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イワテバイクライフ 2013年6月前半


2013年6月15日(土)
未明にかけて雨が降ったようだが、朝には街は乾き始めていた。おしめり未満。夕刻には明るい空になっていた。まとまった雨までが遠い。



  今日の心を
  掴み切り、描き切り、
  道を完結させるより、
  掴み切れず、描き切れない思いが
  やむにやまれず明日の風を呼ぶ。

  そのように、
  未解決な波に揺られ、
  いつまでも流れていたい。
Harley‐Davidson XL1200CA @岩手山麓

2013年6月14日(金)
朝方の雲など早々に払われ、夏空が広がった。陽射しは遠慮なく、無造作に大地を焼いた。岩手はほぼ真夏だったと言い切りたい一日。



  天井裏の荷物を整理していた君は、
  何枚かのお面を持ち出して、
  僕の前に置いた。

  「もう、いいわよね」
  不要なものを処分してしまいたい時、
  君の台詞は、いつも手短だ。

  僕の返事は、いつも同じだ。
  「出番はあるやもしれぬ」

  「用心深い人ね」
  君は、いつも、そうしめくくって、
  天井裏へ戻る。
MOTO GUZZI V7 Classic @岩手山麓

2013年6月13日(木)
未明の小雨で街は湿っていたが、ほぼ曇天の予報は見事に覆り、昼前から青空。盛岡の最高気温28度8分。宮古は真夏日。いささか乾き過ぎ。



  目標を設け達成することが、
  価値のすべてになると、
  ありとあらゆる策にはしる者が現われる。

  手を黒く染め、
  人の血を舐め、
  数字を合せて
  力を誇示する。

  そのような権力者が君臨した時期は、
  不毛の時代と呼ばれ、
  いずれ記憶さえ焼却される。
Harley‐Davidson XL1200CA @八幡平

2013年6月12日(水)
盛岡は薄曇りから午後には水滴まじりの曇天。ところが、少し北上すれば、八幡平市は快晴。盛岡の最高気温は23度5分で、陽射しが無かった割には高め。



  失敗した者には仕事を与えない。
  それは死に等しいはずだと、
  群は信じ込んでいたんだろうね。

  だから、僕は、華やかな舞台の代わりに
  広大な天地と、果てしない道と、
  鮮烈な四季の移ろいだけを受け取り、
  この地に生きて来た。

  その中で、僕は、日々心を耕して汗を流し、
  仕事以上の収穫を知った。

  群の誤算は、
  僕が風に乗って走る人種であることを
  知らなかったことだ。

  順調というレールから外され、
  とてつもない楽園に辿り着いたのさ。
MOTO GUZZI 850GT @岩手山麓

2013年6月11日(火)
朝方の大気は高原地帯そのものだったが、日中は強烈な陽射しと照り返しで、ほぼ西日本並みの夏日。体感的な最高気温は公式発表の27度5分(盛岡)よりずっと上。



  来る日も来る日も
  この地を駆け巡っていたいと思い、
  家族を引き連れ、移住した。

  それ以外に正気を保ち、
  救われる方法は無いと思ったから、
  この山が見える街に
  終の棲家を設けた。

  それから、どれほど季節は繰り返した?
  どれほどの紆余曲折だった?

  何がどうあれ、
  流れ来る日々に視線を向け、
  走り続けて来た。

  何のことはない。
  今日も、この大地を走る私がいるだけだ。
  まんまと笑ってスキップする心があるだけだ。

  初心と寸分違わぬ私がいるだけだ。
MOTO GUZZI California Vintage @岩手山麓

2013年6月10日(月)
青空の濃度、太陽の熱、どれも今季最高。31度2分(盛岡)まで気温が上がっても、どこか大気はさらり。まして沿岸に出れば、乾いて軽い走行風は絶品。



  一度でも
  前を行くものを追い越せば、
  引き返せなくなる。

  前を行くものの全てが
  行く手を塞ぐものに思えて来るから、
  その背後につくたび、
  抜き去り前に出ることばかり考える。
  背後に追い付いてくる影を気にする。

  その流れの
  あまりの虚しさに減速することは、
  どこか敗北感にも似ているから、
  減速出来なくなる。

  まして、道端に停まり呼吸し微笑むなど
  あってはならないことになる。
MOTO GUZZI California Vintage @岩手県沿岸北部

2013年6月9日(日)
迷い無く空は開け、ゆるぎなく晴天。陽射しは強かったが、木陰の風は心地良かった。最高気温27度8分(盛岡)。



  越えるべきものには、
  まず気持ちを乗せる。
  すかさず勢いに乗る。
  後ろ足で蹴り飛ばす。

 (万事、その要領だ)
山屋エンジョイトライアル大会・練習風景 @花巻市

2013年6月8日(土)
前日の大雨を引きずることなく、夏空が広がった。「チャグチャグ馬コ」も汗したたる練り歩きになった。最高気温27度(盛岡)



  風景は、流れるから美しい。
  色褪せたものは、花をひきたてる。
  枯れ果てた樹は、森の賑いになる。
  行き倒れの骨は、光を吸って白樺。

  人間も、移ろうから幸せだ。
  凍結していても、春の風に微笑む。
  泣きはらしても、夏の太陽に乾く。
  熱情が冷めても、秋の色に燃える。

  今日一日は、風の中に流れる。
  今日の心は、風の中に移ろう。
Harley‐Davidson XL1200CA @岩手山麓

2013年6月7日(金)
午前中は温和な陽射しがあった。午後には次第に雲が広がり大気不安定。岩手山麓に雷鳴が轟き、所により大雨。夜を迎えて、ひと息。



  黒い火種を持つ家臣は、
  城を炎に包みかねない。

  だから、城は、
  体よく縁を切り、
  賑々しく送別し、追い払い
  累が及ばぬようにする。

  (そのような転身もある)
MOTO GUZZI 850GT @岩手山麓

2013年6月6日(木)
晴れていたのは朝方で、早々に薄雲が広がり、陽射しを和らげ、夕刻には水滴さえ感じた。それでも最高気温27度1分(盛岡)。



  すっかり、みたされて、
  誰がどうであれ、
  何がどうであれ、
  心は凪いで、
  とめどなく微笑みがあふれる。

  あとは健康だ。それだけだ。
  幾多の地獄に決着をつけて、
  腹の底から笑うには、
  健やかな体力と気力だ。
  変わらぬ天地と自分だ。

  (もう本当にそれだけだ)
MOTO GUZZI 850GT @岩手山麓

2013年6月5日(水)
晴れてはいたが、澄んだ晴天ではなく、熱気を含んで、けだるく白く霞んだ空だった。最高気温29度2分(盛岡)で納得。



  この世に真実を示すために
  シャッターを切るのは、
  証言というんだよ。
  告発というんだよ。
  闘争というんだよ。

  この世に自分を示すために、
  シャッターを切るのは、
  野心というんだよ。
  誇示というんだよ。
  露出というんだよ。

  俺は、日々、好きな眺めを
  この俺に残しているだけさ。

  (呑気なひとり遊びさ)
MOTO GUZZI V7 Classic @岩手山麓

2013年6月4日(火)
最高気温26度8分(盛岡)で済んだことが信じられないほど、視覚的には無慈悲な快晴と陽射しだった。だが、なるほど、夕風の心地良さは絶品だった。



  自由は、
  老いて、水の様に希薄な存在になった頃、
  ようやく許される。

  何を語ろうと、過去の人。
  何を創ろうと、余技の事。
  何を夢見ても、おとぎ話。

  そこまで見下され、
  そこまで油断され、
  初めて、白昼堂々の反逆が可能となる。
MOTO GUZZI 850GT @岩手県北部

2013年6月3日(月)
晴れていた。空気は澄んで、乾いて、肌に馴染んだ。適度な雲が陽射しを和らげ、景色に深みを与えた。最高気温25度4分(盛岡)。



  悲しいことを
  泣くことも忘れて
  受け止めてきた者は、
  器をひとつ授かる。

  美しいことや安らぐことを
  どれほど入れても詰めても、
  けして一杯にならず溢れず、
  心ゆくまで
  暗黒の記憶を花で埋め尽くせる器を
  授かっている。
MOTO GUZZI California Vintage @奥入瀬渓流(青森県)

2013年6月2日(日)
太平洋沿岸の暗く冷えた予報に弾かれるように秋田へ走った。極上の光と風に包まれ、メロメロ。最高気温25度(盛岡)。北東北全体、予報を置去りにする好天。



  何故、君は北へ向うの?
  そうかい。南に長く居たからかい。
 (おつかれさん)

  何故、君は西へ向うの?
  そうかい。東で疎まれたからかい。
 (おつかれさん)

  何故、君達は旅するの?
  そうかい。渡り歩くのが仕事かい。
 (おつかれさん)
Harley‐Davidson XL1200CA @鳥海山麓(秋田県)

2013年6月1日(土)
午前中は、強烈な陽射しで、風景は紫外線の中にあった。午後には、濃淡・明暗様々な雲の競演になった。最高気温28度7分(盛岡)。



  理不尽な風に抗い闘っていれば、
  とにもかくにも立っていられる。
  正義の名のもとに進んでいける。

  その嵐がぴたりと止んで、
  鳥がさえずり、人々は微笑み、
  まっすぐな道が現われた時、
  どう歩いていくのか。
  本当に試されるのは、そこからだ。

  安らかな日々の中に
  新しい物語を始めることほど
  難しいことはない。
MOTO GUZZI V7 Classic @盛岡市

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