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イワテバイクライフ 2003年6月後半

6月30日(月) 時々晴れ間、でも夕方の雨 @「盛岡バスセンター前」交差点

  昼時、一人マイカーで街へ。
  ま、無性に
  直利庵のラーメンが食べたくなったわけです。
  で、とろける焼豚と鰹だしスープの相性を
  確かめたのであります。ただ、それだけ。
  
  こんな日常が、現実になったんですね。
   
  少しづつ変わろうとする風景や
  風景を維持しようとする仕事に
  いつでも立ち会える暮らし。
  
  イワテを離れていた4年間、
  見落としたものの莫大を思うのです。
  
  盛岡に帰って、明日でひと月です。

  
  


6月29日(日) 曇りのち晴れ @滝沢村

  当然のことだけれど
  雲は、天気予報に従って流れるわけではない。
  
  わからないでもないけれど
  天気予報は概して少し悲観的に流れる。
  特に週末。
  期待させて裏切るより
  落胆させておいて、よろこばせる方が、
  まあ、罪は軽い。

  傾向に従って
  見事な梅雨の晴れ間だった。

  滝沢村のトライアルパークで練習後
  気になっていた森林への道を試す。
  イワテの凄さは、予想を遙かにこえていくことだ。
  道も地形も、雲も。

  


6月27日(金)
 霧雨 @盛岡市加賀野1丁目


  信号待ちで、にわかに当惑する。
  走ってきた道筋を思い出せない。
  覚えているのは、黒く濡れた道の感触だ。
  
  ところが、
  カメラに残された画像を見て、はっとする。
  写っているのは、見慣れない路地裏ばかり。
  
  雨中の低速走行は、
  どんどん幹線を離れ、枝道を選び、
  路地裏に分け入った。
  
  いつもと違う風の中で巡り会った、
  もうひとつのモリオカ。



6月26日(木)
 梅雨寒 @玉山村

  テレビ小説の後、
  夫婦の気分は「野菜」で一致。

  玉山村に向かう車窓には、
  霧雨を浴びた緑が流れる。

  通いつめて4年の無人野菜販売所。
  ちょうど農家のお母さんが「とれたて」の
  白菜、キャベツ、大根を並べていた。

  大きくはちきれんばかりの新鮮野菜が
  どれもひとつ50円。ただただ感謝。

  茄子は7月10日頃の収穫。
  キュウリは、まだ小指の先ほどらしいが、
  成長は瞬く間だから、これも近未来の楽しみ。

  麦秋の里で、夏野菜のサラダを思う。

  


6月24日(火) 薄陽のち本曇り @盛岡橋本美術館(閉館から2年)

  岩山の緑の中に
  思い出の場所を訪ねる。

  6年前の冬、ストーブ燃えさかる展示室に通い
  橋本八百二(はしもとやおじ)の作品に向き合った。

  盛岡を離れている間に、美術館は閉館された。
  土地と建物それに作品は盛岡市に移管される。

  がらんとした展示室には、鹿踊りを描いた800号の大作が
  出口を失い横たわる。

  幕を引かれようとしている場所に
  自らのイワテがあったことの誇りと切なさを噛み締める。

  

  
☆ 沿岸部は4月中旬〜5月上旬並の冷え込み。


6月22日(日)
 炎天快晴 @滝沢村(三上トライアルパーク)

  カッコウと呼吸を合わせて杭を打つ。
  
  イワテのオートバイトライアルの聖地
  「三上トライアルパーク」に有志が集う。
  夏草を払った跡に新たな障害を(競技区間)を設定していく。
  手練れが試走し、センチ単位の修正を指示する。
  
  「やってみろ」と手渡された木槌や鉈を振るう。
  自らを試し磨く場を、自らの手で築ける幸せ。
  
  昼食は、野原に煮えたぎるインスタントラーメン。
  「暑いな、きついな、おもしれえな」と言い合うだけで
  満たされる。
  
  帰路、道草して鬱蒼たる姥屋敷の林道を駆け下りる。

 
苔むした風に汗が引いていく。
  


6月21日(土)
 晴れ @宮守村
  娘の清掃奉仕に付き合い早起き。
  透明な空を見てモンキーを引き出す。
  雫石川の土手を挟んで稲と葱畑のグリーンが双璧。
  
  休む間もなく、久しぶりの4気筒で彷徨う。
  乾いた風に絹ごしのエンジンフィールが馴染む。
  鋼鉄の溝にタイヤのコンパウンドを流し込んだように、
  愛機は道を掴んで離さない。
  
  東和町土沢の萬鉄五郎記念美術館に立ち寄る。
  ささやかな邂逅を果たし、
  イワテライフの空白を埋めていく。
  
  宮守村の高原もそのひとつ。
  牧草の緑は、いよいよ純度を高めていた。

  産直で新鮮な馬の刺身を600g仕入れる。

  


6月20日(金)
 南風に陽射しは揺れて結局梅雨空 @盛岡市立仙北中学校

  台風6号は温帯低気圧に変わった。
  手土産の南風が朝から岩手に吹き付ける。
  
  南大橋のたもとから北上川の土手下を走ると
  前夜の雨が砂利道に水溜まりの群れを残していた。

  国道4号線に面したスポーツ用品店ゼビオから
  真新しいバイパスが伸びている。
  結局、工事で行き止まり。
  引き返す途中、白い花吹雪に遭遇。
  創立50周年の仙北中学校・正門。

  白薔薇のアーチが南風を受けて花びらを飛ばしている。

  生徒諸君、本日最高の授業、ここにあり。
  


6月18日(水)
 真夏日に異常接近 @中津川

   朝6時半にめざまし時計は鳴る。
  子供達を学校に送り出すまでの喧噪。
  庭先で色を深める草花。
  梅雨でありながら、ひんやり乾いたイワテの床板。
  すっと出される珈琲に、
  シャバに出た高倉健のように戸惑い、朝刊を手にする。
  
  もう本当に新幹線に乗らなくていいんだね。
  ねえ、9:30の飛行機に間に合わなくていいんだね。
  
  それを確かめるようにバイクを走らせ
  中津川の水辺に遊ぶ。
  伸び放題の夏草が、バリカン刈りのように払われていく。
  風に青い草の匂いがまじる。
  がらんとした河川敷を、ただ、おろおろ歩き回る。


  
川井村、一関市、真夏日を観測。盛岡も28度5分。
  


6月17日(火)
 曇りのち薄日射す @下ノ橋のたもと(中村商店)

 
ずっと昔から、
  その映画は、この街で上映されていたような。
  これからも、ずっと、
  この街のスクリーンに生き続けていくような。
  図らずも、過去と未来が折り合う広告スペースは、
  繁殖の季節に飲み込まれてしまいそうで。
  
  そうなる前に、
  見届けておくべきものがたくさんある盛岡。
  
  キアヌ・リーブスよ、
  東洋の片隅(イワテプリフェクチャー)で

 
君を縁取る梅雨の緑を思え。


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