イワテバイクライフ 2014年5月前半
2014年5月15日(木)
午前中は、思いのほかに青空がにじみ、薄日も射した。けれど、空は予報に従い、律儀に雲を広げた。あてもなく彷徨うには、ほどよい照明だった。夜を迎える頃、小雨。
薫風吹き渡る水鏡に 黒マントが立っていて、私の目を見据える。 「随分、無駄なことをしましたね。 あなたは、あのまま、何もしなくても、 今日、此処で笑っていられたのです。」 私は、口元をほころばせて返した。 「今日、此処で微笑む私がいる。 それが、すべてです。 道程など忘れました」 紆余曲折は、無数の花びらとなって、 さざ波立つ天空に舞った。 |
|
Harley‐Davidson XL1200CA @北東北 |
2014年5月14日(水)
強い陽射しに青空さえ、うんざりして白く霞んだ。一関市で全国放送となる31度1分をはじめ、岩手各地、熱を帯び、真夏になりたがった。
言葉は時代と共に変わる。 実にその通りだ。 けれど、 対面し、肉声で会話の出来ない群によって もたらされた言語の奇態は、 変化ではなく、衰弱だと感じる。 (抗議せず、歩調を合せず、我が時代を貫く) |
|
Harley‐Davidson XL1200CA @八幡平市 |
2014年5月13日(火)
前夜の雨に街は濡れていた。それでも昼前後には明確な青空と陽射し。ところが、夕暮れ時になって不穏な雲の跋扈。まれに風にまじる水滴。最高気温22度1分(盛岡)。
「気もそぞろ 机の下で 旅支度」 「じっとして 無傷土産に 人は去る」 「引き継ぎで 初めて明かす 大問題」 「元気でな 肩を叩いて 縁を断つ」 (季節は巡る。人も巡る) |
|
MOTO GUZZI 850GT @岩手山麓 |
2014年5月12日(月)
一切の希望を与えない予報は、実に的確だった。午前中の青空は、午後になって薄雲に覆われ、日も暮れる頃、かすかに水滴。最高気温25度7分(盛岡)
旅を続ければ、 前途に巻きあがるものが、ある。 その土煙は、豊かな実りの舞台の在処だ。 その火炎は、明日を画策する者の祝宴だ。 その噂話は、快走する者を狙った牽制だ。 そのようなものは、 触れず、踏み込まず、追うことなく、 そっと夕闇の彼方へ見送り、 次の地平へ心を向けるのだ。
|
|
MOTO GUZZI V7 Classic @岩手山麓 |
2014年5月11日(日)
高気圧に抱きすくめられて、見渡す限りの青空。日光は、すでに夏の熱で、道を焼き、新緑を沸騰させた。涼風を呼ぶには走るほか無かった。最高気温26度8分(盛岡)。
古い器は、 その中でしか通用しない 言葉や文法でみたされている。 そんなものを磨き競って うまく泳げたところで、 所詮は、その中の値打ちだ。 年老いて、器を追い出されたら、 寂しい異邦人だ。 |
|
MOTO GUZZI V7 Classic @岩手山麓 |
2014年5月10日(土)
薄雲は、やがて払われ、青空はぐるり彼方へ広がった。いささか霞んだ山の眺めではあったが、大気は涼やかだった。最高気温15度6分(盛岡)。
何かに 心を支配されず、縋り付かず、 行く先に顔を向けようじゃないか。 せきたてられず、乗せられず、 呼吸を盤石に保とうじゃないか。 まるめ込まれず、踊らされず。 火炎となる時を待とうじゃないか。 どこまでも道を信じて、 すっきり今日もひとり。 |
|
MOTO GUZZI 850GT @久慈渓流 |
2014年5月9日(金)
晴れているかと思ったら、暗転し、スコール。そして再びの青空。大気は情緒不安定なまま、夜の雨となった。最高気温17度6分(盛岡)。
人は、老いて初めて仕組みの正体を知る。 入口と出口。初めと終わり。 その二点に関しては、 己の存在が記録されている。 けれど、二点の間は、 空欄や意味不明な記号ばかりだ。 幸いにも道の途中で それに気付いた者は、 日々の風を掴み取り、 克明に記録し始める。 (旅の途上の物語は自身の筆に託す他はない) |
|
MOTO GUZZI California Vintage @岩手山麓 |
2014年5月8日(木)
朝の予報では、下り坂を転げ落ち暗い雨に濡れ、雷鳴を聞くはずだった。ところが、崩れる気配も無く、爽快な初夏の一日。絶品の夕風だった。最高気温23度6分(盛岡)。
時間が足りません。 めざすところは明確です。 リズミカルに進めたいのです。 待ちくたびれている暇はありません。 曖昧なものに付き合う忍耐はありません。 暗い思惑に振り回される義理もありません。 しがらみなくテキパキと 隠し事もなくハキハキと、 打てば響き、滑らかに回転する人々と 生きていたいのです。 |
|
Harley‐Davidson XL1200CA @岩手山麓 |
2014年5月7日(水)
昨日以上に空は澄んで穏やか。走行風の爽快感も一段増した印象。雲は控え目に流れ、急変の不安も無く、旅を励ました。最高気温17度9分(盛岡)。
わかるよ。 わくわくする道の その先を知りたいんだね。 わかるよ。 狭まり嶮しい道の その先を探りたいんだね。 でもね、それは無理な話だ。 道の先は 今日の光、今日の風、今日のあなたで、 がらり変わるからね。 |
|
MOTO GUZZI 850GT @北三陸 |
2014年5月6日(火)
清明な大気だった。光は風に揉まれ、あるいは鋭く、あるいは柔和に道を照らした。舞い踊る雲は、不意の影を大地に走らせた。最高気温17度(盛岡)。
嵐は、 どこに生まれ いかに拡大し どんな軌跡で なにを破壊し、 どこへ去った? それはね、 嵐に同化せず、 一点に立って、 一切を凝視し、 記憶した者に 訊ねることだ。 |
|
MOTO GUZZI California Vintage @北三陸 |
2014年5月5日(月)
傘マークが点在する天気予報を信じ、遠出は避けたのだが、思わぬ青空を見上げたり陽射しに包まれたり。結局、日中いっぱい雨知らず。最高気温19度2分(盛岡)のほど良さ。
いつもそうだ。 事の一切が終った頃、 鎮圧と言う名の道化がやって来る。 対応と言う名の無策が降って来る。 みんなが天使に生まれ変わった頃、 悪魔退治の強面が仁王立ちしたところで、 滑稽なだけだ。 (一昨日の風が、笑って撫でていく) |
|
MOTO GUZZI V7 Classic @盛岡市 |
2014年5月4日(日)
晴天の夜明けだったが、北上するほどに夕べの雨に濡れていた。日中は、陽射しが強かったが、風は涼やか。北東北の恩恵。最高気温18度9分(盛岡)。
言葉はいらない。 躍り出ればいい。 舞台の真ん中に 力を叩き付ける。 静寂を大歓声に 変るほどの力を。 実にそれだけで 潮目は逆転する。 |
|
ライダー:高橋由選手(国際A級) @青森県大鰐町 |
2014年5月3日(土)
思いがけない青空の朝だった。しばらく、つつましい陽射しに包まれたが、午後には雲が広がって、小雨。まあ、お湿り程度。夕刻には回復。最高気温25度1分(盛岡)。夏日の印象は無い。
空へ届くために 駆け上がる道がある。 幾度も失速し、軌道を乱し、 立ち往生して、下ったものだ。 あの斜面の土壇場の私が、 その後どうなったのか。 けして振り返ることなく、 歳月は流れたのだけれど、 嗚呼、また、この場所に戻って来て、 あの空を見上げるのだ。 |
|
@滝沢市 |
2014年5月2日(金)
昨日、雨をもたらした雲の残党が漂っていたが、のぞく青空は済み切り、岩手山の残雪の白さは、ぎょっとするほど鮮明だった。最高気温19度5分(盛岡)。
語り尽くして自分を表わす。 そういう手もある。 内に秘めて思いを滲ませる。 そういう筆もある。 日々の風を吸い私を飛ばす。 そういう空もある。 |
|
Harley‐Davidson XL1200CA @盛岡市 |
2014年5月1日(木)
雨上り、それも霧に包まれた朝。その後は、薄日が射したり、小雨に濡れながら雷鳴を聞いたり。そこそこのお湿り。最高気温20度9分(盛岡)。
何事においても 最初であることは、誇らしい。 (まあ、ニュースには、なる) でもね、 例え最後発であっても、 一番きちんと仕上げる者こそが、 本物なのさ。 (ニュースにはならないけれど) 先を急ぐ花火は、早々に立ち消える。 ※本文と画像は一切関係ありません。 |
|
@花巻市 ※画像は過去のものです。 |