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イワテバイクライフ 2017年5月後半


2017年5月31日(水)
晴れてはいても、全体白く霞み、山の眺めも無かったが、明らかなのは気温の上昇で、熱気がこもった。最高気温29度6分(盛岡)。



  遊覧船の出発時刻。
  桟橋を叩くハイヒールの音。

  間に合った日傘に
  シャッターを切る瞬間、
  かすかな恋をしていた。  
@北東北

2017年5月30日(火)
朝から不透明な空だった。青空も陽射しも白濁し、山の眺めは「ただ、あるだけ」だった。かすかな蒸し暑さも感じた。最高気温26度5分(盛岡)



  まろやかな夕風に包まれ、
  「ねえ、ノリック」と呟いてみる。

  「君の最期の理由を
  思い巡らせているよ。
  もしや、君は、その瞬間を
  鮮やかに予感していなかったか?」

  真実に至る寸前で
  持っていき場を失い、
  破り捨てられた直観は、
  宵闇の彼方に散っていく。

  
@岩手県北部 

2017年5月29日(月)
夏日などと一括りにしないでくれ。透明な陽光。大気の乾き。風のまろやかさ。実に第一級の五月。最高気温26度9分(盛岡)。



  君は君で、
  そこで頑張ってくれ。
  僕は僕で、
  ここで心鎮めるから。

  夕闇の頃
  何か答えを得たなら、
  君は君で
  そこで乾杯してくれ。
  僕は僕で
  ここで焚火するから。
  
  同じ空の下、
  同じ風に吹かれ、
  君は君。
  僕は僕。
@北東北

2017年5月28日(日)
空は回復へ向かっていることは歴然だったが、予想以上に残留の雲は多く、暗かった。それでも、夕刻の空に岩手山のシルエットが鮮明だった。最高気温20度3分(盛岡)



  人影も稀な山上の彼方へ
  何事もなかったように
  微笑を送る影は、
  人生の二度や三度を
  灰にしたことがあるに違いない。

  振り返りたくなる衝動を振り切って、
  流れ来るものに夢中になるしか、
  道は無いのだろう。
@北東北

2017年5月17日(土)
朝方まで雨に濡れたが、回復は思いのほかに早く、午後には少しだが陽射しや青空があった。最高気温20度7分(盛岡)。



  誰かの思惑。
  内輪の都合。
  時々の弾み。
  辻褄合わせ。
  そんなところから転がり出る
  己の明日の行方を
  物静かに受け止める君は、
  大人というべきか、
  あるいは
  博徒と呼ぶべきか、
  はたまた、
  廃人とみるべきか。

  疑問符を噛み殺し、
  崩れゆく夢を俯瞰する残酷だけが、
  リアルなのだろう。

  
  

  
@北東北 

2017年5月26日(金)
なお空は雲に塞がれ、風景は平板。ただ、大気に不快感は無く、過ごしやすかった。夜を迎えて雨音。最高気温20度(盛岡)。



  伝えるべきことを
  伝わらないように
  伝える魂胆ほど
  鮮やかに伝わってしまう。
@北東北

2017年5月25日(木)
朝から曇天。雨に濡れる覚悟はできていたが、案外、雲は薄く、時折、空はかすかに明るかった。夕暮れの風に水滴がまじった。最高気温19度4分(盛岡)。



  世事に疎いお人よし。
  それで良かったのだと思う。

  叩かれても、にっこり。
  斬られても、ぼんやり。
  撃たれても、もじもじ。
  (そんなゆるさだから)
  いつも埒外に居て、
  怪しい波に乗らず、
  背後の影に怯えず、
  無用な総括をせず、
  馬鹿な忖度もせず、
  ありのままに日々を流した。

  それで困ったことにはならず、
  結局、この日に辿り着いた。
  (あの騒ぎは,何だったのだ?)
@八幡平

2017年5月24日(水)
前夜の地鳴りのような雷。朝、街はかすかに濡れていた。曇ってはいたが降雨には至らず、時折、薄日がさした。最高気温22度4分(盛岡)。



  あまりの静けさに気を許して
  通い詰めていると、
  人に囲まれ
  何を撮る?
  何故撮る?
  家は何処?
  里は何処?
  歳は幾つ?
  仕事は何?
  役職は何?
  今度はいつ来る?
  しまいには、うちへ来いと
  引っ張られるから、
  曖昧な旅人となって
  その場を離れることになる。

  潮時を悟り、
  次の土地へ流浪する。
@北東北

2017年5月23日(火)
もはや五月ではない。夏の真ん中の、うんざりするほどの熱気だ。それでも徐々に薄雲が広がり、明日には降雨の気配。最高気温29度(盛岡)。



  ひとりで走っていると、
  やがて言葉を忘れ、
  思いの色が濃くなるばかりだ。
@北東北

2017年5月22日(月)
真夏の空は、たまたまのことではなく、このまま果てしなく続くように思われた。最高気温29度8分(盛岡)。


  風の中で
  ふと物語が浮かんだ。
  胸に迫る流れだった。
  ところが、
  光と影が連続する道を
  夢中で泳ぐうちに
  せっかくの話を
  見失った。

  (いつものことだ)

  道端で呼吸を整え、
  記憶を辿っていると、
  水鏡が呟いた。

  「それはね、
  一切の悲しみが、
  蒼い天地に吸われて、
  流す涙を失った日のことです」
@北東北

2017年5月21日(日)
快晴は続くが、日毎に大気は不透明。感触は油照り。だから何だと、どこまでも太陽がついて来る。最高気温30度5分(盛岡)。



  振り返ったところで、
  振り切るものもない。

  先を思ったところで、
  浮び来るものもない。

  今日も、
  心ゆくまで、
  道端に時を止める。
@北東北

2017年5月20日(土)
また快晴だ。思いつめたような青空の行進だ。五月を忘れて気温は上昇し、真夏日になった所まで現れた。熱気に山が霞んだ。最高気温28度2分(盛岡)。



  誰にも
  その気になれば、
  うまく出来ることはあるだろう。

  だからといって、
  片っ端から試してみたり、
  証明してみせたりする暇が、
  あるのかい?

  無縁な汗のうちに
  至福の季節を
  掴み損ねてしまうことも
  あるだろうに。
@北東北

2017年5月19日(金)
五月晴れも日毎に逞しくなり、陽射しは不敵で、壁を白くして、影を鋭くして、真夏の背中を見た気がする。最高気温26度5分(盛岡)。



  何も起きない。
  何も起こさない。

  それは、
  人によっては、
  大変な事態なのかもしれない。
@三陸沿岸

2017年5月18日(木)
迷い無く五月晴れの連打。ふらふらする雲を許さない大気の意志。まっすぐ届く太陽の熱。最高気温24度6分(盛岡)。



  陽だまりの片隅を得て、
  静けさを眼差しに宿し、
  思いを声にせず、
  明日など語らず
  記憶とならず、
  影さえ残さず、
  後回しにされ、
  捨て置かれ、
  先住の群に
  隠れ棲む。
@八幡平

2017年5月17日(水)
朝方の控えめな予報を遥かに超えて、完璧な五月晴れとなった。風景の明度。青空の濃度。光線の深度。大気の純度。最高気温21度9分(盛岡)。



  水は雲を泳がせ、
  人の思いを映し、
  風を浴びて笑う。

  わだかまり無く、
  万年の五月達が、
  今日の光となる。
@岩手山麓

2017年5月16日(火)
梅雨寒と形容したくなる一日。午前中は、びたびたと雨が降った。時折の陽射しも雲の群れに揉まれて連れ去られたが、夕刻になって晴れ間が拡大。最高気温16度2分(盛岡)。



  無意識のまま
  道ははしる。

  素っ裸のまま
  場は現れる。

  未解決のまま
  時は流れる。

  その風を止め、
  断片を切り取れば、
  今日という日は、
  けして
  間違ってはいなかったと、
  思えてくる。
@岩手山麓  

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