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イワテバイクライフ 2013年11月前半


2013年11月15日(金)
何事も期待するな、と朝方の曇天は告げていた。だが、降ったのは午前中の霧雨程度で、午後には薄日がさした気もする。最高気温が10度9分(盛岡)なら上等。



  綴るほどの話は無い。
  誇るほどの宝は無い。
  斬るほどの仇も無い。

  凍て付く冬に抗わず、
  爛漫の春に浮かれず、
  ひたひたと暮し抜く。

  暗澹の時代に揺れず、
  不条理に声を荒げず、
  何事も無き者となる。
HONDA Monkey @盛岡市

2013年11月14日(木)
雲払われて放射冷却。朝方は冷え込んだ。日々、今季一番の冷え込みと騒ぐが、北国の大気の歩みは、そんなものだ。それより、最高気温が10度前後という方がニュースだ。実に助かる。



  ねえ、あなた。
  引き返した方が、いいみたい。

  いや、おまえ。
  踵を返した途端、滑り落ちる。

  一切のイメージを捨て、
  ゆっくり、したたかに、
  直線を踏んで駆け上がる他はない。

  (春は、その先に待っている)
MOTO GUZZI 850GT @岩手山麓

2013年11月13日(水)
盛岡の市街地も、所々うっすら雪の白さに染まった。初積雪?だそうだ。日中は雲と青空のせめぎ合い。光と影が大地を駆けた。最高気温6度5分(盛岡)。



  もっと、ずっと
  心柔らかく微笑んでいられるのなら、
  この空さえ捨てる。

  形だけの絆を負わされ、
  冷えた鎖で輪に繋がれ、
  ひたすら平穏無事を祈るだけなら、
  遥か異国の孤独を選ぶ。

  言葉は通じなくても、思いを交わし、
  深く頷き合える人々がいれば、
  そこへ心を逃がす。

  残された抜け殻は、
  此処で、ちろちろ燃えているから。
Harley‐Davidson XL1200CA @岩手山麓

2013年11月12日(火)
最低気温が氷点下2度前後で、今季一番の冷え込みなどと騒ぐのは、まあ、余所者。むしろ、断片的な陽射しと最高気温5度6分(盛岡)に感謝。



  裁きは難しい。

  裁く自分の立場を勘定に入れると、
  大概、片手落ちになる。

  同じ事件の判決が、
  時と場合で、白になり黒になる。

  その杜撰を突く告発は、
  法廷の存在自体を危くする。
MOTO GUZZI V7 Classic @姫神山麓

2013年11月11日(月)
朝方の青空の印象をかき消すような曇天。荒々しく、冷え切った雲の乱舞。盛岡で初雪を観測。近郊をうっすら染めた程度。最高気温8度3分(盛岡)。



  消え入る寸前の群は、
  自らの手柄や値打を
  大量の文書にする。
  御大層に製本し、世に配る。

  日々刻々の現場の移ろいや、
  名も無き者の働きの記述は、
  ただの一行もない。

  時代に総括された廃墟には、
  意味不明な文書が山積みされている。

  そのようなものを残す為に
  壮年の大半を費やす人生もある。
Harley‐Davidson XL1200CA @岩手山麓

2013年11月10日(日)
冬の前触れか。さほどの雨ではなかったが、強い風が「覚悟しろ」と脅して来た。夕刻には、すっかり落ち着いたが、かすかに雪の匂いがした。最高気温11度3分(盛岡)。



  いつもの店の空気が変わった。
  見慣れぬ年配のオカミだった。

  カウンターの向こうで、
  大将が、照れながら紹介した。
  「今日から、一緒に立ちます」

  子育てを終えた母親の
  初々しくも、ふくよかな笑顔に、
  僕たち夫婦は拍手した。

  (よかったね、本当に)

  家路に向かうタクシーで、
  二人、幾度も、そう呟いた。
HONDA Monkey @盛岡市

2013年11月9日(土)
10日以降は荒れ模様の予報。雪も降るとのこと。それだけに、穏かな晴天が愛おしかった。小春日和。最高気温11度4分(盛岡)。



  居心地が悪い場所を
  どうにかしようなどと思わない。
  居心地の良い時間を持てば、
  それで済むことだ。

  心を自分らしく染められたら、
  身体は牢獄にあっても、
  まんまと笑顔だ。

  (イメージは、誰にも奪えない)
MOTO GUZZI 850GT @岩手山麓

2013年11月8日(金)
前日の波乱の大気の余韻は濃厚で、朝方は局所的な霧雨。午後には温厚な青空が広々。最高気温は12度5分(盛岡)。



  大きな群は、
  でかい手柄を追いかけ、
  今日の空など見向きもしない。

  だから、僕は、落穂拾いの様に
  流れる雲や
  ゆらめく光
  雨音や雷鳴
  山を隠す霧
  舞踊る枯葉
  黙々たる雪
  そんなものをかき集めて、懐におさめ、
  市場に持っていくんだ。

  (存外、いい商になる)
MOTO GUZZI V7 Classic @岩手山麓

2013年11月7日(木)
立冬の朝にしては、ゆるい空気だった。最低気温が10度に迫った。日中は小雨断続。最高気温は12度9分(盛岡)。プラスマイナス、ゼロみたいな・・・。



  あなた、
  もう、その先に道はないわよ。

  いや、お前。
  とうの昔に道は途絶えていたのさ。
  仕方なく、歩く格好をして、時の河を辿り、
  私自身が終着点になる日まで、
  宙に足を上げ、腕を振っているのさ。

  (どうだい、うまいもんだろ?)
HONDA Monkey @盛岡市

2013年11月6日(水)
見上げれば、うっすら青空。見渡せば、薄霧を纏う山並み。それも、時間に任せておけば、そこそこ温和な眺めになっていた。最高気温15度7分(盛岡)。



  出発の朝を覚えているかい?

  めざす丘の上には、
  富も誉も無かった。
  ただ、仲間の心底の笑顔があった。

  心通じ合う精鋭達が、
  妖精の森を駆け抜け、
  伝説の天地を巡礼し、
  清々しく日は暮れた。

  それで、よかった。
  それだけで、よかった。

  (さあ、あの朝に帰ろう)
MOTO GUZZI California Vintage @岩手山麓

2013年11月5日(火)
やや霧が漂い、ぼんやりした青空と山の眺め。日が暮れる程に、大気は透明になり、鮮やかな夕焼けを見た。最高気温16度1分(盛岡)。



  昔々、同じ森で育った動物達が、
  山を支配したとさ。

  群の真ん中の大熊は吠えるばかりで、
  道理を尽くして説得する術を持たず、
  反対されることに耐える強さもなく、
  異なる思考を包み込む程の懐もなく、
  森の時代を共にした家来だけを集め、
  好き勝手したんだとさ。
  とうとう森の掟が山の掟になったんだとさ。

  その顔ぶれを、
  里では「森の家族」と呼んだとさ。

  結局、山は荒れ果て、
  家族は離散状態なんだとさ。

  (晩秋の風が、そんな童話を運んで来た)
MOTO GUZZI V7 Classic @岩手山麓

2013年11月4日(月)
ひどく楽観的な天気予報だった。朝方からの青空に誘い出されてみれば、空は暗転。通り雨に濡れた。夕刻には何事も無かったように回復。乾き切った。



  冬は、
  私の熱を奪いたくて、
  あれこれ手を回す。

  私は、
  すべてを先刻承知で、
  日々手を打ち笑う。

  結末を知っている者は、
  殊更に戦わず、
  時を送り流し
  去りゆくものに寛大だ。
BMW HP2 @岩手県北部 

2013年11月3日(日)
朝方は、多少の青空に気を許しかけたが、午後には予報以上にきっちり曇り、暗くなり、夕刻前から、しっかりと雨に濡れた。さほど冷えなかったことだけが救い。



  (世界へ発信などと容易く言うが)

  結局、ひとりの人間の思いなど、
  まっすぐ届かない、つながらない、
  ということを確かめるために、
  何かを虚空に叫び続ける、というのが、
  本当のところなのかもしれない。

  だから、ある日、
  心底、現実を飲み込めたら、
  一切の足跡を消して、
  日々の空を映した水鏡を凍らせ、
  遠ざかる口笛となろう。
HONDA Monkey @岩手山麓

2013年11月2日(土)
盛岡市で初氷観測。玉山区藪川で氷点下5度2分など、各地、今シーズン一番の冷え込み。なるほど、きりっとした晴天。放射冷却だ。それでも、日中は、のほほんと温もった。



  真面目な者を
  からかっちゃいけない。

  心の熱い者を
  ひやかしちゃいけない。

  真直ぐな者を
  斜めに見ちゃいけない。

  どんなに頑固で滑稽で無謀であっても、
  それを笑う者は悪役と相場が決まっている。
  理屈はどうあれ、人の情には敵わない。
  どうしても本当のことを言ってやりたければ、
  まずは袋叩きを覚悟することだ。

  (それが無理なら、微笑と拍手だ)
MOTO GUZZI 850GT @盛岡市

2013年11月1日(金)
すっきり晴れた。大気の透明度。陽射しの微熱。天空に舞う雲の軽やかさ。間違いなく極上の秋晴れ。最高気温16度3分(盛岡)。



  山を慈しむ気の無い者を
  その頂きに立たせちゃいけない。
  地図でしか山を見ないから。

  人に興味を示さない者を
  輪の中心に立たせちゃいけない。
  罰則で支配するだけだから。

  楽しむことをしない者を
  祭の先頭に立たせちゃいけない。
  ただ無事を願うだけだから。
Harley‐Davidson XL1200CA @岩手山麓

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