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イワテバイクライフ 2013年2月前半


2013年2月15日(金)
まずは冬の曇天。薄日が射した気もするが、最大公約数にしてみれば「湿った灰色」。最低気温がマイナス1度で最高気温がプラス2度1分(盛岡)。気持ちの起伏無き一日。



  たくさん整理した。
  必要の無いものは捨てた。
  まったく無慈悲なほどに切り捨てた。
  容赦のない決別だった。

  なのに、私だけは、昨日のままだ。
  捨てられず、
  断ち切れず、
  今日の気分を持ち歩く。

  私というカラッポを
  如月の風で膨らませ、
  束の間のカタチにしてみても、
  彼方の空へ飛び去ることはない。
HONDA ベンリィ50S @盛岡市

2013年2月14日(木)
最低気温マイナス6度3度が、昨日の雪解け水を再びガリガリに凍らせた。そんな往復というか攻防で、この地の二月は過ぎてゆく。



  暮れていく暮れていく。
  今日一日が暮れていく。

  来た道は雪に隠されて、
  足跡は固く凍り付いて、
  ゆく手は闇に飲まれて、
  風の笛だけ踊っている。

  旅の出来事はとけ始め、
  此処へ至る理由も消え、
  漆黒の安穏に沈みゆく。


  したたる鮮血が、
  どこまでも私の後を追って来る。
  思い出せ思い出せと追って来る。
HONDA ベンリィ50S @岩手山麓

2013年2月13日(水)
未明の不意打ちだった。わずかに10cmほどの積雪だったが、気持は萎えた。最高気温プラス2度6分(盛岡)で、湿った雪はとけ、水浸しになった。



  ただ狡猾なもの。
  ただ欲深なもの。
  ただ浅薄なもの。
  それだけのものに目を向けるから、
  余計な感情を招き、
  要らぬ闘争へ走る。

  目を閉じ、心さえ向けず、
  己の呼吸に耳を傾けろ。

  厳冬の書院の如き静謐となれ。
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓

2013年2月12日(火)
最低気温が氷点下8度を下回ったのは25日ぶり。ゆるみかけていただけに刺し込む寒気だった。青空も午後の雲に閉ざされて真冬日。



  
困窮する者の狂気に深い意味は無い。
 

  愚鈍な者には実力を押し通す。
  温和な者には脅迫で揺さぶる。
  折れぬ者には平伏し助を請う。

  (試されているに過ぎない)
HONDA Ape100 @八幡平市 ※2012年2月

2013年2月11日(月)
昼過ぎまで煮え切らない空。時折、小雪も舞ったが、日が傾くにつれ、空は青く岩手山も浮き立った。氷点下1度から這い上がれず(盛岡)真冬日。



  それは、暗闇の中に探り当てた希望か?
  それは、惨憺たる日々から生れた夢か?
  それは、不条理に苛め抜かれた信念か?

  強靭な光は、
  地獄の果てに待っている。
  冬を知らない人生に、本当の春は無い。
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓

2013年2月10日(日)
雪まじりの曇天の予報を嘲笑うように青空は広がった。それでも山々にかかる冬雲は、春への見晴らしを遮った。最高気温プラス1度4分(盛岡).。



  迷い続ける事。それが道。
  辿り着くまで。それが旅。
  我に返るまで。それが夢。

  ならば、
  永久にその最中(さなか)にあれ。
HONDA Ape100 @岩手山麓 ※撮影日2010年2月

2013年2月9日(土)
かすかな印象の中に青空もあった気がする。けれど、周囲を雪雲に固められ、希望の欠片も告げられなかった。盛岡で氷点下1度1分の真冬日。



  やむにやまれぬものは、
  山を越える。
  大海を渡る。
  故郷を離れ、
  季節を駆け、
  時代に抗い、
  思いを貫く。

  その航跡や結末はどうあれ、
  魁(さきがけ)が放つ光は、
  歳月の彼方を照らし続ける。
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓

2013年2月8日(金)
一夜にして街は二月の雪に制圧されていた。潰された田畑を耕し直すように人は雪をかく。その肩をいたわるように、束の間、青空がのぞいた。



  悪夢の季節は、主を失い潰走を始めた。
  讒言(ざんげん)や謀略の数々を放り出し、
  二月の坂道に雪崩を打って転げ落ちていく。
  その背中にとどめを刺そうと駆け出す私に
  山は叫んだ。
  「深追い無用。
  追い詰めれば、愚昧の恨みを買うのみ。
  再び寄せる氷の波は、怨念の牙となる」

  ふりかかる火の粉を払ううちに
  闘いは殺戮へ勇むことがある。
  大義に酔ってはならない。

  (真の一撃に備えるのだ)
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓

2013年2月7日(木)
南部の余寒は、およそ春の兆しを許さず、天地の色を奪い、生きる者の忍耐を試して来る。時折の湿り雪が慰めに思えるほど沈んだ一日。、



  ことさらに
  うれしくなることもなく、
  おもしろおかしくもなく、
  まして、
  道が開けるわけでもなく、
  冬の一日に閉ざされている事こそが、
  生きることの基本なのだ。

  話し相手もなく、
  話すほどのこともなく、
  怒るほどのことや、
  悲しむほどのこともなく、
  じっと今日の体温にひたる事こそが、
  春を待つ心の基本なのだ。

  (人は、静けさに同化することを覚える)
HONDA Monkey @岩手山麓

2013年2月6日(水)
回復の見込みも無い曇天。ソロモン諸島の大地震で、日本列島の太平洋側に津波注意報。マニュアル通り全体は動いた。



  だめなものは、
  そっとしておくほかない。

  何とかしてやろうと頑張ると、
  ますます出口は遠ざかる。

  笑うに笑えず、怒るに怒れず、
  ただ、呆然と眺めているしかないものに
  いっときの気分で関わってはいけない。

  とことんだめなものには、
  手の施し様のない事情が付きものなのだ。
  (知るほどに哀れで悲しい)

  せめて、風化にまかせられる大人になろう。
  (幾度の無駄と闘争を重ねながら)
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓 ※撮影日は2013年2月5日

2013年2月5日(火)
前夜の雪は、そこそこで、朝の雪かきには及ばず。けれど積った雪を吹き散らす風が、夕暮れを気難しくした。



  やるだけのことは、やった。
  言いたいことは全部言った。
  思い描いたことも実現した。

  もし、そうなったら、
  こんな地吹雪の中に立ち止って、
  今日の自分を確かめる必要はなくなる。

  もしや私は、
  ひとつの時代が終わったことに
  気付かぬふりをして、
  昨日の続きをしているだけなのか?
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓

2013年2月4日(月)
午前中の頼りない晴れ間は、やがて雲に閉ざされ、小雪を呼んだ。なまじ弛んだ寒さと、とけだした氷雪が、再び現実に戻されたという程度の一日。



  死に物狂いでかき集めるのは、
  もう止めよう。

  すくい取れなかった光は、
  また、いつか、
  網におさめればいいじゃないか。

  受け止められなかった風は、
  また、いつか、
  心におさめればいいじゃないか。

  この見渡す限りの天地を
  庭にしていられるなら、
  それで、いいじゃないか。

  (急ぐ必要はない)
HONDA ベンリィ50S @岩手山麓

2013年2月3日(日)
うららかな青空だった。頭上間近に冬雲が戯れた。しかし、それは天空の出来事であり、地上の人々には、身に染みる風がこそが、一日の印象だった。



  できること、できないこと、
  それは、人それぞれのはずだ。

  ところが、
  できない者が基準の中央に立つと、
  風は一変する。

  できる者の仕業を
  あり得ぬことだと断じ、
  いかさまやいんちきの類と見做し、
  危険極まりないことと断ずるに至り、
  無垢なる芸の萌芽は摘み取られていく。

  辺境には、奇態な天秤が生きている。
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓

2013年2月2日(土)
季節の移り変わりにもイレギュラーなことは起きる。最高気温が宮古で15度を越え、盛岡で10度に迫った。音を立てて残雪は崩れ出した。



  身体に流れるもの。
  心を支配するもの。

  ふたつは、まことに鮮やかに反応し、
  融合し、爆発的なエネルギーとなる。

  今日も、ほら、
  いたるところにキノコ雲が立ち上る。
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓

2013年2月1日(金)
小岩井農場で「雪まつり」が始まった途端、雪をとかす陽気が押し寄せて来た。最高気温4度9分(盛岡)。裏道にはおびただしい水溜り。再び凍らないことを祈るばかりだ。



  匠の刺身包丁が止まった。
  ふっと思い出したように微笑んだ。

  過日、お殿様が、おいでになりまして、
  あなたさまのことを心配されていましたよ。

  「堂々たる者は、堂々と進めばよいものを」と
  おっしゃっていました。

  老生は、差し出された鱈を
  辛口の燗酒に遊ばせながら、
  恩人の言葉をどう飲み込めばよいのか
  思案したのだった。
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓

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