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イワテバイクライフ 2009年 2月前半


2009年2月15日(日)
根雪までとかす暖冬。けれど青空は見られず、曇天の一日。断続的な小雨は、やがて、みぞれに。 @花巻市(トライアルパーク)


  着地点が見えていると
  人は、そこへ急ぐ。
  急ぐから、為すべきことが疎かになる。

  うまく事を運んでいると、
  人は、無事を願う。
  運に任せるから、為すべきことを忘れる。

  無傷であり続けると、
  人は、攻めなくなる。
  守りに入るから、為すべきことを狭める。

  明暗の狭間に身を置く瞬間こそ、
  無心に遊べ。

  出口へ急がず、好運を求めず、結果を怖れず、
  ひたすらに瀬戸際を楽しめ。
  為すべきことを整然と繰り出せ。

  危うい瞬間を住処とする如く、
  心静かに刻一刻を慈しめ。

ライダー:高橋さん(国際A級)、マシーン:RTL260F


2009年2月14日(土)
春の嵐の中で、膨大な雪がとけた。まったく呆れるほどの春だった。 @岩手山麓


  雲でさえ、
  瞬く間に姿を変えて
  飛び去るのに。
  (お前は、そこで、じっと何を思うのだ)

  光でさえ、
  躊躇なく所を変えて
  きらめくのに。
  (お前は、いつまで闇の記憶を追うのだ)

  冬でさえ、
  みるみるとけ出して
  川となるのに。
  (お前は、なぜ鋼の様な氷山でいるのだ)

  一度失った友さえ、
  死ぬ思いで笑顔を作り、
  莫大な決心で握手を求めているというのに、
  お前は、何に拘り、何を疑い、
  氷壁となって黙りこくるのだ。

  一切が解決し、春へ押し流されていくことが
  どうにも許せなくて、
  自らの喉に氷柱を突き通すというのか。

愛機:HONDA Monkey


2009年2月13日(金)
朝方の湿り雪は、積もることもなく止んだが、終日冷えた曇天。街は黒く濡れたまま。 @盛岡市


  ある朝、目覚めてみれば、
  この街に暮らしている理由が
  どうしても思い出せない。
  (そんな夢を見た)

  この街に来る前、
  わたしに何が起きたのか。
  この街に来て、
  わたしは何を残したのか。
  この街の明日に、
  わたしは何を祈ったのか。

  それらすべての記憶を失ったとしても、
  怖れることはない。

  静かに目を閉じ、
  川音に耳を傾け、
  風の香りを飲み、
  人の心を見つめ、
  雪の原を踏めば
  再び懐かしい思いがよみがえる。

  この地を故郷とした日と寸分違わぬ思いが、
  わたしを満たし、熱い涙が溢れ出る。

  (思いは幾度でも生き返る)

  それをね、魂というんだよ。
愛機:HONDA Monkey


2009年2月12日(木)
最低気温にさえ春の予感が漂った。まして眩しい晴天のもとでは、つかの間、冬を忘れられた。 @岩手山麓


  わたしは、
  あなたが栄えようと没落しようと、
  もう、いいのです。

  栄えていても、あなたは、あなただし、
  落ちぶれても、あなたは、あなただから。
  わたしは、
  あなたが、どのような道の途上にあろうと、
  もう、いいのです。

  あなたが語る夢は、
  けして色あせることはないし、
  あなたが歩んだ道は、
  けして消えることはないのです。

  何かの巡り合わせに
  一喜一憂するあなたではないし、
  時代が運んで来るものを
  拾い狂うあなたではないはずです。

  激しく大きな流れの中にあって、
  あなたは、いつも
  悠然と心の大河に身をまかせるはずだから。

  迷わず、憂いなく、
  日々、ひと筆書きの「あなた」でいてほしい。
愛機:HONDA Ape100


2009年2月11日(水)
霞みがかった晴天ではあったが、柔和な大気は、まさに春。日陰の氷雪まで、とけて消えていった。 @花巻市(トライアルパーク)


  向き合うものが、
  厳しければ厳しいほど
  にこやかな君は、美しい。

  突き破るものが、
  分厚ければ分厚いほど、
  ひたむきな君は、逞しい。

  希求するものが、
  はるか彼方にあるほど、
  挑み続ける君は、眩しい。

  向き合うものを失い、
  破るべきものを失い、
  思い描くものを失い、
  それでもなお、繰り返す者よ。
  遂に自らであろうとする者よ。
  虚空に力の限りを尽くす者よ。

  確かな何かを手にするまでの日々こそ、
  最も君が君であり続けた日々に違いない。
ライダー:紺野さん(宮城県)


2009年2月10日(火)
朝方の寒さも緩み、日中は春を思わせる陽射し。屋根の雪も音を立てて崩れ落ちた。 @花巻市(トライアルパーク)


  上がったら
  いずれ下ることになる。
  (駆け上がるより難しい)
  だから、けして有頂天にはならない。


  走り出したら
  いずれ止まることになる。
  (加速するより勇気がいる)
  だから、けして限界まで追い込まない。


  夢を追いかけたら、
  いずれ覚めることになる。
  (夢中になるより怖ろしい)
  だから、けして幻にすがりはしない。




   ※本文と画像は一切関係ありません。
ライダー:吉田さん、マシーン:モンテッサ コタ4RT


2009年2月9日(月)
晴れのち曇り。そんなことより、最高気温5度4分(盛岡)、道が広く乾いたことこそ今日の「すべて」。 @岩手山麓


  ひとり季節の川を泳ぎながら、
  同時に虚飾の丘で踊るなんて、
  私には到底できない芸当です。

  あえて、そうしようとすれば、

  どちらかが「中途半端」です。
  どちらかが「うわの空」です。
  どちらかが「いい加減」です。
  どちらかが「嘘っぱち」です。

  そして、どちらかが退屈です。
  涙が止まらない程の欠伸です。
愛機:HONDA Ape100


2009年2月8日(日)
うっすらと青空の印象は残ったが、歩道を覆う雪は分厚く凍り付いていた。 @滝沢村


  そうかい。君も「007」のつもりか。
  (では、窓の選択には気をつけることだ)

  大切なことを覗き見るのなら、
  お調子者の窓はやめておけ。
  ただ明るく賑やかなだけで、
  真の闇は見えてこない。
  それどころか、
  君まで無用な者と見なされ、
  一緒に抹殺されるのがオチだ。

  肝心なことを探り出すのなら、
  完全主義者の窓はやめておけ。
  細大に関わらず詳しいだけで、
  全体像は見えてこない。
  それどころか、
  膨大な資料を積み上げられ、
  時間を無駄にするのがオチだ。

  動き出した事を確認するなら、
  満たされ者の窓はやめておけ。
  成功の記憶を懐かしむだけで、
  次の手は見えてこない。
  それどころか、
  名誉を餌に引きずり込まれ、
  窓の中で飼い慣らされるのが、オチだ。

  近付くなら、辛辣家を気取る窓だ。
 インテリ気取りの自尊心に鍵をさし込めば、
 極秘の窓さえ全開だ。
愛機:HONDA Monkey


2009年2月7日(土)
午前中はのどかな青空。けれど岩手山は雲に覆われたまま。やがて一面の曇り空。そして夜の湿り雪。 @盛岡市(北上川)


  真夜中の列車は、
  減速を重ねた果てに車輪を締め付け、
  息絶えるように停まった。

  裸電球ひとつのホームだった。
  駅名は闇にとけて読めない。
  (果てしない鉄路の途中だ)

  私は、ホームにおりて水道の蛇口をひねった。
  なまぬるい夜気だったが、水は冷えていた。
  見上げても星は無かった。
  その時、警笛が夜空を切り裂いた。
  鋼鉄の塊がみしりと動き出した。
  私は、追いすがり車両に飛び乗った。
  列車の加速をホッと受け止め、
  客室を見渡すと、見慣れない顔ばかりだ。
  白い制服の車掌が現れ、
  「列車は切り離され、行く先は変わった」と告げる。
  私は車窓にかじりついた。
  闇の地平に、さっきまで乗っていた列車の灯りが、
  長い長い弧を描いて遠ざかる。
  (それこそ私がめざす方角だった)

  私は夜明け前の駅で下車し、
  安旅館の布団部屋にもぐりこんだ。
  すると、襖の向こうで女が笑った。
  (引き返す列車は、ここには停まらないよ)

  襖を開けると雪原が流れていた。

  ころげるように列車を追う私が見えた。
愛機:HONDA Ape100


2009年2月6日(金)
最低気温はブラス0度3分。厳冬の中で、ほっとする朝。おおむね穏和な青空が広がった。 @盛岡市(中津川)


  過ぎ去ってみれば、
  実に他愛もないことばかりだ。
  振り返ってみれば、
  説明のつかないことばかりだ。

  その結末が、
  白であろうと黒であろうと、
  さしたる違いは無い。

  誰がどうであれ、
  何がどうであれ、
  改めて眺める意味も無いほど、
  風化していく過去だ。

  (なのに、何故だ?)

  その渦中にあって、
  人は、騒ぎ、怖れ、争い、走り回る。
  (ならば、ずっとそうしていたらどうだ)

  時の川に流され、記憶は薄れ、
  どうでもよくなることなら、
  その渦中にあっても、
  大仰に騒がないでくれないか。
  不安のあまり我を失わないでくれないか。
  声高に正当を訴え、争わないでくれないか。
  この世の終わりのような目つきで
  走り回らないでくれないか。


  (せめて、粛々と渦中の人となれ)
愛機:HONDA Monkey


2009年2月5日(木)
冷えて澄んだ青空は、やがて霞をまとっていった。凍結したものが穏やかにゆるんだ一日。 @盛岡市


  のらりくらりと
  善人面が考えるふりをする。
  (無駄に血は流れる)

  結論は出ていても、
  最善を尽くすふりなどする。
  (気休めの風が吹く)

  解決する気もないのに、
  眉間にシワを寄せてみせる。
  (淡い夢が跳ね踊る)

  関わる気もないのに、
  威勢良く腕まくりなどする。
  (その場限りの祭だ)

  記憶する気もないのに、
  懸命にメモをとってみせる。
  (翌日は塵箱の中だ)

  それをね、背信と言うんだよ。
  それをね、詐欺と言うんだよ。
  君は、まさか、そんな仕事を
  大真面目にやってはいないだろうな?

  (暴かれる日は近い)
愛機:HONDA ベンリィ50S


2009年2月4日(水)
まあ、昨夜は相当に冷えた気もするが、夜が明けてみれば平穏な冬晴れだった。 @盛岡市(清水町)



  そこに在り続けるだけで
  物語が生まれることもある。
  流れ去った時代の
  ありのままである限り。
  (振り返る人がいる)


  そこで朽ち果てるだけで
  人々に愛されることもある。
  善良な街の匂いが
  そこかしこに漂う限り。
  (語りかける人がいる)


  そこで思い出になるだけで
  永久の命を持つこともある。
  厳冬に微笑む窓が
  人々を映してきた限り。
  (多くの心に生きていく)

愛機:HONDA Monkey


2009年2月3日(火)
未明の湿った雪が朝を白く染めた。晴天のもと消えるために降ったような雪だった。 @盛岡市玉山区


  3年後の自分を確保するために
  3年前の手法で今日をしのぐ者よ。
  (見るがいい。停滞の日々を)

  10年後の名誉を計算に入れて
  10年前の形で今日をしのぐ者よ。
  (見るがいい。腐敗の日々を)

  ひたすらに老後の安寧を求めて
  今日の責任を回避しつづける者よ。
  (見るがいい。大罪の日々を)

  何も変えず、何も触らず、
  息を殺して日々をしのぐ者よ。
  もの静かな机で
  動くもの一切を監視する者よ。
  お前がお前を守るほど、
  置き去りにされた世界が、
  告発の津波を用意する。

愛機:HONDA Ape100


2009年2月2日(月)
マイナス7度1分からプラス2度5分まで回復すれば、まずは上等。近郊の山に新雪などあれば極上。 @盛岡市


  顧みて
  怖くなり
  歩み出せない者は、
  ただ影となって
  夕闇に飲まれていく。


  顧みて
  虚しくて
  雪原に吠える者は、
  ただ影を追って
  宵闇にまぎれていく。


  顧みて
  懐かしく
  大空をあおぐ者は、
  ただ影を従えて
  暁の方角に轍を刻む。
愛機:HRC RTL260F


2009年2月1日(日)
きのう深刻に降り積もった雪は、屈託のない青空のもとで、とけて水溜りをつくった。 @花巻市(トライアルパーク)


  右に左に行く手は捻られ、
  高く深く行く手は遮られ、
  それでも進み続ける者よ。

  顔色ひとつ変えず、
  黙々乗り越えていく思いが
  私には、わかる。

  仕掛けられた困難を
  涼しげに解決することこそ、意地なのだ。

  期待された失策のイメージを
  高々と飛び越えることこそ、復讐なのだ。

  不条理をきわめた道程を
  美しく締めくくるために、
  人は泥にまみれるのだ。
  
  (いじめ抜かれて、なお不敵な面構えなのだ)




  ※画像と文章は一切関係ありません。
ライダー:高橋さん(国際A級) マシーン:RTL260F


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