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イワテバイクライフ 2013年4月後半


2013年4月30日(火)
小雨に濡れて朝を迎えた。予報通りに青空や陽射しが現れたのだが、しぶとく不穏な雲が制空権を握り、平穏になったのは、すっかり日も暮れてから。 @岩手山麓



  力というものはね、
  そんなものを必要としない者に
  あずけようね。

  微笑で和し、
  知恵で治め、
  熱意で導き
  哲学で創る。

  そういう人物に
  もっとも危険で無駄なものを
  あずけてしまおうね。
MOTO GUZZI V7Classic @岩手山麓

2013年4月29日(月)
春霞ではない。どこまでも不透明なだけの空。とことん薄ぼんやりな陽射し。最高気温18度9分(盛岡)は何かの間違いだろう。計器は北国の人肌を理解しない。



  すべての人間
  すべての事象
  すべての法則
  それらすべてが、
  無数の小島となって存在し、
  島と島は永久に無縁なのだ。

  「そうか、そうだったのか。
  これで解決できた。説明がつく」

  そう叫んだところで、
  夢は、離れ小島の入り江で途切れた。
MOTO GUZZI CaliforniaVintage @三陸沿岸北部

2013年4月28日(日)
朝の青空に誘われて走り出せば、暗い雲ばかり。県北では所により水滴と小雨の狭間。沿岸部には迷い無き晴天。ただ、風が強く寒かった。



  ひたすらに、
  何かに向き合い、何かを追いかけ
  何枚も扉を開け、何度も旅を重ね、
  何か掴めたか?

  ようやくわかってきたよ。
  無我夢中で走って来た末に辿り着いたのは、
  出発点だったということがね。

  その一周に意味があったのではない。
  一周した自分がいたというだけ。

  (値打が決まるのは、ここからだ)

  もう一度走り出す自分であるかどうか、
  その気力と勇気と浪漫があるかどうか、
  幾度、物語が白紙になっても
  新しい頁を記す自分であるかどうか。

 (生きるということは、果てしがない)
Harley-Davidson XL1200CA @三陸沿岸北部

2013年4月27日(土)
薄日も射したが、雲は尽きることなく流れ、山の眺めを遮った。最高気温も12度5分(盛岡)で3週間ほど季節は後退した。



  別れる時には、
  ありがとう、と言いたい。
  たのしかった、と笑いたい。
  またいつかどこかで、と抱きしめたい。

  別れる理由がなくても
  その日が来るのなら、
  仕様がねぇなあ、と受け止めたい。
  何とかなるさ、と空を仰ぎたい。
  けして忘れないぜ、と駆け出したい。

  涙が溢れそうだから
  風になって飛んでいってしまいたい。
Harley-Davidson XL883R @岩手山麓

2013年4月26日(金)
曇り空が遂に泣き出す、というメリハリもなく、薄ら寒い曇天の下で、街は何となく濡れた一日。最高気温9度9分(盛岡)の低調だけが実感だった。



  「静かだ。静か過ぎる。気に入らんな。」

  痩躯の老兵はそう呟くと
  蒼天の中心に弓を引き絞って、
  ためらいなく殺気を放った。

  天地は一瞬身を固くして風を止めた。
  その気配を嗅ぎ取って鷲鼻は確信した。

  「厳冬の残党どもだ。」

  卯月など、ひと皮むけば雪と氷だ。罠だらけだ。
  夏へ勇む者を、さしずめ如月に襲う算段であろう。
  仕方あるまい、と彼方を睨み据えるや、
  強弓は火矢を連射した。

  まだ目覚めきらない樹海は、降り注ぐ炎に驚き、
  たちまち火の海と化した。

  そんな夢を見た。
HONDA ベンリィ50S @雫石町

2013年4月25日(木)
おずおずと青空が広がり出した。山を覆う雲も、やがて潮時を察して流れ去り、のんびりした春の一日が整った。最高気温16度1分(盛岡)



  放っておいても、うまくいく時はある。
  運がいいというより、
  すべてが正しく整っている証拠だよ。
  正解へ転がるものを邪魔しなければ、それでいい。

  手を尽くしても、遂にだめな時もある。
  運が悪いというより、
  そもそもの入り口を間違えただけさ。
  引き返すことに迷ったりしなければ、それでいい。

  ちょっとしたことなんだよ。
  大差はないのに、大騒ぎするのが人間なんだね。
MOTO GUZZI California Vintage @八幡平市

2013年4月24日(水)
朝から、うすぼんやり。そのくせ、艶消しの岩手山が鮮明だった。雨は予報より早く、午後の早々に降り出した。最高気温17度(盛岡)



  うじうじしない。
  すぱーんと真ん中に決めてやれ。
  本当のことを。

  いじいじしない。
  すとーんと腹の底に落してやれ。
  信じることを。

  おどおどしない。
  どかーんと場外まで運んでやれ。
  思いのたけを。
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓

2013年4月23日(火)
午前中の清明な青空は、やがて霞を含んで不透明。夕刻には薄雲が広がり、なるほど、じわり下り坂。最高気温は16度(盛岡)で、まずまず春の一日。



  風に抗わず
  心吹かれ、今日の行方を知る。

  雨を避けず、
  心洗われ、今日の色彩を見る。

  闇を恐れず、
  心開かれ、今日の過ちを正す。

  (今日のすべてに、とけてみなよ)
MOTO GUZZI 850GT @八幡平市 撮影日2013年4月22日(月)

2013年4月22日(月)
晴れてはいたが、風が強く、局地的に不穏な雲が流れ、辺りを暗くして小雨を降らせた。最高気温12度2分(盛岡)の実感は皆無。



  病に倒れ道端に苦しむ旅人を見て、
  まさか、あなたは、
  こんな台詞を吐いて素通りしなかったか?

  「あんたは、俺の患者ではない」

  もはやポリシーの問題ではなくて、
  閉鎖社会の絶望だ。
MOTO GUZZI 850GT @三陸沿岸北部

2013年4月21日(日)
春本番への準備を覆す一日。雨が、何処で雪に変わろうと驚くことも無いような。最高気温は3度6分(盛岡)。



  何事も無い一日の中で
  心が決まることがある。

  曇ったままの空の下で、
  心が開けることがある。

  霧にけむる旅の途上で、
  心が駆け出す日もある。

  暗く冷たく濡れた風景の中にこそ、
  真っ青な未来が現れる。
  (みていてごらん)
HONDA ベンリィ50S @盛岡市

2013年4月20日(土)
午前中は雲と青空が7対3でシャッフルされ、所により小雪がちらつき、天気雨が行く手を湿らせた。午後は100パーセントの曇天。気温も10度(盛岡)止まり。



  わかっている者は、
  歌う時まで
  歌を胸にしまい静かに種をまく。

  夢中なだけの者は、
  歌う時まで、
  歌を忘れ果て愛想などふりまく。

  一生懸命であることを示すための汗では、
  粗末な舞台を晒すだけだ。

  (勝負所の迎え方で、器がわかる)
Harley-Davidson XL883R @岩手山麓

2013年4月19日(金)
午前中は、暗い雲が北の空を覆い、雨や雪を降らせていた。南には、青空と不穏な雲のせめぎ合い。午後には大気も落ち着いた。最高気温8度1分(盛岡)



  雨上りの瞬間に立ち会うためには、
  まず、雨に濡れなくてはならない。

  神々しい日の出を迎えるためには、
  まず、一晩闇に蹲らねばならない。

  まともな人々の有難さを知るには、
  まず、狂人と付合わねばならない。

  己の心の底を照らし出すためには、
  まず、直視できなければならない。
MOTO GUZZI V7Classic @岩手山麓

2013年4月18日(木)
小雨にけむる街の体温は8度までで、咲きかけた桜や梅の花は、季節の逆流に置き去りにされ、震えるばかりだった。



  目に見えないところで何が起きているのか。
  専門家と言われる人種に訊ねてはいけない。
  隠しようも無い事実以外は口にしないから。
  それ以外は「よくわからない」の一点張り。
  (責任を恐れて逃げ回る)

  そんな無駄な時間はおしまいにしよう。
  自分の五感が受止めた何かの正体を、
  想像力の中にあぶり出せばいい。
  もはや手遅れの現実や、
  壮大な破綻への胎動や、
  楽観を嘲笑う近未来が、
  胸の中を埋め尽くしていくのが、
  わかるだろう。
YAMAHA YB1(2スト) @岩手山麓

2013年4月17日(水)
大船渡市の最高気温が23度8分。一方で盛岡は、その半分程度。どんよりしながら、これといった降雨もなく、薄日が漏れ、穏かに夜を迎えた。



  ずっと昔、偶然、僕は楽園の在処に気付いた。
  それは地図の上ではなく、仕組の中に在った。

  人影も稀な辺境の地には、、
  莫大な自由が埋蔵されていたのだ。

  どう耕しても手柄にはならない荒れ地だから、
  横取りされたり、追い出されることもなく、
  黙々鍬を振り下ろす限り、暮らしは立った。

  労働は大自然と隣り合わせだが、
  立場や名誉しか視野に入らない群は、

  僕が季節と戯れていることなど無関心だった。
  功を急ぐ者には、退屈な流刑地に違いない。
  だからこそ、まんまと僕の自由は捨て置かれた。

  その至福を殊更謳い上げない限り、
  目もくらむ楽園は、今日も独り占めだ。
MOTO GUZZI V7Classic @岩手山麓

2013年4月16日(火)
春霞と受け止めるお人好しは少ない。黄砂に汚された晴天だった。昼過ぎには曇って、夕刻には降雨の気配濃厚。雷鳴さえ轟いた。



  曲り角の先に何が現れるか、
  それはわからない。
  だから、予測しながら旋回に入る。

  空の果てから何が寄せるか、
  それはわからない。
  だから、皮膚感覚を働かせて歩む。

  旅のその先に何が待つのか、
  それはわからない。
  だから、心が向く方角へひた走る。

  叶うことなら、
  花であれ、光であれ、幸であれ。
MOTO GUZZI V7Classic @岩手山麓

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