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イワテバイクライフ 2013年5月前半


2013年5月15日(水)
「夕方から降るぞ降るぞ」の予報の割には、薄っすら青空や陽射しもあって心地よく、一日を自粛したことが、ひどく悔やまれた。



  この地上には、
  目を覆わんばかりのものが、
  歩きまわっている。
  まかり通っている。

  この地上を統治する者は、
  そんなものにさえ真顔で
  向き合わねばならない。

  正気の沙汰ではない。

  ところが、うまく出来ていて、
  ふさわしい人間を神は用意する。
  (辛辣な配材だ)
MOTO GUZZI 850GT @岩手山麓

2013年5月14日(火)
霞がかかった青空だった。直截な陽射しだった。かすかに夏休みの朝を思い出した。イメージは現実となり、最高気温22度8分(盛岡)。



  あたりさわりなく、
  おだやかに流しておきたいのであれば、
  退屈でもよいから、心あたたまる話がいい。
  陳腐でもよいから、明るい未来を謳うがいい。

  間違っても
  真実とやらをえぐり出してはならない。
  責任とやらを問いただしてはならない。

  勇む正義や才気だけでは
  立ち行かない場所もあるのだから、
  歯をくいしばって微笑むほかはない。


  ※当然のことながら、本文と画像は一切関係ありません。
MOTO GUZZI V7Classic @錦秋湖

2013年5月13日(月)
日中は、さしたる降雨無し。そんな予報にも関わらず、暗澹たる空が県北部まで続いた。それでも十和田湖へ至った頃から薄日を取り戻した。



  いつもの街を離れ
  走りに走った末の水辺に
  はるか未来の私を見ることがあるのです。

 (さすがに、ここまで来れば)
  誰の思惑も湖水を染めず、
  誰の邪念も天地を歪めず、
  誰の策謀も人心を縛らず、
  ありのままの明日がうつし出されるのです。
Harley-Davidson XL1200CA @十和田湖

2013年5月12日(日)
青空の盛岡から浄法寺まで北上すると冷えた曇天。盛岡に引き返してみれば、初夏の大気。最高気温21度6分。極上の夕風。



  輪の中に生きるなら、心は平穏になる。
  輪の価値が高いほど、心は満たされる。
  輪を輝かせるために、心は一途になる。

  ついには、輪と輪の競争が始まり、
  諍いは戦争となる。

  (だから、今日もひとり)
MOTO GUZZI Clifornia Vintage @岩手県北部

2013年5月11日(土)
昼過ぎには雨の予報だったから、午前中の完結をめざして走った。ところが空は思いのほかに持ち堪え、のどかな花曇り。夕刻街は小雨に濡れたが、ほどよい御湿り。最高気温17度3分(盛岡)。



  私はね、春になるたび思うんだよ。

  来年の春も
  ここに佇んでいられるだろうか、とね。
  見知らぬ土地からこの道端を振り返り、
  恋い焦がれて気も狂わんばかりではないか、とね。
  縛るものを引きちぎり、
  遮るものを打ちこわし、
  制する者を叩き斬って、
  私は、血だらけになって、ここへ帰って来て、
  声を上げて泣くのだろうか、とね。
Harley-Davidson XL1200CA @岩手山麓

2013年5月10日(金)
午前中は、白濁した空だったが、昼過ぎから青空へ移ろい、夕刻には鮮明な晴天。最高気温23度7分(盛岡)。まぎれも無い初夏。



  雪は、とけるものじゃない。
  とかすものだ。

  大地も人間も、熱を帯び、
  雪をとかし、冬をとかし、
  いつもの道を取り戻し、
  記憶の通りの眺めを蘇らせ、
  どうにかこうにか、
  春と言える風を浴びていられるのだ。

  季節は与えられるのではない。
  心とける瞬間(とき)に恋い焦がれ、
  そうあろうと願うから、
  今年も大地一面が、こうなったのだ。
  私が、ここにいるのだ。
MOTO GUZZI V7Classic @北上高地

2013年5月9日(木)
放射冷却で最低気温は3度3分。そこから一気に21度4分(盛岡)。本来の五月が戻った。だからこそ、損失の日々が口惜しい。



  銀座通りに立つことに憧れ
  その日を待ち望むより、
  どんな場所であれ、
  あなたが立つことで
  其処が銀座通りになる方が、
  断然すてきだ。
MOTO GUZZI 850GT @秋田県角館市

イワテバイクライフ 2013年5月前半


2013年5月8日(水)
最低気温が氷点下になるのは26年ぶり。そんな能書きはさておき、ごく普通の五月が、見渡す天地を支配したことに乾杯なのだ。



  人の言動は、
  知らぬ間に記録され、
  思わぬところに眠っている。

  事実は歳月に濾過され、
  毒となり罪となり、
  法廷をどよめかせる花となる。

  今日、桜の樹の下から
  あの日のあなたの肉声を掘り起こす。
MOTO GUZZI California Vintage @岩手山麓

2013年5月7日(火)
最低気温3度1分、最高気温9度4分(盛岡)。その狭間に多少の晴れ間があったとて、何の救いになろうか。霜注意報が高らかに喧伝される。



  やがて闇に飲まれるなら、
  今日の光を記憶に刻む。

  いずれ別れが来るのなら、
  今日の風と一緒に歌う。

  ついに届かない思いなら、
  今日の花となって散る。

  明日の魂を癒やすのは、
  今日の自分のほかに誰がいる。

  (激烈な日々の前の静けさ)
MOTO GUZZI V7Classic @岩手山麓

2013年5月6日(月)
午前中は、晴天というより薄ぼんやり明るい空だった。午後には予報通り曇って、夕刻には予報通り小雨となった。そんなことより、最高気温19度9分(盛岡)の大気がすべてだった。



  人は、生きているだけで、
  誰かを幸せにすることもある。
  同時に、傷付け、苦しめることもある。

  まして
  夢など追えば、誰かを置き去りにし、
  志を貫けば、誰かを弾き飛ばすことになる。

  この天地を愛し、ここに生きると決める。
  それだけのことで、
  誰かの人生を変えてしまうことに
  なるかもしれない。

  それを知らずに人は一途に生きていく。
  知らないから生きていられる。


  ※本文と画像は一切関係ありません。
MOTO GUZZI 850GT @八幡平市

2013年5月5日(日)
青森県南部は小雨模様だった。盛岡へ帰ってみれば、ほぼ晴天。思えば、最も困難な空の下を選んだ一日だった。



  苦しいからといって逃げているとね、
  言訳ばかり上手くなる。

  面倒だからといって避けているとね、
  逃げ道だけ増えていく。

  限界だからといって捨てているとね、
  転落は加速するばかり。

  もう充分だといって離れているとね、
  後悔は山となっていく。

  (ひたすらに続ける中に輝き出すものがある)
Beta Evo 2st(トライアル競技車両) @青森県大鰐町(トライアル東北選手権・第2戦・青森大会)

2013年5月4日(土)
前日の曇天予報に楽観していたが、夜が明けてみれば、現実は厳しく、ひたすらに終日、小雨断続。皮膚感覚的には最高気温が10度6分(盛岡)の落胆。



  言葉を声にする時はね、
  息をきりっと破裂させ、
  リズミカルに波打つように話すんだよ。

  真夜中に隠し部屋で、
  暗号を送信するみたいに
  呟くんじゃないよ。

 (屈託の無い声音は、精神を解放する)
Harley-Davidson XL1200CA @岩手山麓

2013年5月3日(金)
まずは曇天ベースの一日。昼過ぎまでは青空ものぞき、陽射しもあった。夕刻になると小雨断続。最高気温は10度9分(盛岡)。五月とは異質の大気。



  支える。
  助ける。
  見守る。

  そんな台詞を連呼するから、
  現実が追い付かなくなって、
  落胆が落胆を呼ぶんだよ。

  偶然通りかかった旅人の
  ささやかな優しさの方が、
  よほど澄み切っている。
Harley-Davidson XL1200CA @岩手山麓

2013年5月2日(木)
最高気温11度9分(盛岡)。5月と思うから、殊更に冷たい。花の季節だと思うから、いっそう暗い。時折、小雨がぱらつく程度のよくある曇天だったのだが。



  もうひとりの私が、
  遥か異国の地に存在していると知ったのは、
  半世紀をとうに生きた後のことだった。

  たずねて行って、どんな男か見てやろう。
  そう思うこともあったが、やめた。

  何から何まで同じだったら、薄気味が悪い。
  何から何まで違っていたら、どこか寂しい。

  結局、もうひとりの私は、
  静謐な水鏡となって、今日の私をうつしている。
HONDA Ape100 @岩手山麓 

2013年5月1日(水)
桜の花も佳境へ向う街は、どんより曇って風は冷たく、まさに花冷え。ただ、予想された午後の雨は、水滴にとどまった。最高気温12度4分(盛岡)



  まったく、カレンダーの通り、
  当たり前のように追放の日は巡って来る。

  歴戦の水兵は舳に立つと
  日焼けした顔に白い歯をむき出して
  ひとつ敬礼してみせた。
  「諸君、さらばだ」

  船を知り抜いた者は、
  動力の変調、水や食料の逼迫、船底の浸水、
  何より人心の劣化を憂い訴えたが、
  変り者の妄言として黙殺された。

  男は、船に背を向け、水平線を見据えると、
  「その日は近い」と言い置いて、宙に舞った。

  大海の雄叫びは、白い飛沫を飲み込んだ。
  風波に晒される海鳥たちが、
  葬送の花となって散った。
MOTO GUZZI V7Classic @岩手山麓

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