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イワテバイクライフ 2009年 3月前半


2009年3月15日(日)
青空を、広く長く覆う暗い雲もあった。けれどハッピーエンドのような夕空が戻って来た(花巻では・・・) @花巻市(トライアルパーク)


  あなたの道は、
  人の冒険心を絞め殺し、
  何事もなかったかのように、
  任期に泥を残さぬことでしたね。

  (ふむ)

  わたくし達の道は、
  寸分の世辞や手加減も無く、
  自身の無力を突き付けられ、
  ひたすら出口をめざすことです。

  同じ汗を流すなら、
  同じ涙を流すなら、
  裏の無い、嘘も無い、謀も無い、
  開け放たれた空の下がいい。

  この雲の行方を見届けるまで、
  旅は終わりません。
  どんなに怖ろしい道程であろうと、
  一切を終わらせるのは、
  人の思いひとつです。


  (だから、その日まで誰もが激烈です)



  
※本文と画像は一切関係ありません。
ライダー:高橋さん、マシーン:RTL260F


2009年3月14日(土)
最高気温8度7分(盛岡)は、朝方の記録。日中は、湿った雪が舞い、しみったれた冬。 @盛岡市


  印象など残さない。
  むしろ愛想などふりまかない。
  そっけなく、けれど邪険ではなく、
  べたつかず、けれど冷淡ではなく、
  大笑いせず、けれど陰気ではなく、
  役割は果たす。
  無用な熱意など示すより、
  不用意に正しいことを言って、
  誰かを戸惑わせないほうが、
  よほど好まれる。

  評価など求めない。
  むしろ誤解などを与えない。
  つまらなく、けれど的など外さず、
  先回りせず、けれど怠慢ではなく、
  気はきかず、けれど憎まれはせず、
  約束は果たす。
  余計な頑張りを示すより、
  不用意に新しいことを言って、
  誰かを考えこませぬほうが、
  よほど親しまれる。

  法外な陰口を招かぬ程度に
  影は薄くするのが良い。
  機械仕掛けの微笑み程度に
  視線は曖昧なのが良い。


  (保身と無事を願う群には、その程度で、よい)



   ※本文と画像は一切関係ありません。
愛機:HONDA ベンリィ50S


2009年3月13日(金)
春へ急ぐ心に、最高気温7度8分(盛岡)はもの足りない。むしろ宵闇の小雨に心は開く。 @岩手山麓


  本当に許せないことなど
  街頭で訴える者はいない。
  (いれば、黒塗りの車が寄って来る)

  暗闇を支配する者の罪を
  壇上で訴える者はいない。
  (いれば、凶刃が光り、凶弾が飛ぶ)

  裏の裏まで解き明かして
  文字にする者などいない。
  (いれば、冤罪を負わされ神隠しだ)

  もっともらしく告発され、
  しばらく喧伝されるのは、
  芸能ニュースと隣り合わせの社会問題や
  スポーツニュースと横並びの世界情勢だ。

  嗚呼、見渡す限りの善人は、
  捏造された希望を握らされ、
  今日という絶望すら見失い、
  誰かの思惑通り消えていく。

 (群の中に狂気を隠し持つ羊はいるか?)
愛機:HONDA Monkey


2009年3月12日(木)
昨夜の雪の皮膜を朝日は眩しく照らしていたのに、日中は、どこか冷え冷え。気温も5度8分まで(盛岡) @岩手山麓


  瞬時に燃え盛る思いや
  不意に暗転する眼差し
  刻一刻移ろう心模様を
  克明に言葉にするのは
  神の仕業と言うべきだ。

  西の大地に沈むものが
  東の天空を染め上げる
  その光と影のドラマは
  言葉を尽くす程虚しく
  沈黙こそが正解なのだ。

  夢を探し求め走る者が
  躊躇せず今日を捨てる
  その決断の恐ろしさを
  どう冷静に語ろうとも
  つまりは狂気の沙汰だ。

  伝えることを志す者よ。
  伝えきれない思いこそ
  言葉を拒むマグマこそ
  真の鉱脈と知るがいい。
愛機:HONDA Ape100


2009年3月11日(水)
盛岡では最高気温+1度5分。各地から真冬日の便り。曖昧な青空。濃厚な雪雲。さし込む寒気。 @盛岡市


  ひたすらに雪が舞う。
  風に乗り彼方へ舞う。

  ある日、私が現れて、
  ここに、立ち止まる。

  むしろ静寂を楽しみ、
  むしろ寒さを味わい、
  むしろ孤独を愛しむ。

  ここを居場所として、
  歌おうが、寝ようが、
  本当の事を叫ぼうが、
  冬は黙って笑ってる。

  これ以上明かせない。
  これ以上近づけない。
  じつに微妙な一線を、
  敬って越えない限り、
  私は凍っていられる。

  ひたすらに雪が舞う。
  風に乗り彼方へ舞う。
  異邦人の物語と共に。
愛機:HONDA ベンリィ50S


2009年3月10日(火)
最高気温は、沿岸で15度に迫るなど「春そのもの」。でも、明日から冬へ逆戻りの予報。 @岩手山麓


  慣れた仕事の山の上に
  ふんぞり返っていたら、
  あっという間に転落さ。
  (頂から頂へ飛び移れ)

  つき固めた自尊心など、
  上の上の上が現れれば
  あっという間に凹むさ。
  (どん底から空を仰げ)

  うわべだけの友情など、
  ささいな諍いひとつで
  あっという間に解消さ。
  (対立の中に友を探せ)

  美しくも悲しい記憶に
  今日をゆだねていると
  あっという間に老人さ。
  (さっさと日記を焼け)

  正義や理想に陶酔して
  人を縛り付けていると
  あっという間に一人さ。
  (たかが己一匹を知れ)
愛機:KTM250EXCーF


2009年3月9日(月)
ほぼ春霞。マイルドな晴天。各地、のきなみ10度を越えた。軽い睡魔を誘う風。 @盛岡市


  たったひとつ。
  何か足しても、何か引いても、
  全体が、がらり変わることがある。
  意味合いが変わることがある。

  何かひとつの変化を
  そのまま放っておくと、
  全体が機能しなくなり、
  曖昧な空気が流れ出し、
  ついには、土台を失うこともある。

  何かを得て、何かを捨て、
  新しい道は開けるのだ。

  たったひとつの現実、
  たったひとつの真実で、
  捨てるべきものは決まり、
  迎えるべきものも決まる。

  人は、すべてを抱え込み、背負い込み、
  そのままではいられない。


  絶えず移ろい、
  誰かと別れ、誰かと出会い、
  そのように風貌さえ変わるのだ。
愛機:HRC RTL260F(トライアル競技専用車)


2009年3月8日(日)
昨夜の雪は、思いのほかの厚みで街の朝を白くした。ろくに陽射しも無かったが、雪は消えていった。 @花巻市(トライアルパーク)


  (丘に挑み、転落する)
  その感覚は、今も消えることは無い。

  アメリカのテレビ映画「コンバット」。
  フランス戦線を転戦する
  アメリカ陸軍小隊の物語。

  かつて、小学生の心に刻まれた表題は、
  「丘は血に染まった」。
  丘の上に陣取るドイツ軍のトーチカ数基。
  見下ろされ、機関銃で狙い撃ちされながら、
  サンダース軍曹たちは果敢に攻めた。
  あと一歩まで迫りながら、
  銃弾に倒れ、丘を転落する兵士たち。
  その無念を、回転する丘の天地が物語る。
  助けようと駆け下りて来る戦友の叫び声が
  悲しいほどのスローモーションなのだ。
  激烈を極めた攻防の末、
  丘を征圧した兵に届いた指令は、
  「作戦上、その現場は意味が無くなったから、
  離脱せよ」


  あの日、小学生だった私の胸に、
  刺さった「むなしさ」は、
  今も生きている。

  今日の斜面に立ち往生しながら、
  「あの丘」を思い出していた。
ライダー:工藤さん、マシーン:GASGAS


2009年3月7日(土)
青空は、午後の冬雲に白く覆われ、夕闇に小雪舞い、夜更けの木々に雪の花。 @滝沢村(トライアルパーク)


  深刻な対立の河が横たわる。

  対岸には、頑なな眼差しが居並ぶ。
  歩み寄りを求めるばかりのお前は、
  なす術もなく、川辺に跪き、
  ひれ伏し、水面に額をすりつける。
  (どうか助けてくれ)と懇願する。

  ならば聞こう。お前は意を尽くしたのか。
  生涯に一度の大演説をしたのか。
  筋道を通し、魂をこめ、
  対岸の心を揺さぶるほどの言葉を
  送ったのか。
  なりふり構わず河へ踏み込み、
  首まで冬の流れに浸かり、
  理想を叫びはしなかったのか。
  「この命と引き換えに、
  我が思いを受け止めてもらえまいか。
  どれほど辛く苦しくとも、
  この地の未来のために、
  共に歩んではもらえまいか」と
  一心不乱に呼びかけなかったのか。
  ついには溺れることを恐れず、
  対岸めざして泳ぎはしなかったのか。
  対立の群れのど真ん中に、
  凍えながら飛び込んではいかなかったのか。
  ひとりひとりの手を握り、目を見据え、
  訴えなかったのか。
 
 (遥か対岸の平身低頭で、人は動かせない)
愛機HRC RTL260F(トライアル競技専用車)


2009年3月6日(金)
もはや気温の問題では無い。空から降って来るものだ。なまぬるい雨が、残雪を洗い、削ったのだ。 @盛岡市(大慈寺町)


  強欲な商は、すぐに見抜かれる。
  それに気付かない者は、本人だけで、
  世間は、とぼけているだけだ。

  損を強いられながら
  いさかいを避けて微笑んでいるだけだ。
  付き合いを気にして後ずさるだけだ。
  見え透いた言い訳に頷いてみせるだけだ。

  ある日、馬鹿正直な者が、
  その強欲ぶりを指摘することもあるだろうが、
  すでに手遅れだ。
  崩れ出したものを支えられない。
  離れていくものを引き戻せない。
  とりつくろうほどに恥ずかしい。
  ついには、
  閑古鳥の理由にすら辿り着けない。

  無我夢中の商は、おそろしい。
  知らず知らずの強欲ほど哀れなものは無い。




  ※本文と画像は一切関係ありません。
愛機:HONDA Monkey


2009年3月5日(木)
啓蟄。ニュースは「こも外し」。最高気温も8度4分(盛岡)。柔和な青空とともに、まずは暦通りの一日。 @岩手山麓


  (そうさ、あんたのことさ)

  すべてうまくいっているのなら、
  拍手のひとつもあってよかろう。
  感謝のひと言もあってよかろう。

  あたりまえのことが
  あたりまえに経過していることの価値を
  知らぬ者ほど、
  うまくいかなくなると、
  俄然、騒ぎ立てるものだ。
  声高に責任を追及することが
  あたかも才能だと思い込んでいる。

  そのような者に限って、
  美を語らず、愛を知らず、神を認めず、
  現実とルールを突き合わせて安心したがる。
  無事を求めることに熱心だが、
  無事であることの意味を知らない。

  だから、少しでも思わぬことが起きると、
  この世の終わりのように走り回る。
  生甲斐のように犯人探しを始める。
  不毛な謹慎を強要し、懲罰に興奮する。

  そんなピエロが、二年や三年で入れ替わり、
  あしらわれ、追い出されていく。

  (だから、誰も反省なんかしない)
愛機:HONDA Ape100


2009年3月4日(水)
最高気温7度6分(盛岡)は、上出来の早春。けれど、ぐるり見渡す冬の雲こそ真実。 @盛岡市


  城に火の手が上がった。
  夕闇にたちのぼる煙は青白く、
  狼煙のようにも見えた。
  村人にとって、それは、
  ひとつの時代が
  終わっていく眺めにすぎなかった。

  ついに炎は甍を包み、空を赤く染めている。
  ぎらついた力の断末魔というより、
  来るべき日が来ただけの光景だった。

  母親は、夕餉の支度に戻り、
  子供は、残光の遊戯を続け、
  父親は、磨き込んだ槍を持ち出した。

  明日から支配する者はいない。
  ひれ伏し息をひそめていた有象無象が
  闊歩し始める。
  幾度と無く繰り返されてきた祭り騒ぎだ。

  大声で夜の戸を叩く輩を
  招き入れ、酒を振る舞い、
  突き殺し、食ってしまう。
  それが、新しい城が出来るまでの
  恒例行事だった。



  ※本文と画像は一切関係ありません。
愛機:HONDA Monkey


2009年3月3日(火)
がりっと冷えた。ばりっと凍った。けれど乾いた街を支配するには力不足な冬だった。 @岩手山遠望


  この不可解な日記は、
  綴り続けた者の正体が明かされる時、
  一切の霧が払われる仕組みです。
  ひとつひとつの言葉が、
  現実を映す鏡となるのです。

  口にすることさえ憚られることが、
  次々に浮上し、
  ある者は言い訳に追われ、
  ある者は観念するのです。

  傾いた塔が、ついに倒れるように、
  腐った肉に ウジ虫がわくように、
  少量の毒が、じわじわ効くように、
  過去と未来は見事につながるのです。

  この不透明な日々こそが、
  やがてパズルを完成させる断片であるなら、
  私は、今日という日に
  意味など求めはしないのです。

  ある日、瞬きほどの覚悟と決断があれば、
  未来に仕掛けたものが、はじけ、発光し、
  許されざる者どもを照らし出し、
  私の命の意味も確定するのですから。

  (不可解な今日こそ疎かにできないのです)
愛機:HONDA Ape100


2009年3月2日(月)
街には青空があったが、山岳地帯には雪雲が舞い狂った。やがて猛烈な寒気に包まれ夜を迎えた。 @岩手山麓


  ゆっくり物音を立てずに
  私は、舟を進めるのです。
  冬の大河を渡り切る日を
  じっと待っているのです。

  遥か対岸の春に着いたら、
  真相の一切を明かします。
  今日の仕業は勿論のこと、
  私の歩みの記憶すべてを
  澄んだ光に晒しましょう。

  私が斬り結んだ闇のこと。
  私が飲まされた毒のこと。
  私が手放した未来のこと。
  何から何まで明かします。

  凍りそうな月夜の河には、
  真実を怖れ、嫌うものが、
  波間に見え隠れするから、
  黙々と櫓を漕ぎましょう。

  天地の間で裁決がくだり、
  過去が堰を切る瞬間まで、
  曖昧で退屈な私でいます。

  暗く澱んだ流れを凝視し、
  河が止まるような事実を
  書き残そうと思うのです。
愛機:HONDA Ape100


2009年3月1日(日)
最低気温マイナス8度1分(盛岡)に春への思いは凍え、最高気温4度4分(盛岡)に春の温もりを思う。 @花巻市(トライアルパーク)


  こんな一日を
  何気なく過ごせることに、
  信じられない思いさ。

  つい昨日まで、
  他人(ひと)を求め、
  他人に拒まれ続けた。

  だから一途に、
  狂おしい思いを打ち込み、
  信じて貰おうとしたのさ。

  あれから、どれだけ時は流れた。
  この大地に生かされてから、
  思いなど口にしなくても、
  他人は、いま優しい。

  同じ道筋に
  深い深い轍を刻むうち、
  私は春の花になったのさ。

ライダー:工藤さん、マシーン:GASGAS


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