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イワテバイクライフ 2014年12月前半


2014年12月15日(月)
選挙から一夜明けて、うっすら新しい雪。日中はのどかな青空に岩手山が浮き立った。最高気温プラス0度2分(盛岡)。体感的には1月の寒気。



  それは、
  巨大なスクランブル交差点だった。
  信号待ちの群衆にまじって
  小雪に染まっていると、
  道路の向う側で街頭演説が始まる。
  その言葉は遠い異国からの電波のようで、
  ビルの谷間に途切れ途切れだが、
  冬をとかす熱がこもっている。

  と、目の前の女性が振り返り、
  私の目を覗き込む。
  「○○の妻でございます。
  どうか、よろしくお願いします」と
  握手を求めて来る。
  聞いたことの無い名前を反芻するうち、
  青信号を合図に人波は堰を切った。

  (そんな夢を見た)
KTM 200EGS @盛岡市

2014年12月13日(土)
ようやく雪がとけた途端、チリチリ小雪が降り積もる。大気は冷え切り、まずは上質の薄化粧。最高気温マイナス1度1分(盛岡)。平年より3週間近く早い真冬日。



  すっかりみたされて、
  なお手を伸ばす虚空に何がある?

  すっかりやり遂げて、
  なお燃え盛る松明で何を照らす?

  すっかり心は決って、
  なお求め続ける理由とは何だい?

  旅の終わりが寂しいと、
  昔懐かしい空腹感や
  見送ったはずの戦や
  何とも曖昧な希望を
  追い掛けたくなるらしい。
HONDA ベンリィ50S @盛岡市

2014年12月12日(金)
午前中は青空の印象があった。午後になって曇が巻き返したが、それでも空を塞ぎ切るまでには至らず、山の眺めもあった。最高気温3度1分(盛岡)。



  喧騒のスイッチを切る。
  (真実の声は、か細い)

  直情の波をやり過ごす。
  (瞬間の炎は、虚しい)

  轟々たる渦から離れる。
  (巨大な祭は、怪しい)

  とぼとぼと辿る道のその先に、
  今日の言葉が待っている。
  ほのかな灯が揺れている。
Harley‐Davidson XL1200CA @岩手山麓

2014年12月11日(木)
湿って、けだるい空。小雨は、やがて水溜りを作り、日陰の残雪をとかした。黒く濡れた木々の枝が、雫をしたたらせた。最高気温2度4分(盛岡)。



  その丘のことは、
  ぼんやり知っていた。

  けれど、丘の向こうのことは、
  戦いが終るまで、けして知らされなかった。
  (なるほど、と今思う)
  そうでなければ、誰も血を流したがらぬわけだ。

  老いて丘を追われる者にだけ見えてくる楽園。
  その予感を抱き、
  降り注ぐ至福を受け止める器を準備した日々。

  (戦場に冬眠し続けた記憶)
HONDA ベンリィ50S @岩手山麓

2014年12月10日(水)
冬雲の切れ間にのぞく青空は、やがて午前の頭上いっぱいに広がった。午後は曇っても、どこか温厚な空気だった。最高気温4度5分(盛岡)。



  日々、幾多の眺めを切り出しても、
  所詮は、私という額の中の出来事だ。

  (もう、これからは)
  心のままに舞い踊り、
  あるいは、立ち止まり、
  今日の風を埋めて行く。
  そのように、
  歳月にとけていければ、
  よいのだが。
MOTO GUZZI 850GT @岩手山麓

2014年12月9日(火)
終日曇天の予報を聞かされただけに、戸惑うほどの青空と柔らかい陽射し。午後には雲が覆いかぶさり、陰鬱の色を濃くした。最高気温3度3分(盛岡)。



  大根役者が、やたらに頑張る場面は、
  決まっている。

  登場直後と
  退場寸前だ。

  その間は、台本の棒読みだ。
HONDA ベンリィ50S @岩手山麓

2014年12月8日(月)
うっすら青空。かすかにやわらいだ寒気。街の雪も随分とけた。それでも近年に無い師走序盤の北国モード。最高気温2度5分(盛岡)。



  これもいらない。
  それもいらない。
  あれもいらない。

  黙々整理していたら、
  ひとりぼっちの影が立っていた。

  (そこがスタートラインだ)
KTM 200EGS @岩手山麓

2014年12月7日(日)
朝から晴れた。純度の高い空の蒼さだった。陽射しは危険な程に快活だった。夕暮れの冷気は本気の冬だった。最高気温2度4分(盛岡)。



  大それた考えは、
  明快な青空の下に生れる。
  自由な旅路の中で膨らむ。

  それを実行に移すのは、
  嵐の晩だ。
HONDA Monkey @盛岡市

2014年12月6日(土)
回復を願う気持ちなど重い冬雲に捻じ伏せられ、ただ、ちりちりと街を染める小雪を見つめるばかり。最高気温0度0分(盛岡)。



  己を縛る鎖が
  他人より一本多いということは、
  その分警戒されている、ということさ。

  力を認められると
  鎖を引きち切りたくなるものらしい。

  (野性は、いきなり噛む)
HONDA Ape100 @岩手山麓

2014年12月5日(金)
午前中は、思いがけない青空。岩手山もくっきり。午後には曇って小雪が舞った。最高気温マイナス1度6分(盛岡)。声高に真冬日と叫ぶほどではないけれど。



  絶対的少数の群が
  固く身を寄せ合えば、
  その輪の中に限って絶対的多数派だ。

  その空気を維持するために、
  異質と見られるものが必要になる。

  指差し、嘲笑い、小突き回し、
  束の間、矜持を幻想する道具が欲しくなる。

  (地上には、そんな砦がひしめき合う)
HONDA Ape100 @岩手山麓

2014年12年4日(木)
昨日の雪を引き継いだまま朝を迎えたが、大気全体から寒気は抜けていくばかりで、夕刻には、幹線道路や歩道の雪も随分とけた。最高気温3度(盛岡)。



  移ろうものに
  何を訴えるのだ?

  流れ去るものに
  何を約束するのだ?

  うわの空に
  どんな御伽噺を聞かせるのだ?

  (議場の外で画策はしない)
HONDA ベンリィ50S @岩手山麓

2014年12月3日(水)
予想外に分厚い銀世界だった。朝の積雪が約20cm。日中も時折吹雪いたが、所詮は12月初旬の空気。湿り雪は、崩れて、とけたがる。最高気温プラス0度9分(盛岡)。



  自身の今日は
  そこそこ記録し把握できるものだが、
  地上のすべてに目配りする余裕は無い。

  (だからさ、時にね)
  インチキの風に飛ばされ、
  でたらめな雨にずぶ濡れ、
  うさんくさい雪に埋れる。

  (それでも、まあ)
  律儀に受け流し、
  惚けてやり過ごすのも
  修行のうち、なんだろうねぇ(笑)。
GASGAS TXT PRO @滝沢市

2014年12月2日(火)
最低気温がプラスだからと、たかをくくっていた。雨は白い粒に変わり、やがて吹雪き。とけるより早く数センチの積雪。ぐしゃぐしゃの雪。日中の気温はプラス0度台(盛岡)。



  気付いてしまったことを
  露も気付かれることなく
  気を遣う道もあるだろう。

  そんな臆病を笑い飛ばし、
  祭り騒ぎの坩堝に向けて
  蹴飛ばす道もあるだろう。

  (君は、どっちだ?)
HONDA ベンリィ50S @盛岡市

2014年12月1日(月)
空の行方に心さえ動かぬ雲の重さ。時折強まる雨音。しのび寄る寒気。なにせ師走だもの。最高気温11度7分(盛岡)。



  声を出せば出したで、他人は遠ざかる。
  押し黙れば黙ったで、他人は誤解する。
  一人師走の雨に濡れ、世界と和解する。
HONDA Monkey @盛岡市