TOP

イワテバイクライフ 2009年 4月後半


2009年4月30日(木)
霞み加減の青空に、岩手山の残雪だけが鮮明だった。盛岡では20度を越えたが、かすかに風が冷えていた。 @八幡平市(七時雨)


  常に正しい組織は稀である。

  刻々変化する潮流の中で、
  すでに自らの位置を見失いながら、
  ひたすら浮き続けることに
  力のすべてを注ぎ込む船がある。
  (いずれ、沈む)
  その日まで無益な航海をする。

  消えてゆく境界線の前で、
  その存在価値が希薄になりながら、
  ひたすら立ち続けることに
  財のすべてを注ぎ込む塔がある。
  (いずれ、倒れる)
  その日まで天上へ背伸びする。

  崩れ去るものに囲まれて、
  もはや中心の座を剥奪されながら、
  ひたすら号令を出すことに
  精魂を傾注して譲らぬ群がある。
  (いずれ、滅ぶ)
  その日まで正統性を誇示する。


  嗚呼、消え去るものが、
  消え去るその日まで積み上げる莫大な無駄よ。
  無駄であることを思い知るまで発揮する
  膨大なエネルギーよ。
  せめて飢える幼子ひとり助けられないものか。



  ※本文と画像は一切関係ありません。
  
愛機:KTM 690ENDURO R


2009年4月29日(水)
夜明けは凍えた。日中は晴天だった。どこか冷えた風を浴びたまま夜を迎えた。 @滝沢村(トライアルパーク)


  空は、こんなに広々だったのか。
  光は、こんなに燦々だったのか。
  風は、こんなに悠々だったのか。

  幾度迎えても、
  北国の春は新しくて、
  待ち続けた記憶までとけていく。

  だから、
  生まれ変わったような気がして、
  束の間、今年の春に染まってみる。

  弾む息の中で、鶯のさえずりを追い、
  時を忘れて山野を巡り、
  自らの影に出くわす。

  遠い昔の悲しみや怒りが、 
  午後の影を濃くして、
  行く手に立ちはだかるものだから、
  私は、決別の火炎を放ち、
  一面を灰にする。

  我に返り、焼土の丘を見渡せば、
  遂に、自らの影を失い暮れていく私がいる。
愛機:HRC RTL260F


2009年4月28日(火)
午前中の青空に気を許していたら、不穏な雲が流れ出し、所により冷えた小雨。 @花巻市(トライアルパーク)


  ひとつの道を究めたいという
  その思いは、尊い。
  けれど、上達することに一喜一憂していて、
  大切なことを忘れていなかったか?

  久し振りの再会に
  心底の笑顔を見せてくれる仲間のことを
  忘れてはいなかったか?

  何も知らない己を
  ひとつひとつ導いてくれた恩人のことを
  遠ざけていなかったか?

  かわき切った心を
  慰め遊ばせてくれた石ひとつ花ひとつを
  踏み付けはしなかったか?


  走り続けて来た道で出会ったものこそ、
  道のすべてだと知るがいい。

  上達とは、
  道の一切を愛しむ果てに待っているものだ。

  (焦らず素直に旅を楽しむがいい)
愛機:HRC RTL260F ライダー:米澤さん


2009年4月26日(日)
轟々と暗い雲が流れ、吹き付ける雨滴は刺すように冷たい。花を凍らせる嵐だった。 @花巻市(トライアルパーク)


  完璧を求めて、
  ずたずたになったことはあるかい。

  冒険を選んで、
  一切合切を失ったことはあるかい。

  勝利に拘って、
  ガラガラと崩れたことはあるかい。

  逃げたくても、
  玉砕に突き進んだことはあるかい。

  そんな矛盾を、
  繰り返すうちに分かってくるんだ。

  完璧と破綻は背中合わせだってね。
  冒険と臆病は実に紙一重だってね。
  執念と諦観は実は馴合いだってね。
  正気と狂気は風向き次第だってね。

  ほら、さっき転落した場所なのに、
  今度は確信に満ちた顔で転落する。
  次は絶望の眼差しで見事走り切る。

  繰り返すうちに分かってくるんだ。
  結果を隔てるものは何も無いとね。

  (繰り返す熱情こそ、すべてだ)

オートバイトライアル岩手県選手権大会(エンジョイトライアル)


2009年4月25日(土)
二つの低気圧が接近中。昼前には雨が降り出した。三月下旬並みの肌寒さは、まさに「花冷え」。 @盛岡市(高松の池)


  転びたくなければ、走らなければよい。
  (約束の時間に間に合わなくてもね)

  経歴が大切ならば、昨日のままがよい。
  (生まれ変われる絶好の機会でもね)

  誤解を避けるなら、己を語らぬことだ。
  (どんなに本当のことであってもね)

  罪を怖れるのなら、関わらないことだ。
  (どれほど良かれと思った事でもね)

  失いたくなければ、何も持たぬことだ。
  (空虚感より喪失感に怯えるよりはね)

  叩かれない為には、普通であることだ。
  (例え全裸で春の風を浴びたくてもね)

  静かにいたければ、大騒ぎせぬことだ。
  (抑えがたい歓喜が押し寄せてもね)


  馬鹿馬鹿しいことで
  馬鹿馬鹿しい自分になりたくなければ、
  馬鹿馬鹿しいほどの仕組みを受け入れなくちゃね。
  馬鹿馬鹿しさを小馬鹿にして馬鹿でいなくちゃね。
愛機:HONDA ベンリィ50S


2009年4月24日(金)
明日からの雨模様を前に、今日の青空を大切にするようテレビが呼びかけていた。 @盛岡市


  働き者の男にも、唯一の楽しみがあった。
  来る日も来る日も、
  丘の風を受けて空を舞っていたのだ。

  さて、男の上役は臆病な小役人だった。
  日々の無事こそが最大の関心事だった。
  だから、空を舞う男の墜落を恐れた。
  責任が我が身に及ぶことを恐れた。
  小役人は、男から責任ある仕事を取り上げた。
  男が何処に落ちて死のうと
  自分が指弾されないように画策した。
  ついには、男から机まで取り上げた。
  「君に任せる仕事は無い。
  せいぜい毎日空を飛んでいたまえ」
  男は、得も言われぬ笑顔を見せた。
  さっそく薫風吹き渡る丘に立ち、翼を広げた。
  とろけるような光をあびて空の蒼さに染まった。
  もはや時を忘れて天空に遊んだ。
  (暮らしを立て、しかも自由自在だ)
  男は腹の底から笑った。
  (無益な日々と嘲笑え。無能の末路と嘲笑え)

  丘に歳月は流れた。
  例の小役人は派閥争いに敗れ追放された。
  男は新たな上役を迎え重責を負わされた。
  空に舞う時間を失い、翼は急速に退化した。

  そのような幸福は、所詮そのように終わる。
愛機:HONDA Ape100


2009年4月23日(木)
最高気温10度7分。濃い青空はのぞいたが、流れる雲は冬の記憶を引きずっていた。 @盛岡市


  ひとつの道を究めた者も、様々だ。

  できることが当たり前だと信じる者は、
  秘けつを尋ねられても、
  その答えは、
  そっけない。
  はぐらかす。
  挙げ句の果ては「自分で探し出せ」と来る。

  忠犬の如く己に尽くす者を求める者は、
  弟子入を懇願されても、
  その視線は、
  仕草に拘る。
  趣味を見る。
  挙げ句の果ては「日常こそ全てだ」と来る。

  いつか敵にならない手足が欲しい者は、
  正しい道を聞かれても、
  その助言は、
  途中までだ。
  枝道だけだ。
  挙げ句の果ては「頑張りすぎるな」と来る。

  人の恩義を忘れた巧者ほど、
  後から来る者を粗末にする。
  学びたがる者を馬鹿にする。
  死に物狂いの者を利用する。
愛機:KTM 250EXC−F


2009年4月22日(水)
轟々と流れる暗い雲。時折射す陽射しや、束の間の青空も虚しく、小雨まじりの風が薄ら寒かった。 @滝沢村(トライアルパーク)


  どんなに一生懸命でも、
  いかに誠実であっても、
  どれほど魂をこめても、
  人は過ちを犯すものだ。

  で、失敗したものに、
  どう接するかを見れば、
  その世界の力量がわかる。

  未開の土地では、おぞましい迫害に終始する。
  劣化した組織は、処分の内容ばかり論議する。
  保身の構造なら、隠蔽の方策ばかり思案する。

  健全な社会では、
  小さな失敗に大きく向き合い、
  その原因を究明する。その対策を確立する。
  失敗した者を反省させ、再生の隊列に加え、
  その経験を共有の財産として受け入れ、
  改善の提案を募り、励ます。

  (苦杯をなめた者こそ、リーダーであれ)




  ※画像と本文は一切関係ありません。
ライダー:菅原さん、マシーン:RTL260F


2009年4月21日(火)
春雨ではあった。満開の桜に延命を持ちかける小雨の薬液だった。 @盛岡市


  俺は、
  並木ってやつが
  どうも好きになれねえんだ。 

  (一本一本が見えて来ねえ)

  少し離れて
  ぽつんと立っているやつの方が、
  いいな。

  別に悪気があって
  そこに居るんじゃねえが、
  さんざん誤解されてよ、
  時には斬付けられてよ、
  それでも、そこに居座る一本が、
  いいな。

  その場所を認められるまで、
  歯を食いしばった面構えが、
  いいな。
愛機:HONDA Monkey


2009年4月20日(月)
ぼんやりした晴天。確かなことは異様に乾いていること。雨に濡れ我に返る大地を早く見たい。 @滝沢村(トライアルパーク)


  何でもそうだ。
  「べったり」は、いけない。

  べたべたの絆で互いを縛ると、
  選択の道を閉ざす。
  公平の天秤を壊す。
  信頼は甘えになる。
  友情は、
  あたかも党派の如く利益に流れる。
  あたかも宗派の如く絶対を求める。

  べったり」でないと
  機嫌が悪くなったり、
  急に冷淡になったり、
  女学生じゃあるまいし、
  いい大人が「べったり」じゃ気色が悪い。

  必要なら、
  いつもと違う道を行く。
  いつもと違う者と飲む。
  いつもと違う者に頼む。

  (それが気に入らないと言うなら、おさらばだ)

愛機:HRC RTL260F


2009年4月19日(日)
まずは快晴。盛岡の桜も、ほぼ見頃を迎えて花見客の大波。夕刻から花曇り。 @滝沢村(トライアルパーク)


  初めて向き合う困難はね、
  見入ってしまって、
  体が進もうとしないんだよ。

  目で風景を辿って、気持だけ走るから、
  何でもないところで躓くんだよ。

  行けるかどうか探りながら進むから、
  いつもなら行けるところで
  行けなくなるんだよ。

  ほんの少しでも
  怖いとか無理だとか思ってしまうと、、
  アクセルを戻してしまうんだよ。
  ブレーキをかけてしまうんだよ。

  めざす場所を見定め、
  最善の道筋を心に決めたら、
  視線を先へ先へ送らなくちゃ。
  目に入る風景のど真中へ
  矢のように刺さっていかなくちゃ、
  困難を抜け出せないよ。

  攻め続けないと、すぐに止まってしまうよ。
  格好を気にしていたら完走なんかできないよ。
愛機:HRC RTL260F


2009年4月18日(土)
盛岡の桜も満開宣言。青空も霞み加減。陽射しも曖昧。まずは、優しい春の一日。 @滝沢村(トライアルパーク)


  あんた、
  そのまま偉そうにしていると、
  黴臭い書庫に巣くう自尊心で終わっちゃうよ。

  現場を知らずに
  ありきたりな見識を披露するうちに、
  古新聞の片隅にすら棲めなくなっちゃうよ。

  (ピンボケになりたくないなら)

  付箋だらけの書物を閉じて、
  さあ、それぞれの現状に向き合ったらどうだい。

  己の全盛期など忘れて、
  さあ、混沌を極める道に踏み出したらどうだい。

  良識の旗を打ち振るより、
  強烈な一撃を夜明けに食らわせたらどうだい。

  まさに、あたり一帯が正気に返るような歌を、
  春爛漫の轟音の様に歌い狂ったらどうだい。




  ※本文と画像は一切関係ありません。
ライダー:曽原さん、マシーン:RTL260F


2009年4月17日(金)
最高気温12度9分(盛岡)。青空もあったが、どこか3月に後ずさりした一日。 @岩手山麓


  かつて、偶然にも私を救ったものは、
  軽蔑すべきものだったと思うのです。

  いかがわしいものに
  どれほど責めたてられても、
  刃は、私の心臓に届かなかったのです。
  もっともらしいものに
  反省など強要されるほどに、
  その滑稽が見えてきてしまったのです。
  うさん臭いものたちに
  人の道など説かれても、
  冷えていくばかりで押し黙ったのです。

  だから
  何を奪われようと騒がず、
  どう斬られようと痛まず、
  通り雨をやり過ごすように
  私は目を閉じていられたのです。

  (やがて風向きは変わり)
  軽蔑すべきものは、
  おびただしい墓穴を掘り、
  転落し、あるいは追放されたのです。

  私は、その末路を見届け、
  ここに一人、無事残された今、
  あの馬鹿馬鹿しい日々を懐かしむのです。
  軽蔑すべきものに感謝したくなるのです。
愛機:HONDA Ape100


2009年4月16日(木)
朝方は黒い雲さえ出て全体薄暗かった。昼過ぎに青空が広がったが、風は、どこか冷たかった。 @岩手山麓


  保身の群を支配するのは簡単だ。
  常軌を逸したボスが一匹いればよい。

  昼間から酔いどれ、
  杓子定規な連中を相手に啖呵を切って、
  のし歩く鬼が一匹いればよい。

  機嫌を損ねようものなら
  何をしでかすかわからない恐怖を与え、
  月の裏にまで手を伸ばす。
  そんな獣が一匹いればよい。

  最上段に奉っておかないと、
  無理難題を持ちかける気難しさで、
  群を睥睨する闇が一匹いればよい。

  そのような一匹を飼い慣らす者が、
  実は、見渡す限りを統治する。
  都合次第で例の塒に毒の餌を置く悪党が、
  実は、群に一匹ひそんでいたりする。

  (真の敵を知れ)
愛機:KTM 690ENDURO R


このページの先頭に戻る。