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イワテバイクライフ 2009年 4月前半


2009年4月15日(水)
昨夜からの小雨に濡れた。昼前には雨も止み、午後には断片的ながら青空がのぞいた。 @花巻市


  徹夜の勤務が明けて
  雨上がりの大地に解放された。

  夫婦は同じ山に入り、
  僕はトライアル。
  君はタラボ採り。

  いくつ岩を越えたことだろう。
  すっかり君のことを忘れていた。

  (こんな日のために一緒に闘って来たのに)

  大声で君の名前を叫んだ。
  見渡す限りの春に
  君がこだました。

  青空の彼方から
  君の声が返った。

  (今夜は久し振りにビールだね)
愛機:HRC RTL260F


2009年4月14日(火)
白濁の陽射しは、やがて雲に覆われ、宵闇を雨が濡らし始めた。 @盛岡市近郊


  ねえ、あなた。
  さんざん春の山で遊んで、シャワーを浴びて、
  何食わぬ顔で仕事へ向かうのね。
  鼻歌まじりで何かに目を通し、
  思い出し笑いしながら何かを決定し、
  さっきまで走り回っていた山を窓外に眺めるのね。
  手のマメをそっと撫でながら、
  締め切りに追われるのね。
  さっき飛び越えた岩のことを思いながら、
  難事業を乗り切る方策を検討するのね。
  ねえ、あなた。
  あなたを苛め抜いた連中が知ったら、
  舌打ちをしたくなる日々ね。
  大仰にあなたから剥奪したものなんて、
  あなたには、どうでもよいものだったのね。
  両手が自由になったあなたは、
  本当に必要なものを掴み取ったのね。
  毎日が、あなたの思うつぼなのね。
  ねえ、あなた、
  笑いが止まらないでしょう。
  さぞや痛快でしょう。

  (ふむ、少し違うな)
  思いのままに生きたければ、
  仕事は、オールクリーンが絶対条件だからね。




  ※本文と画像は一切関係ありません。
ライダー:米澤さん、マシーン:ベータ


2009年4月13日(月)
各地20度を越えて桜前線の到着を祝福。いやはや、日が暮れても半袖でOK。 @岩手山麓


  前向きにおやりよ。
  揶揄されることはあっても、
  評判は下げないから。

  真正直にお働きよ。
  呆れられることはあっても、
  信用は失わないから。

  大らかにおなりよ。
  尊敬されることはなくても、
  人は寄って来るから。

  馬鹿でお通しよ。
  舞台に立つことはなくても、
  斬られはしないから。

  片隅でお暮らしよ。
  晴れがましくはなくたって、
  汚れはしないから。
愛機:KTM 690ENDURO R


2009年4月12日(日)
初夏を思わせる日々。桜前線は東北を驀進中。もはや岩手北部の開花も秒読み段階。 @福島県本宮市


  「兆し」というものがある。

  黒雲の海原に
  ぎょっとするほどの青空がのぞくことがある。
  たとえ、ひとかけらでも、希望に見えるのなら、
  力の限り押し広げるがいい。
  見渡す限りに澄んだ青空を広げ
  明日を開く光に照らされるがいい。

  見過ごしてはならない。
  聞き逃してはならない。
  再生する自分の予感を。

  暗い夜にこそ、
  目を見開け。耳をすませ。
  「兆し」とは、そんな精神の戸を叩く。
オートバイトライアル東北選手権・第1戦(福島大会)


2009年4月11日(土) 
エネルギッシュな陽射し。空は白く霞み、大気は乾き、東北南部に咲き乱れる桜は、夏の花のようで・・・。 @福島県本宮市



  真の強さってやつは、
  過去の失敗や敗北を
  どれだけ心に整理し、
  どれだけ大切に磨き込んできたか
  ということなのかもしれないな。


  一切は、紙一重、
  明暗は、背中合わせだからな。

 

2009年4月10日(金)
盛岡で最高気温20度5分。所によって夏日に迫る陽気。一関市と奥州市では桜の開花宣言。 @盛岡市



  蓄積されたものが
  数日で結果になって現れたりしたら、
  まあ、それだけの世界なのだ。
  瞬く間に山の上に立って、
  いい気になって、おしまいだ。

  (人の変化は、そんなものじゃない)

  今日の私は、
  ずっと過去に準備されていた私が、
  何かの拍子に、突然現れたものかもしれない。

  そのきっかけは、
  誰かの言葉だったり、
  偶然拾い上げた鍵だったり、
  星のめぐりあわせや、風向きだったり、
  いろいろなものが絡み合って、
  それこそ、一気にポンと咲いた私かもしれない。

  そんな私が
  今日直感することは、
  遥か歳月の果てに確かめられる日が来るのだ。
  今日予感することは、
  忘れた頃に理由もなく出現する日が来るのだ。

  ひとつの力、ひとつの閃き、ひとつの構想は、
  歳月に試されて、ある日、突然
  私のものになるのだ。

愛機:HONDA Monkey


2009年4月9日(木)
春霞の空の下、一関で21度を越え、盛岡でも19度に達した。もはや初夏だ。乾いた季節だ。熱波の予感だ。 @岩手山麓


  インタビューという仕事は、
  これが、なかなか難しい。

  未熟な者は、
  何を聞きたいか、定かでない。

  半端な者は、
  自分が知っていることを聞く。

  慣れた者は、
  自分の期待するこたえに導く。

  出来る者は、
  沈黙の意味を正しく理解する。

  達人になると、
  未知の世界を闊達に訪ね歩く。

  更に究めると、
  相手に手を添えて発見させる。

  さて、素人は、
  たくさん喋ってくれたと喜ぶ。
愛機:KTM 250EXCーF


2009年4月8日(水)
眩暈を誘う空の蒼さと太陽光線、強烈な照り返し。一気に五月にワープ。 @花巻市(トライアルパーク)


  まろやかな風だ。一足飛びに初夏だ。
  かつて、こんな日は、
  大きな単車で、地の果てをめざしたものだ。
  (そんな私の時代は終わった)
  今日も、迷わずこの山へ来た。

  たった10mの困難の海原に
  ひとつの道筋を見付け、辿り切る。
  重ねた歳月の果ての歓喜は、
  乾いた大地を転げ回りたいほどだ。
  (もう、平坦な旅は出来ない)

  たった数個の岩石の間合いに
  ひとつの呼吸を見付け、跳び切る。
  はね返されて来た末の感慨は、
  青空を抱きしめ号泣したいほどだ。
  (もう、逃避行など出来ない)
愛機:HRC RTL260F(トライアル競技専用) ライダー:阿部さん


2009年4月7日(火)
未明の雨に濡れた街は、青空のもとで乾き、最高気温は15度前後と、もはや5月は射程圏内。 @岩手山麓


 人は生まれながらに
 社会の一部では無い。

 時に冷たい風を受け、
 社会を思い知る。
 時に人の闇に触れて、
 社会を理解する。
 時に何かに貢献して、
 社会と和解する。

 誰かの都合が良ければ、
 その一員で、
 誰かの都合が悪ければ、
 仲間外れだ。

 (そこに理由は無いのが、社会だ)

 税金の如く善意を強要され、
 ゴミの如く私情を破棄され、
 ひたすらに義務を果たせば、
 今日の居場所が保障される。
愛機:HONDA ベンリィ50S


2009年4月6日(月)
よく晴れた。漂う雲も稀だ。彼方に柔和な山並みだ。春霞だ。何より大気の温もりが心地良い。 @岩手山麓


  山深い里の宿だ。

  明日旅立つ者は、
  窓の外に見える
  桃や柿の歳月を
  思うこともなく、
  草鞋を準備する。
  川が溢れようと
  堤が切れようと
  荷造りに忙しい。

  里に生きる者は、
  木々の芽吹きに
  永久の春を思う。
  夏の田畑を思う。
  秋の実りを思う。
  冬の長さを思う。
  その様に今日も、
  同じ山をあおぐ。

  道中を急ぐ者に
  里の宝の在処を
  明かしはしない。
  季節の奇跡など
  語ったりしない。

  曖昧に微笑んで
  手を振るだけだ。
愛機:KTM250EXCーF


2009年4月5日(日)
曇は昼前に流れ去ったが、つまらないものも東へ流れ去ったようだ。どこか寒々しい一日。 @秋田県(金浦)


  眼前の一本道に
  自らの命運がかかっていれば、
  周りを見渡す余裕は無いかもしれない。
  なにせ、完璧を求める挑戦なのだ。

  けれど、その修羅場の中にあって、
  仲間の気持や仲間の未来や、
  仲間の幸福に思い至る者が現れたなら、
  それは奇跡に等しい慶賀だ。

  その思いを抱き育む者は、
  彼方へ伸びる道を拓き、
  仲間を新世界に導くに違いない。

  目前の障害にひるまず、
  先の先へ心を送り続けて欲しい。
  (どうか、君よ、思い描いた通りに)

ライダー:藤原さん(国際B級・東北チャンピオン)


2009年4月4日(土)
日本海から吹き寄せる風は、なまぬるく、いささか強かった。やけに誤報を呼ぶ風だった。 @秋田県(金浦)



  減点を怖がる立派なおじちゃん達が、
  張り切りすぎて大失敗の赤っ恥だよ。

  その一方で、
  小学生の女の子は、
  丘の手応えを楽しむように駆け巡っている。

  減点されることより、
  めざす場所に心が弾んでいるから、
  彼女は素敵だ。

2009年4月3日(金)
うっすらとした青空ではあったが、最高気温12度8分(盛岡)なら、もはや春本番。 @盛岡市



  宿命というものがある。
  流星が現れる方角に故郷があれば、
  いつか心は、そこへ還る。
  (自然じゃないか)

  厳然たる掟が存在する。
  脈々と流れる血液に故郷が匂えば、
  いつも心は、それに従う。
  (当然じゃないか)

  同胞という思いがある。
  はるか地平の彼方で故郷が呼べば、
  ついに心は、そこへ走る。
  (それが、人間じゃないか)


  高々と海峡を越え、
  国境をまたぐ望郷の炎よ、
  この丘に燃え盛れ。
  拳を震わせ、懐かしい言葉で歌い、
  満天の星に故郷を探すがいい。

愛機:HONDA Ape100


2009年4月2日(木)
春本番へ加速する青空を脅すような暗い雲の乱舞があった。 @盛岡市


  美しいものに陶酔するうちに、
  自分まで美しいものと勘違いして
  醜くなる者がいる。

  (それは、さておき)

  本当にダメな者は、
  自らの専門領域において
  ひとかけらの見識も持たない者だ。

  本当によくいるのは、
  自らの得意分野において
  退屈な原理原則で他人を縛る者だ。

  本当にすごい者は、
  自ら究めた世界において
  まるで門外漢のように自由な者だ。


  頑張るほどに醜い者よ、
  自身が拠って立つところを離れ、
  一度、素顔に戻ったらどうだ。
愛機:HONDA Ape100


2009年4月1日(水)
朝から天気予報で「午後の雪」と脅されたが、結局、薄曇りと薄日に終始して、穏やかな夜を迎えた。 (盛岡市・浜藤の酒蔵)


  頼まれもしないのに
  国境を越えていく影がある。
  野心に押され勇んで旅立つ。

  頼まれもしないのに
  難題を拾って来る影がある。
  功名心と一緒に背負い込む。

  そんな影を利用する影もある。
  勝手に提案させて、果実だけ取り上げる。
  勝手に暴走させて、賞賛だけ巻き上げる。
  勝手に勝負させて、勝ち星だけ選び取る。

  (無理するな)と囁きながら、たきつけて、
  あれこれ踊らせ、あちこち走らせ、
  汗の結晶だけ、すくい取って懐に入れる。

  そのように階段を昇る影がある。
  そのように名を上げる影がある。




  ※本文と画像は一切関わりはありません。
  
愛機:HONDA Monkey


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