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イワテバイクライフ 2015年5月後半


2015年5月31日(日)
空の回復は早かった。前夜の小雨に洗われた大気は清明で、何より風は涼やかだった。最高気温22度7分(盛岡)。



  深夜の旅籠には、
  三人だけだった。

  牛鍋を囲んで議題に入った。

  城に眠る莫大な文書から、
  過去の一切を暴く。

  大それた話に酒が加勢し、
  ろれつの回りも怪しくなり、
  飲めや歌えの宴会になったところで、
  ぐるりの襖が払われた。

  灯は蹴飛ばされ
  白刃が闇にはしった。

  (そんな夢を見た)
@北上高地

2015年5月30日(土)
狂った五月の熱気に誰も首をかしげないのであれば、轟音とともに原子雲がわき立ったとしても、表情を変える者はいないのだろう。最高気温31度2分(盛岡)。



  事は起きる。
  突如起きる。

  その瞬間までの風景は、
  底なしに曖昧いで、
  全世界は口をつぐみ、
  光と影が音も無く舞うばかりだ。

  「けして道の先を考えるな、
  露ほども思ってはならない」
  風は、そうささやくと、
  一気に彼方へ飛び去った。
@岩手山麓

2015年5月29日(金)
夏空を見上げて二戸市まで走った。うんざりする暑さだった。なるほど、県内一番の最高気温30度だった。いったい、どれだけの夏が発生するというのだ。



  ほら、
  あの日、
  狂った様に闘っておいて、
  よかっただろう?

  ほら、
  この日、
  どこまでも心は穏やかで、
  ニンマリだろう?

  まだ見ぬ私のために、
  鬼の記憶を刻む日々はある。

  
@岩手山麓

2015年5月28日(木)
夕べの小雨などお湿りにもならず、朝から乾いたまま。その後も薄雲に覆われ、時折の陽射しも薄っすら。夕闇には、かすかな雨の気配。最高気温22度5分(盛岡)。



  ふっと、差し出される瞬間。
  これが最後の風景と心得、
  にこやかに抱き締めれば 
  道は軽くなる、伸びていく。
@岩手山麓

2015年5月27日(水)
岩手全体、均一に雲に覆われ、まれに薄日が滲む程度。朝晩は小雨に濡れた。内陸では夏日に遠く及ばず、沿岸では15度前後まで。



  あれこれと
  気をまわし
  手を尽くし
  どうなった?

  ぼんやりと
  突っ立って
  眺めていて、
  どうなった?

  (大差無いことも、ある)

  とっくに答えが出ていることに
  どう向き合ったか。
  凡人は、そんなことで試される。
@岩手山麓

2015年5月26日(火)
いささか、晴天というものに飽きたのかもしれない。五月を遥かに飛び越えていく夏空と汗を誘う陽気に嫌気がさしているのかもしれない。内陸では真夏日前後まで気温上昇。



  お日様は、
  人の腹の底など、
  とうの昔にお見通しだから、
  人は人で、
  心にも無い言の葉を並べ、
  この五月晴れに
  囀るほかはない。
@北上高地

2015年5月25日(月)
盛岡の最高気温が27度4分。こんな陽気が当たり前の様に続く。青空は、爽やかというレベルをこえて、どこか不敵だ。年毎に大気の構造変化が進む。



  繰り返し、
  消えゆくものは、
  心得ている。

  驚くほど潔く
  見事なまでに淀みなく、
  一切の残影を許さない。

  だから、人は、
  夢中で春を愛し、
  秋の後先すら思わず、
  突然の冬を受け入れる。
@八幡平市

2015年5月24日(日)
三陸沿岸各地で31度台を記録。突き抜ける空の蒼さ。肌に差し込む太陽の熱。夏でもないのに、夏を演じる五月。



  片隅で、いい。
  確かに此処に立ち止まり、
  束の間でも、海の彼方のことを
  思う影があったことを、
  海鳥よ、覚えていてくれ。
@三陸沿岸

2015年5月23日(土)
快晴の朝。明確な陽射しは北東北の五月とは思えないものだった。最高気温27度2分(盛岡)。ちなみに一関は真夏日。沿岸各地も真夏日寸前。



  遠ざかるものの美しさに
  気付かない。

  いつも前しか見つめていないから。
@岩手県北部

2015年5月22日(金)
朝から透明な大気だった。空の蒼さも、光の柔らかさも、楽園の類のそれだった。厳しさ暗さの記憶を寄せ付けない五月晴れだった。最高気温度分(盛岡)。



  誇らしげに聳えるものなど、
  放っておくがいい。

  聳えていたものが
  やがて衰え、
  人の目の高さになったら、
  愛でてみようか。
@八幡平

2015年5月21日(木)
午後には晴れる。朝の予報は元気だった。ところが、昼前には本気の降雨。昼の予報は一気に弱気。それでも、まあ、夕刻になって明確な晴天へ移ろった。最高気温16度(盛岡)。



  澄み渡る空は、
  時に残酷だ。

  人の老いを照らし出す。
  遠目にも明らかにする。
  一瞬で全てを語り尽くす。

  陽光は
  屈託なく、あたり構わず、
  声を掛け、ほじくり回し、
  身を縮める者を
  広場の中央へ引きづり出す。

  だから、時々、
  天空に向って引き金を引く者が
  現れる。
@岩手山麓

2015年5月20日(水)
霧が払われ、霞み加減の青空。そこから先は、すっきりせず、暗い雲が流れ込み、夕刻には風に乗って水滴が吹き付けた。最高気温24度5分(盛岡)



  凄い空を仰げば、
  凄いものを描きたくなる。

  そんな日々を追い掛けながら、
  凡庸な道に欠伸する。

  結局、ありのままの心も写せぬまま、
  ひとかどの気分だけ書き連ね、
  今日の空白を埋めていく。
@岩手山麓

2015年5月19日(火)
朝方は水溜りを騒がせる雨。その雨も止んでいったが、曇天止まり。乾き切れない一日だった。最高気温17度9分(盛岡市)



  内に甘く、
  外に辛く。

  そんな了見で組み上げられた塔は、
  どこから見ても歪んでいる。

  (気付かないのは塀の中だけ)
@姫神山麓

2015年5月18日(月)
午前中は透明な青空。やがて白く霞んで、ぼんやり。夕刻には、すっかり曇り空。予報以上の下り坂。最高気温24度8分(盛岡)。



  ほったらかしておいたら、
  人影も無いまま
  一日が終る。
  そんな風景が延々続く。

  だから、
  そこに立ち止まり、
  束の間、場を占める。

  (今日も何処かで点景となる)
@十和田湖(青森県側)

2015年5月17日(日)
無愛想な曇天で朝を迎えた。少しづつ雲は払われたが、昼ごろ、いっときの降雨。その後は一気の回復。澄んだ五月晴れ。吹き渡る薫風。最高気温19度3分(盛岡)。



  繰り返される眺めがある。

  そこに佇めば、
  今年のことか、
  去年のことか、
  あるいは、
  ずっと先の、ある年の事か
  すっかり分らなくなるほど、
  相変わらずの一日なのだ。

  目を閉じれば、
  草の香り、
  泥の匂い、
  陽の微熱。

  歳月にとけ込む今日の私。
@岩手山麓

2015年5月16日(土)
朝方は大気に雨の匂い。街は濡れていた。ところが、昼過ぎには瞬く間に青空が拡大し、乾いた風が吹き渡り、爽快な夕闇へ移ろった。最高気温21度8分(盛岡)。



  常に予感し、
  覚悟を決めておくことだよ。

  突然の悲しみに潰されないように。
@盛岡市

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