凍ってみたりしながら、 冬は精一杯主張したのだけれど、 やがて、とけて消える日を予感したのだ。 うららかな光と薫風を浴びて、 若草に寝ころぶ私に一瞥をくれて、 冬はこの地を去るのだ。 その瞬間まで、 私は、冬に従い、 畏敬の念を抱いて生きるのだ。 去りゆくものに恨みを持たれぬように、 小躍りしたい気持ちを抑え、 指折り数える仕草を隠し、 寒い辛いと言いながら歩くのだ。 |
|
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓 |
2013年1月27日(日)
大雪の翌日は、地域の昨日のことなど興味は無いという風情の青空が出現した。最高気温がプラス3度6分(盛岡)で、氷雪の土台をかすかに崩した。
人里離れた此処で何をするのか、 何をめざすというのか。 此処へ来て、 此処に佇み、 初めて、わかることがある。 一面の新雪が受け入れるものは、 未来を描く筆だけだから、 思いの丈を たっぷり私にふくませ、走り出す。 今日も天地の狭間の始点に立つ。 その気概こそが、 春を駆け巡る凛烈の風となる。 |
|
Beta Evo (2スト) @花巻市(山屋トライアルパーク) |
2013年1月26日(土)
大雪の報せが相次ぐ中、盛岡の街は、生き埋めだけは免れた。雪かきの覚悟だけが、ずしり残された。
誇り高いことは、ま、結構なことだ。 ただ、度が過ぎ、教条的になると、 いささかアレだ。 言葉は滑稽になり、 論理は飛躍を重ね、 権力は争いへ勇む。 (迷惑な話ではあるが) 馬鹿げた怪我をしたくなければ、 誇りの出所など訊ねてはいけない。 大義を幻想する気分の正面に 立ってはならない。 (ファンタジーとして眺めるほかない) |
|
HONDA Monkey @盛岡市 |
2013年1月25日(金)
前夜の雪は思いのほか厚みがあり、山野も市街地も白く重く覆われた。日中は薄日も射したが、常に小雪がちらついていた。
手柄は城の外にあると 教え込まれた若武者達は、 競って戦を求め、国境へ繰り出した。 閑寂の城塞を守るのは、 僅かな老兵だけだった。 そのような役儀は、 退屈であり、蔑むべきものとされていたが、 城を知り抜いた老兵は、 非常の時を迎えるたび、 巧みな籠城戦を披露した。 その痛快と旨味を気取られることなく、 老兵は、城の外にこそ出世のタネはあると吹聴し、 若輩の血気に油をそそいだ。 |
|
HONDA ベンリィ50S @盛岡市 |
2013年1月24日(木)
新しい雪をまぶして朝を迎えた。降雪の覚悟が出来ていたので、思いのほかの陽射しに拍子抜け。最高気温3度6分(盛岡)。
何も考えず、あるがままを肯定し、 受け入れ、従うことが、 城下に生きる術(すべ)だった。 人の立つ位置は、既定の事実であり、 人物の評価は、生まれる前に定まっていた。 器量、才覚の如何ではなく、 そのような者として育てられ、 そのような者にふさわしい処遇の中で、 そのような者になっていった。 結果、凡庸な匠や暗愚の師が闊歩した。 論じる余地も無い仕組の中で、 殿様行列に平伏す人々は、 やがて言葉を封印し、 心底に鍵をかけたまま老いるほかなかった。 |
|
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓 |
2013年1月23日(水)
この柔和な快晴は三月そのもの。最高気温3度(盛岡)の有難さ。岩手の絶景すべてが輝いた。厳冬期の幻の一日。
城の引き継ぎは、大掃除から始まる。 だらしない殿様は、 城の細部まで汚しに汚しているものだから、 その始末に半年を費やすことになる。 極悪非道の殿様は、 家臣領民の心を縛り上げているものだから、 その解放に数年を費やすことになる。 無知蒙昧の殿様は、 諸国と赤面の条約を交わしているものだから、 その解消に数十年を費やすことになる。 賢君の時代は、そのように過ぎていく。 |
|
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓 |
2013年1月22日(火)
ほぼ一日、小雪が舞った。それも小粒で、雪なのか雨なのか判別の付かない冷えた粒子だった。ただ、午後の強い風は、体感を凍らされるものだった。
表舞台から忽然と消えた者には 注意することだ。 壁一つ隔てたところで、 舞台の転覆を企てていたりする。 誰が有頂天になっているか、 暗がりの客席から眺めていたりする。 深く潜行する者ほど、 思いの圧を高めるるものだ。 (事は、舞台のクライマックスで起きる) |
|
HONDA Monkey @岩手山麓 |
2013年1月21日(月)
逞しい冬晴れだった。膨大な残雪が陽射しを反射して、眼球が焼かれるようだった。陽が傾くにつれて薄雲が広がり、曖昧に一日は終わった。
二日も続けて、 たったひとり雪の山中で、 オートバイを走らせる男の人間嫌いが その瞳に見抜かれた。 抱きしめようとする腕から、 するり抜け出すしなやかさは、 人の刹那の情が どれほど当てにならないものかを知り抜いた 老猫のたしなめだった。 |
|
@花巻市(山屋トライアルパーク) |
2013年1月20日(日)
ゆるぎない冬晴れ。幹線道路は、カラカラに乾き、早春到来かと錯覚。最高気温がプラスの3度2分(盛岡)など、祝杯ものだ。
つまり、私は、 どういう練習をしたいのか? それさえ明らかなら、 雪かきの方針も立つ。 分厚い冬の中から掘り出した大地で、 上ったり下ったり、 旋回したり、越えたり、飛んだり、 幼技を重ねる先に見えて来るものは、 春の獅子奮迅なのだ。 |
|
Beta Evo 2st @花巻市(トライアルパーク) |
2013年1月19日(土)
見上げれば冬晴れ。見渡せば冬雲が低く漂った。ついに岩手山の印象は無いまま日は暮れた。最高気温プラス2度5分(盛岡)。
冬の精と逢瀬を重ねる。 その陶酔の跡は、雪原に刻まれ、 やがて夜の吹雪に消されていく。 だから新雪を迎えるたび、 お前を追い、抱き寄せ、倒れ込み、 熱く雪をとかす。 そのように、 冬に溺れるほど、 冬は衰弱し、 春の進軍を招く。 |
|
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓 |
2013年1月18日(金)
夜明の気温が盛岡で氷点下11度8分など、岩手全体、この冬一番の冷え込み。それでも日中は、青空が頑張り、一日を温和にしてくれた。
とめどない定めの川に嗚咽し、 いつもの夢から覚めて、 氷結の大地を見渡しながら、 思いも新たに始めるのは、 今朝の夢の続き。 |
|
YAMAHA YB1(2スト) @盛岡市 |
2013年1月17日(木)
まずは、広範囲に青空がのぞいた。県北などでは、時折濃厚に雪が舞ったが、すぐ陽が射した。最高気温プラス1度1分(盛岡)。どうりで、かすかに温和な一日。
握りしめるなら、 今日初めて地上に現われたものこそ、 ふさわしい。 踏みしめるなら、 今日の心を地上に刻み込めるものこそ ふさわしい。 両翼の肺臓を熱くして、 両手両足で大地を貪る者にとって、 前進した距離は、 握り締めるほどにとけゆくものや、 踏みしめる程に沈んでいくものの 感触の総量なのだ。 |
|
HONDA ベンリィ50S @盛岡市 |
2013年1月16日(水)
青空や陽射しはあったが、周囲の山並みを隠して冬のベールが漂った。晴天とは別物の天地の有り様だった。最高気温・氷点下1度6分(盛岡)。
流れ来る日々には、 飛び越えようも無い空白が点在している。 理由の無い悲しみや怒りや寂しさが連続する。 そのひとつひとつの空白を 「それでも生きる」という思いで埋めていく。 未来の彼方から流れ来る 良いことも、そうでないことも 怖れず、避けず、受け止め、向き合い、 答えを出していく。 そのように季節をめぐるうちに、 空白は幸福への飛び石となる。 |
|
YAMAHA YB1(2スト) @盛岡市 |