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イワテバイクライフ 2016年10月後半


2016年10月31日(月)
午前中から雨を覚悟させる空だった。昼前には、ぽつりぽつり来て、午後には思いのほかに強く降った。最高気温8度3分(盛岡)。



  負の感情は、
  心に浮かべた瞬間、
  すでに危ない。

  思いは、色となり、
  言葉は、針となり、
  風の香りを一変させるから、
  嗅覚を張り詰める影たちが、
  見逃すはずはない。
@岩手山麓

2016年10月30日(日)
前日の予報からすれば、戸惑うほどの朝の晴天。日中は穏やかな陽射しを浴びた。が、明るさ程の温もりは無く、夕刻以降は冷えた。最高気温12度6分(盛岡)。



  仲間以上は、盟友。
  盟友以上は、兄弟。
  それ以上は、さて、何と呼ぶ?

  通じ合い、支え合い、与え合い、
  光から影まで支配共有する絆を
  何と呼ぶ?

 (美化されるほどに、危い)
@岩手山麓

2016年10月29日(土)
朝から空は蒼かった気がする。確かに日中も陽射しはあった。けれど温もりに乏しく、流れゆく雲の影が冷え冷えだった。最高気温9度9分(盛岡)。



  世の歓心を買うための営みは、
  完結することなく立ち消える。

  風が変る度、御破算を繰り返し、
  説明不能の神輿や標識や空白が残される。
  御伽噺を綴った何万ページという文書が
  風に飛ばされていく。
@岩手県

2016年10月28日(金)
朝の青空を見上げて戸惑ったが、間もなく予報を追いかけるように雲が広がり、陽射しは薄弱となった。色褪せた一日。最高気温11度6分(盛岡)。



  伝えられるべき事が
  一切伝えられないという
  驚くべき事実を目撃する為に、
  日々古い窓を開く習慣には、
  意味があるのかもしれない。

  (シーラカンスは現代史を語る)



  ※本文と画像は無関係
@北東北

2016年10月27日(木)
昨日に比べれば、まあ、少し冷えたかもしれないが、秋晴れに、ほど良く舞う雲が調和して、上々の一日だった。最高気温13度4分(盛岡)。



  まねかれざる客に
  紳士を気取って、
  もてなしの風呂敷を広げていると、
  発酵するのは、
  軽蔑の気分なのかもしれない。

  (ありのままが、結局、誠実)
@岩手山麓

2016年10月26日(水)
雨上りの青空で始まった。しかも、二桁の最低気温で、戸惑う程の空気の柔らかさ。日中も、ほんわか晴れのち夕方から曇り。最高気温は20度3分(盛岡)。



  光の中に立てば、
  いずれ、影がやって来る。
  それを噛みしめるかどうか、だよな。

  影に飲まれて気も失せて、
  次の光を受け止め損ねる姿を、
  どれほど見て来たことだろう。
@岩手山麓

2016年10月25日(火)
昼過ぎまでは、どこか、ほんわかした晴天だったが、夕刻前には雲が広がり、ついには夕闇を濡らす雨。最高気温15度1分(盛岡)。



  明日がどうなるか、
  それは、霧の中だ。

  明日をどうしたいのか、
  それは、胸の内だ。

  ならば、
  夢を見据え、
  それに従い、
  今日を生きることほど
  現実的なことはない。
@北東北

2016年10月24日(月)
愛想の良い予報なんぞ、現実の空に刻々塗り替えられていく。三陸沿岸の夕刻は、暗い雲に覆われ、所により小雨。山間部の風に冬が匂った。最高気温14度5分(盛岡)。



  物事が
  音を立てて動き出すと、
  あとは一気だ。

  いつもの選択を
  一寸変えるだけで、
  ごろっと景色が変わることもある。

  そう思えたら、
  間髪を入れず加速する。
@三陸沿岸

2016年10月23日(日)
午後には天気回復と聞いていたが、北へ走るほどに雲は増し、陽が遮られることが多かった。家路は冷えた。最高気温15度8分(盛岡)。



  突発的な出来事のすべてが、
  偶然の産物とは限らない。

  そう意識しておけば、
  慌てふためくこともなくなるし、
  何より、身の安全の確率は、
  劇的に向上するはずだ。
@北東北

2016年10月22日(土)
盛岡市玉山区藪川で最低気温が氷点下4度4分。今朝本州一の冷え込み。日中は薄雲に覆われた。で、最高気温は15度。



  この地上に
  眺めは、星の数ほどだ。

  とりわけ、
  心の風景は尽きることが無い。

  向き合うほどに
  目は見開くばかりだ。
@北東北

2016年10年21日(金)
朝、荒々しい雲を見た。初冬の気配をにじませる雲の帯が岩手山の頂をかすめて流れた。日中はのんびり秋晴れ。最高気温度分(盛岡)。



  ひたすらに優しいだけ。
  それも罪のひとつかな。

  何がどうであれ、
  穏やかに微笑んで、
  波風を立てないでくれと、
  懇願する了見は、
  結局、底無しの悪かもしれない。

  生きている限り、
  心に風が巻き起こるのは、
  自然なことなのに。

  時と戯れ、童。
  場に臨み、鬼。
  人は、その狭間で揺れているのに。
@岩手山麓

2016年10月20日(木)
どこか湿った朝の大気。少しづつ晴れたが、昼前、所により通り雨。それでも夕刻の陽射しは乾いて軽やか。柔和な風だった。最高気温21度1分(盛岡)。



  その寂寥感が
  どこまでもどこまでも
  追って来る。

  振り返れば
  稲藁焼きの煙。

  日没の時を迎えて
  家路は、あと200km。

  エンジンに火を入れ直し、
  走り出そうとすると、
  道端にアンドリューワイエスの影。
@北東北

2016年10月19日(水)
これぞ、という秋晴れだった。一片の雲も立ち入る余地は無い完璧な青空だった。ハイライトは夕刻の斜光。光と影の競演は圧巻だった。最高気温度分(盛岡)。



  だから、
  その声で何を物語るの?
  その糸で何を奏でるの?
  その色で何を染めるの?

  技ひとつを
  表現と勘違いしていないか?
@岩手県

2016年10月18日(火)
朝方は濡れていた。ひどい霧だった。すっかり視界が開けたのは、県境を越えてからだった。後は、まあ、温和な一日だった。最高気温25度(盛岡)。



  サングラスの年増が、
  画面を横切った。
  ふたつ、みっつシャッターを切ると、
  その影は、
  ファインダーの横に立っていて、
  「船、出るよ。乗らないの」と
  世話を焼いてくる。

  「明日、乗ります」と
  いい加減な返事をすると、
  「だば、あっちの港で会えるね」と
  影は笑った。

  いつか、きっと、
  この船に乗るんだな、と予感して、
  最後の一枚を撮った。
@北東北

2016年10月17日(月)
空の暗さや街の湿り具合から、次の雨に身構えたけれど、耐えに耐えてくれて、おまけに回復の気配。最高気温18度(盛岡)。



  ショップの倉庫に預けていたバイクのことを思い出した。

  かなり昔のことだが、果たして、それは無事眠り続けていた。
  ワインレッドのタンクもなまめかしいビンテージレーサーだ。
  私は、その美しさに舞い上がり、引き取ることを申し出る。

  店の主人は、三本指で月の預かり料金を示す。
  3千円かと問えば、3万円の返事。
  年間36万円の計算だが、
  さて何年間のことなのか判然としない。

  初老の元メカニックは手帳を懐から抜き出すと、
  「お客さんが、初めて、この土地に来た年以来だ」と明かす。
  10年か、あるいは100年か。記憶は曖昧になる。

  すると、見覚えのある女が件のタンクを撫でて言った。
  「あなたは、とうとう、老後の蓄えに手を出すのね」

  答えに辿り着けない計算を繰り返すうちに
  夢は遠ざかった。


@岩手県

2016年10月16日(日)
秋晴れ続き。温和な陽射しに、見晴らす眺めも微笑んでいた。ただ、天気は下り坂。夜には雲が広がって来た。最高気温20度6分(盛岡)。



  どんなに乾いた大地にも、
  いずれ慈雨は降り注ぐ。

  どんなに乱れた時代にも
  きっと天使は飛来する。

  どんなに陰鬱な精神にも、
  ほら眼前の今日がある。
@盛岡市 

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