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イワテバイクライフ 2003年8月前半


8月15日(金) 
曇り夕刻かすかな光線 @盛岡市上厨川


  46号線の交通量に驚く。
  東北道・盛岡インターに向かうUターンの車ではない。
  インターから降りてくる車の行列。
  行き先は言わずと知れた「あそこ」。
  
  開店直後の大型店は、
  もの珍しさも手伝い遠方からの客を招いている。

  喧噪を嫌って
  幹線から100m程離れた旧道に佇み、
  景観の健康について、しばし考える。

  岩手山や姫神山を見渡していた田園は、
  風景の支点を失ったようにも見える。

  やがて、この旧道も、迂回路として
  戸惑いながら目を覚ますことだろう。


8月14日(木)

曇りのち陽射し、夜、霧雨。 @岩手県玉山村(岩洞湖)

  お盆休みの朝、
  国道455号線は、さながらツーリング街道だ。

  上外山高原を三馬力で這い上がっていくと、
  カーブの向こうに爆音が轟く。
  次々現れるモンスターマシンの御一行様とすれ違う。
  荷物を満載した晴れの旅姿に
  地元のライダーとして、いちおうの愛想を振りまく。
  
  岩洞湖畔で静けさを取り戻し、
  物憂げな湖水にカメラを向けていたら、
  滝沢村のぺったさん・ぽったさんが通りかかる。
  カップルで久慈まで「ウニ」をお目当てに走るらしい。
  
  しばらく二人の後を走って橋場で別れる。
  一人御大堂山へ。
  冷えた霧にふるえながら区界へ下る。

  ☆ イワテ全土に低温注意報。


8月13日(水)
朝方、雲は一気に払われ夏空、夕刻、曇り @岩手県雫石町

  お盆の帰省ラッシュもピーク。
  混むとわかっていながら故郷をめざすのは、
  「思い」か「習性」「しがらみ」か。
  
  線香の煙ただよう仏間で、
  酒を酌み交わし絆を確かめ合う。

  墓参り、迎え火、送り火。子供の花火。
  蚊帳に匂うずっと昔の夏。

  縁(えん)も縁(ゆかり)も無いこの地に
  私の思いひとつで移り住んだ家族。
  
  孤立無援の田園に
  幻でもよいからと、祖父母の面影を求めてみたりする。
  

  


8月10日(日)
 
台風一過 夕刻 秋の雲 @盛岡市北夕顔瀬町(北上川・館坂橋下流)

  水かさを増した北上川が
  土砂を削った色に染まっていた。

  台風10号は、前夜、岩手を駆け抜けた。
  一部地域の停電、交通機関への影響はあったが、
  幸い、深刻な災害には至らなかった。

  取り戻した青空の下、
  残る一日の夏休みを粛々と進める。

  朝の盛岡散策。
  日中は滝沢村でオートバイトライアル。
  新しいセクションで、急降下からの制動、
  じわりじわり急ターン、わずかな助走で一気に上昇。
  泥にまみれて、どうやら形になる。
  乾いた陽射しの中、洗車を済ませ、家族と買い出し。

  夕刻、リコール対策済みのアドベンチャーを引き取り、
  岩手山麓で涼む。薄暮に踊る秋の雲を鑑賞。

  


8月7日(木)
 
内陸は白濁の真夏、沿岸は冷えた霧 @岩手県種市町

 
  早朝、生徒が走りたいと言うので御所湖へ。
  方向指示器による周囲への配慮・意思表明のこと
  信号など前方状況に応じたギアの備えなど指導。
 
  教習の後、大型バイクに跨ると、
  限定解除した頃のように、ひとつひとつが新鮮だ。
  
  安代町の「フロンティアの湯」で昼食。
  がらんとした大座敷で昼のニュースなど眺め
  一人チャーシュー麺をすする夏休みのおかしさ。
  
  稲庭岳に折爪岳、県北の高原めぐりは、
  白濁した展望ばかり。
  ならば海はどうだと、三陸をめざす。
  西日を浴びているはずの太平洋は
  水平線すら確定できない。。
  冷えた霧が漁村の風景を瞬く間に飲み込む。

  夕方のニュースが伝えない「午後4時30分の風」
  


8月6日(水)

積乱雲の競演のち透明な青空 @八幡平アスピーテライン

  
  休養日のつもりで散歩に出掛ける。
  滝沢村で引き返すつもりだった。
  けれど、青空と雲の折り合いが
  あまりに夏休みめいていて、八幡平まで走る。
  49cc・3馬力の愛機は、
  アスピーテラインを喘ぐように這い上がる。
  一転、樹海ラインはダウンヒルとなって
  速度が乗る。

  飛び込むカーブに積乱雲。
  「8月6日」と呟いてみる。
  ヒロシマに原爆が落とされた日。
  かつて、その地に暮らし、
  被爆した人々と語り合った日々が蘇る。
  焼け野原となって、けれど生き続け、
  イワテで緑を取り戻した心の物語が重なる。
  頬を伝う涙が風に飛ばされる。

  夕刻、最愛の生徒を連れて玉山村を教習走行。
  


8月5日(火)

曇りのち真夏日 @鳥海山(秋田県側)


  K1200RSは、
  ひたひたと自動車道を南下する。
  山形県の内陸から最上川に寄り添い日本海へ。
  真夏日のアスファルトを巻き取る。

  満々たるダークグリーンの流れに乗る舟。
  地平線を押し広げる田園。

  遊佐町から鳥海山ブルーラインを選ぶ。
  霧のワインディングロードを抜けると
  山頂は秋めいた青空。
  光線は「成層圏」のイメージすら誘う。
  
  雲海時刻16:30。妻との約束は19:00。

  さて困った。間に合うかな。どうかな・・・。
  


8月4日(月)

曇り時々小雨 @栗駒山麓


  急勾配のターンを重ねて栗駒高原へ。
  須川温泉から宮城県側へ下る間、霧雨。
  シールドに糸引く水滴を楽しむ。

  原生林の道ばたにバイクを停め空を見上げる。
  
  岩手とナゴヤを往復した4年。
  空から俯瞰する栗駒山は、
  岩手に入った印になり、
  岩手から離れる眺めでもあった。
  
  食い入るようにこの高原を追った
  機中の日々を思う。

  帰路、少し道草。遠野の夕暮れにまぎれる。
  
  19:00の家族団欒をにらんで、急ぐ。


8月3日(日)
 
曇り山岳部霧雨 @北上山地

  祭り疲れで
  走り出したのは昼を過ぎていた。

  雨に快走を阻まれ
  霧に視界を遮られ
  風はやけに黴臭い。

  詮無き心など語り出す前に
  さっさと
  ブレーキングやスロットルワークに打ち込む。

  夕刻、いよいよ人車歩み寄り
  轟々たる大地の流れに
  鳥のさえずりすら聞く。

  イワテライフの完熟走行は続く。
  


8月2日(土)
 
曇りのち小雨 盛岡市中央通り(北銀あるいはヒノヤの前)

  風に祭り初日の残り香。
  週末のメインストリートを行くバスまで
  山車に見えてくる。

  午前中、御所湖を見下ろす田園を散策。
  正午、職場集合。
  12:30、着付け。
  15:15、結団式。
  15:30、記念撮影。
  16:00、腹ごしらえ(おにぎり二個)。
  16:30、現場へ移動。
  18:30、輪踊り(当方見学のみ)
  20:00、出陣。小雨に濡れてひたひた進む。
  21:00、現場解散。
  
  祭り姿で馴染みのカウンターへ。美酒。
  4年間思い描いた、そのまんま。

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