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イワテバイクライフ 2013年11月後半


2013年11月30日(土)
よくもまあ、陰気な空が続くものだ。さすがに慣れて来た。かすかな青空に期待することもなく、やがて降り出す雨や雪に驚くことも無い。そんなこんなで最も悲惨な北国の11月も終わりだ。



  全体が変質したとか劣化したとか
  嘆く暇があったら、
  せめて君だけは
  道のど真ん中を突き進め。
  黙って一目瞭然であれ。

  小さな群の都合の為ではなく、
  この地上の人々の為に、
  同じ空、同じ風、同じ季節を呼吸し、
  力の限り声を出し、思いを語り、
  生き抜け。
BMW HP2 @岩手山麓

2013年11月29日(金)
岩手広範囲に氷点下の朝。山間部は、うっすら雪化粧。それでも朝から青空らしきゾーンもあった。街も順調に乾いていたが、夕刻には小雨。 最高気温4度3分(盛岡)。



  うまくいっている時は、
  みんな、ものわかりがいい。
  理想は大手を振り、
  浪漫を求めて闊歩する。
  輝く笑顔で未来を謳う。

  でもね、残念なことにね、
  ひとたび歯車が狂い出すと、
  理想は俯き、
  積み上げた日々は色褪せ、
  始末を急かす風が吹く。

  その惨憺たる風景の中に
  ファイテイングポーズをとるのなら、
  何ものにも頼らない気概と
  何ものをも越えて行く志を
  持つことだ。
HONDA ベンリィ50S @盛岡市

2013年11月28日(木)
午前中は、気弱な青空の断片や途切れがちな陽射しがあった。午後にはすっかり腹を据えた曇天は、市街地を雨で濡らし、山間部を雪で染めた。



  本人が誠心誠意なのに
  もう結構、とは言えない。

  本人が意欲満々なのに
  この辺で、とは言えない。

  本人には生甲斐なのに
  次は無い、とは言えない。

  空気を読めない者と、
  伝え切れない者達のメリーゴーランドが
  寒空に回る。殊更に奇声を上げて回る。

  「たいがいにしろ」と
  鋼の野次が刺さるまで、回る。
HONDA Monkey @岩手山麓

2013年11月27日(水)
最低気温が0度9分。そこから5度1分(盛岡)まで這い上がったのだから、まあ、よかろう。ほぼ、冷えた小雨に濡れたまま。



  あなたは、
  何故、冷えて陰鬱な森へ出かけるの?

  それはね、
  硬直し、心を閉し、
  壊死していくものを観察するには、
  またとないフィールドだからさ。

  金を払ってでも
  この目で見届けておくべき、
  惨状だからさ。

  (本当の春のために、目を背けてはいけない)
HONDA Ape100 @岩手山麓

2013年11月26日(火)
最低気温が岩手各地で10度前後。とろけるような初冬の朝。午前中は青空や陽射しもあったが、常に小雨に濡れ、午後には、すっかり、どんより。最低気温とさほど変わらぬ最高気温。



  川の流れを切り分けられないように、
  天空の雲を半分にはできないように、
  人の世には、平等に分け合えないものがある。

  だから、
  誰かが、すべてを引き受け、
  誰かが、身を引くのか。

  それとも、
  永久に誰のものでもないことにするのか。
  悩ましい限りだ。

  (殺し合いにならなければ、まずは上出来だ)
HONDA Monkey @盛岡市

2013年11月25日(月)
よく持ち堪えたと言うべきだろう。朝から暗い空だったが、ごくたまに感じる水滴程度だった。夕刻になって小雨に濡れたが、さほど冷えた雨ではなかった。



  空から降って来るものに他意は無い。
  雨や雪や隕石さえも、
  何かに狙いを定めて落ちては来ない。

  けれど、
  人は、そこに己との関わりを妄想し、
  意味を引きずり出し、
  物語をでっち上げる。
MOTO GUZZI 850GT @岩手県沿岸

2013年11月24日(日)
朝方の街は濡れていた。道を駆ける飛沫が朝陽にきらめいた。県北に至って、天地は乾き、のどかな冬晴れとなった。



  心の華は、
  時の力という檻の中に咲く。

  格子に寄添い絡み付けば、
  可愛がられて、
  距離を保ち孤高を選べば、
  水を断たれる。

  (やがて造花で溢れかえる)

  奔放なイメージ。
  闊達な枝の展開。
  強靭な生命力が
  檻を内側から突き破り、
  地上に根を張る日こそ、
  時の華だ。
  
MOTO GUZZI 850GT @岩手県沿岸北部

2013年11月23日(土)
天気予報は、自信満々に晴天の一日を告げていたはずだが。よくもまあ、これだけ外れたものだ。青空を蹴散らすような冬雲の群。鈍色一色。最高気温10度3分(盛岡)。



  昨日は何処へ行ってしまったのか、だって?
  良く見てご覧よ。
  ほら、形や顔や心や常識を変えて、
  ちゃんと今日の中にあるよ。

  昨日とは、似ても似つかないけれど、
  今日が、それでいいと言い張るのだから、
  ま、いいじゃないか。
  とぼけて飲み込まれようじゃないか。

  (意地なんぞ張らずにね)
MOTO GUZZI 850GT @岩手山麓

2013年11月22日(金)
朝方は、暗く荒々しい冬雲が陽射しを飲み込んで流れていたが、みるみる青空が攻勢に出て、冬晴れは完成した。最高気温9度8分(盛岡)。



  どこまでも変わらぬ風景を見ていたい。
  だから、これまで通り頑張る。
  (わかりやすい話だ)
  そこに、夢や希望や大義を散りばめれば、
  未来永劫の道に見えてくる。

  ただ、その道の果てに待っているものが、
  遥か昔の夢や希望や大義だったとしたら、
  さて、どんなものだろう。
Harley‐Davidson XL1200CA @岩手山麓

2013年11月21日(木)
もやもやとした冬雲がわだかまり、気持は蹲ったまま夕刻を迎えれば、何やら斜光が岩手山らしきものを照らし出した。最高気温9度(盛岡)。



  若さは、先を急ぐ。
  目の前の力にすがりつく。
  どんなに黒くても、しがみつく。
  2年や3年先の光明を求めて
  遥か未来の自分を忘れて、
  とにもかくにも、しがみつく。

  今日も、ほら、
  老いた狼の尻尾を追いかけ、
  子犬が弾けるように駆けて行く。

  ある日、気付く。
  どす黒く汚れた手を見て気付く。
  何故、道は、どこまでも暗いのか。
  何故、夢は、萎み枯れ果てるのか。

  すがりついてはいけないものに
  やっと気付く。
Harley‐Davidson XL1200CA @岩手山麓

2013年11月20(水)
ようやく、らしい冷気の中で一日は動き出した。前夜の雨を集めて、水溜りは澄んでいた。洗われた落ち葉から晩秋の色がとけ出していた。最高気温7度3分(盛岡)。



  力の加減を知らぬ者は、
  ひとたび押して出ると、
  自らの勢いに陶酔する。
  相手を押し込めるほど、
  興奮にまかせ踏み込む。
  無駄な太刀を繰り出す。
  受身一方の構えの罠に、
  みるみるはまっていく。

  後になって、御釣りが、
  ずっしりと返って来る。
ヘリテイジ ソフテイル クラシック @北上高地

2013年11月19日(火)
小雨に濡れて夜は明けた。岩手全体に雷注意報が出て、曇天は不穏な空気を含んだ。稀に青空の欠片ものぞいたが、誰も心を許さなかった。最高気温7度9分(盛岡)。



  酒好きも女好きも
  つまり、因子です。

  若い男は学者のような口調だ。

  そうなんです。
  説明なんてできないんです。
  説明を求めてもいけません。
  「因子なんだ」と了解するほかないんです。

  では、訊くが
  うんざりするほどの全体主義は、どうだい。
  それも因子かい?
  私の問いに、深い溜息を漏らすと、男はこたえた。

  「核分裂的な因子です」

  それだけ言葉にすると、学者は軽く吐いた。
KTM 200EGS @北上高地

2013年11月18日(月)
下り坂に入っていたことは知っていた。だから朝の青空に浮かれなかった。雲に飲まれる岩手山も受け入れられた。不意の小雨も、まあ予定通りだった。最高気温13度2分(盛岡)。



  ねえ、あの面倒は、どうなったの?
  始末はつけたの?

  誠実に丁寧に始末するほどに
  人は鍵を手に入れる。
  まっとうな生き様という鍵をね。

  ひたすら、受け流し放置していると、
  次に押し寄せる面倒は、
  うんと複雑になり、
  ずっと曖昧になり、
  堪えきれない重さになるよ。

  不始末を塗り重ねた壁には、鍵穴さえ無い。
HONDA Ape100 @盛岡市

2013年11年17日(日)
早朝のフロントガラスの氷が、かすかに厚くなった。それでも日中の大気の柔らかさは絶品。岩手全体13度から15度の最高気温で、まずは、うららか。



  人と人の基本って、
  直に会うことだよ。

  言葉の響き、
  呼吸の間合、
  滲む心模様。

  人伝の人柄とは、
  およそ別ものの人物が、
  目の前で微笑んでいる。

  噂を信じて避けて来たものに限って、
  大きな幸が埋蔵されている。
@秋田市太平(太平トライアルパーク)

2013年11月16日(土)
11月も後半だ。それも北国の初冬だ。なのに、この弛緩した青空と陽射しは何だ。あたかも春霞だ。最高気温13度9分(盛岡)。



  チームって、
  ひとつの目標に向かって
  互いに助け合い支え合って進むものだよね。
  (そうだよね)

  めぼしい顔ぶれを揃えて主流を占めたり、
  わけもなく酒宴を開いて気勢を上げたり、
  くだらない抗争に臨んで勢力を競ったり、
  そんなことのために
  人を縛りつけておく輪のことじゃ、ないよね。
  (そうだよね)

  空洞と化した輪を保つ義理は無いよね。
 (そうだよね)
ヘリテイジ ソフテイル クラシック @岩手県三陸沿岸 ※撮影時期 2010年11月

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