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2003年6月前半


6月14日(土) 曇り 滝沢村〜盛岡市


 
 「チャングチャングウマッコ」の朝。
  中体連の剣道競技に出場する娘を城西中学まで送る。

  急いで馬っこ行列を迎えに滝沢村へ。
  北にのぞくかすかな青空。肩だけ見せる岩手山。雨の気配無し。
  
  盛岡西警察署の交差点から沿道には分厚い人垣が続く。
  モンキーで駆け抜ければ、
  黒沢作品「生きる」の階段シーンを思い出す。
  祝福の風に笑顔を返す。

  結局、盛岡市街地まで追っかけを繰り返す。
  裏道を急ぐ同類の四輪の後に続いて激走モードになる。


  


6月12日(木) 霧雨そして梅雨入り @盛岡市上田4丁目

  午後の風に細やかな水滴がまじる。
  ほどなく梅雨入りの発表があった。
  
  夜、さんさ踊りの練習にデビューを果たす。
  小雨の夜気をゆさぶる太鼓に乗せられ、汗がにじむ。
  
  家には盛岡帰還を祝う薔薇が届いていた。


6月11日(水) 白くまぶしい雲も晴れのうち @盛岡市東新庄1丁目
  
  岩山の麓の坂を上る。
  城東中学の校庭に野鳥の独唱を聞きながら登り詰めると
  盛岡市街の展望があった。
  さくさくと黒土に刺さるクワの音を聞きながら
  梅雨入り前の光を胸におさめる。

  
  午後、某新聞人を訪問。
  窓外の夏日。応接室に吹き渡る気高い風。盛岡の気骨に触れる。



6月10日(火)
 曇り @雫石川河川敷(盛南大橋近く) 


  
梅雨の気配だ。紫陽花を見たくなる。
  記憶を辿って雫石川の河川敷に花を探すが、見当たらない。
  これも4年の空白ですか。

  払われた夏草の匂いが土手に続く。

  午後、盛岡橋本美術館(すでに閉館)をたずね、
  整理作業を見守る。



6月9日(月) 天候の記憶希薄 @COOP高松店



  盛岡の仕事が動き出した。
  
  求めた仕事だから、ことさら自分に厳しくなる。
  夜9時半、家路につく。

  こり固まった体の芯をとかす酒を求めれば、
  生協が手招きする。
  嗚呼、あんたも、いつからアルコールに手を出したんだい?
  年の頃も同じ店の佇まい。残る歳月を背後で指折る「昭和の夜」。
  その厚化粧をひそかに贔屓する。



6月8日(日) 汗を誘う陽射し @滝沢村(三上トライアルパーク)


 
 滝沢村のトライアルパークは夏草に覆われていた。
  
  常連が顔を揃えた。西根町の高橋さん親子も登場。

  父親から英才教育を受けた15歳の走りは、ずば抜けている。
  「1週間に何日バイクに乗る?」と声をかけると、
  「7日」と返してきたものだ。

  当方は、胸を突くようなヒルクライムに挑戦。
  仲間が崖の途中に待機しサポートしてくれる。
  数回の試技の末、這い上がる。
 
  初めて山の頂上ステージに立つ。爽快な展望。
  
  木漏れ日の中、滑る斜面で木立の間を泳ぐ。
  
  7年目にして、トライアルパークの全容を知り、
  スタートラインに立てた気がする。



6月4日(水) 純度の高い晴天 @盛岡市西下台



  
岩手山は鮮明。彫りの深い朝。
  出勤前、館坂橋から夕顔瀬橋にかけて北上川を散策。 

  昼食は後輩と街に繰り出しネクタイを風になびかせる.
  こんなサラリーマンライフは何年ぶりのことだろう。
  東家で、ざる蕎麦二枚。  

  夕刻、新入社員を連れ出し
  東北農業試験場、春子谷地、小岩井農場を案内。
  岩手を感じることから始めようじゃないか。



6月2日(月) 幸先の良い青空 @上田小学校

  モンキーは、まろやかな光と風を受けて松園へ。
  車や自転車の群れにまぎれて朝の街を流れる。

  初出勤の前の小一時間、四十四田ダム湖畔を散策。
  湖水の彼方から風が吹き寄せ、
  淡々とカッコウは鳴き、木漏れ日が不意に踊る。

  ネクタイを詰め込んだ段ボール箱の到着は
  翌日だったことに気付く。
  慌ててアネックスカワトクで調達。
  感慨を抱く間もなくイワテライフは始まった。


  夕刻、さっそく「らしい」無骨な雲の一団が頭上を跨いでいく。
  ふと目を移すと小学校の壁に十文字の亀裂。地震の傷跡。
  なるほど、岩手の大地の上だ。



  6月1日(日) 雨は止んだ @盛岡市


  4年の単身赴任に終止符。
  名古屋から盛岡へ。最後の旅。

  降下を告げる機内アナウンスでようやく目を覚ます。
  名古屋空港を飛び立った後の記憶が無い。
  徹夜で引っ越しの荷造りをした疲れが出たようだ。

  窓外には、雲の丘陵がせり上がり、どこまでも続く。
  機体は、その丘を下り、霧の谷間にもぐりこむ。
  いきなり眼下に花巻の水田地帯が広がる。
  北上川が記憶通りの曲線を描いている。

  家路の最後の角を曲がると、妻が立っていた。
  溢れそうになる涙をカメラで隠し、雨上がりの空を撮った。

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