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イワテバイクライフ 2009年 7月前半


2009年7月15日(水)
全国ニュースでは猛暑が話題になっている。当地では、曖昧な陽射しと、蒸し暑さと、真夏日寸前。その程度。 @岩手山麓


  誰が何処へ行こうと、
  誰が何処から来ようと、
  騒ぐほどのことじゃない。
  現れては消えていく誰かのことに
  心は揺れないだけだ。

  所詮、私は、彼らにとって、
  流れゆく風景に佇む
  案山子みたいなものだから。
  所詮、この地は、彼らにとって、
  瞬間蹴り去るだけの
  飛び石のひとつなのだから。

  それより、
  今年も逞しく育つ稲の緑や、
  今日も連なる山々の姿こそ、
  私の心を占めるものなのだ。
  思い出で終わることのない、
  流されて消えることのない、
  明日を託すのに足る眺めだ。
  私と共に生き続けるものだ。

  そんな風景を誰が横切ろうと
  それどころではないのだ。
愛機:HONDA Ape100


2009年7月14日(火)
夏の熱気は充分だったが、空の青さとなると、いささか印象は希薄。結局、小雨に濡れて日は暮れた。 @盛岡市近郊


  汗だくで職場に戻ると、
  私の席に誰かが座っていた。
  見渡すと見知らぬ者ばかりだ。
  私がいない間にクジを引いて配席したという。

  そこへ15年前の上司が現れた。
  「飲み込めたね。状況を」
  肩をぽんと叩かれた。

  なんだ、そんなことなら、
  ついさっき途中で止めたトライの続きをしようと、
  山へ戻った。
  同じ仲間が同じラインに挑んでいた。

  ほっとして、うれしくて、
  私は山の頂へかけ出した。


  そんな夢を見た。
ライダー:工藤さん マシーン:GASGAS


2009年7月13日(月)
ざんざんと早朝の雨が音を立てた。雨が止んだら、ごうごうと強風。黒雲と青空が入り乱れた。 @盛岡市


  吹き付ける嵐の中に立ち続ける覚悟があれば、
  濡れることさえ楽しい。


  猛り狂う黒雲の行方を凝視する執念があれば、
  光など無くても美しい。


  たったひとつの天と地を愛でる思いがあれば、
  昨日と同じ道も新しい。
愛機:KTM250EXC−F


2009年7月12日(日)
薄日射す曇天。最高気温26度9分(盛岡)は平凡でも、高校野球の間近では滝の汗。 @滝沢村(トライアルパーク)


  遊ぶものを軽蔑し、
  努力を押し売りし、
  真面目さを誇って、
  いざ、本番の仕事になると、
  てんで役に立たないものがいる。

  勤勉を御旗にして、
  冷厳な言動に酔い、
  誠実を謳い文句に、
  いざ、本番の勝負になると、
  からっきし動けないものがいる。

  (赤面するほどのものが、よくいる)

  座敷に居る時だけ人を斬る者ほど、
  修羅場を迎えると小便をたれ流す。

  おおらかな人生に宿る
  しなやかな瞬間こそが、
  自在な道筋をもたらす。
  闊達な判断にみちびく。

  その瞬間を知らない者ほど、
  形だけの真面目さを見境もなく強要し、
  結局、嘲笑われ、体よく追い出される。

  (さらばだ。蒼白の形骸よ)




  ※画像と本文は一切関係ありません。
愛機:HRC RTL260F


2009年7月11日(土)
高校野球の開幕を、突貫工事の青空が祝った。試合が終わる頃、暗い雲が流れ出した。 @盛岡市


  鏡の裏を知らないものは、
  美しく映ることに熱心だ。
  醜いものを見落とす心に
  触れようとしないものだ。


  己の裏を知らないものは、
  正当であることに熱心だ。
  善悪の挟間に立つことを
  認めようとしないものだ。


  月の裏を知らないものは、
  明るくあることに熱心だ。
  光と闇が愛し合うことを
  想像したがらないものだ。

愛機:KTM250EXCーF


2009年7月10日(金)
猛烈に風が吹き荒れた。屋根は飛ばされ、列車は止まった。時折の青空など、どうでもよいこと。 @盛岡市


  そこに座っているだけで熱風をまねく者よ。
  何か喋るだけで濃密な空気を漂わせる者よ。
  さんざん苦労して哲学を形成して来た者よ。
  この時代において最も居場所を失った者よ。

  格好だけの薄っぺらな場所で、
  大人の会話をしようなんて努力しないことだ。
  固く閉ざされた保身の場所で、
  腹の中を見せて絆など結ぼうとしないことだ。

  (ポカンとされ、変人扱いされるくらいなら)

  居るのか居ないのかわからないくらい
  気配を冷やし消して一日過ごすがいい。

  挨拶は風に舞う蝶のように乾いていた方がいい。
  目があえば、微笑み、すぐ視線をそらすがいい。
  判断は表情に出さず、私見を述べないのがいい。
  席は静かに立ち、気付けば戻っているのがいい。
  文書は過不足無く、情緒など添えないのがいい。
  約束だけは守り、余計な提案はしないのがいい。
  罵られても褒められても軽く頭を下げればいい。

  そこまで透明になれば、
  きらわれ、うとまれ、にくまれることもない。
  少なくとも馬鹿げた標的にされることはない。

  そのように落ち度無く義務を果たしたあとは、
  空に向かって高笑い。地を蹴り踊り狂うだけ。
  (人が一途に燃えていた時代のままでいい)
愛機:HONDA Ape100


2009年7月9日(木)
霧に包まれ夜は明けて、梅雨空の機嫌は悪くなるばかり。午後には小雨断続。 @盛岡市(内丸)


  大きな仕組みには、
  おおむね基本ルールが設定されている。

  その設定作業はいささか面倒で、
  多くの人々が、
  膨大な経験や認識を数値化して入力することになる。

  誤りのないように細心の注意を払いながら
  何年もかけて作業を進め、
  最後に暗号を設定して完了する。
  それで全体が正しく動き出す(はずだ)。

  ところが、様々な課題を解決する際、
  何が最善の道か選び出そうとして
  その仕組みに答えを求めると、
  いつも同じ人物の名前や数字や、
  解決の手順が出てくるのだ。

  不思議に思って設定欄を開いてみると、
  全部空白になっていたりする。
  仕組み全体は確かに動いていたことを思って、
  ぞっとする。
愛機:HONDA Monkey


2009年7月8日(水)
梅雨もたけなわ。霧と雨と風と雷。夕暮れの空に水色の絵の具がまじった@盛岡市


  自分には退屈すぎる仕事だと
  愚痴をこぼしてはいけないよ。
  熱望した仕事が、
  雨あられと降って来て、
  さばき切れない惨めさを噛みしめるより、
  よほど呑気で、いいじゃないか。
  (丁寧におやりよ)


  実に無礼で生意気な後輩だと
  イライラしてはいけないよ。
  尊敬の眼差しで
  影のように付いて来て
  魂のすべてを継承したいと請われるより、
  よほど気楽で、いいじゃないか。
  (仲良くおやりよ)


  長年の不当な評価は許せないと
  血相を変えてはいけないよ。
  高い所に置かれ、
  あがめたてまつられて、
  不可解な責任をずっしり負わされるより、
  よほど平和で、いいじゃないか。
  (馬鹿におなりよ)
愛機:HONDA ベンリィ50S


2009年7月7日(火)
30度5分(盛岡)。
真夏日というより不快指数の高さが印象に残る晴天だった。 @盛岡市近郊



  教えられた通り素直に実行して、
  繰り返した日数の分だけ伸びて、
  挑んだ回数に比例して成熟する。

  (それは、手習いのことだ)
  命がけの技になると、少し違う。

  一切を無にするほどの失敗から
  ぎりぎりの間合いを掴むものだ。
  孤立無援の中で守った沈黙から
  ぎらぎら光る刃を研ぎ出すのだ。
  絶望の淵で半狂乱になりながら
  きらきら輝く魂に巡り合うのだ。
  嵐の荒野にひとり放り出されて、
  がくがく震えながら生き延びて、
  だんだん獣の様な眼差しになり、
  とうとう自分を忘れ果てた時に、
  しなやかな力に包まれるはずだ。

  そこで、はじめて気付くのだ。
  かつて誰かに教えられたことが、
  自分のものになっていることに。
  (どこまでもひとりで学ぶのだ)

ライダー:ナカタさん マシーン:GASGAS


2009年7月6日(月)
ひんやり澄んだ朝だった。それが、瞬く間に30度8分(盛岡)の真夏に化けた。 @八幡平


  いつものことが
  いつも通りにならず、
  10日ほど彷徨った。

  ながれるものが
  重く澱んで固まって、
  10日ほど沈黙した。

  ひらくべき窓が、
  難解な霧に閉ざされ、
  10日ほど絶望した。

  (ひとりで苦しんでいたわけだ)

  それが、どうだ。
  すべてを知るものに尋ねた途端、
  一切は高速で解決され、
  窓は開け放たれ、今日の空が広がった。


  意地を捨て、
  早々に白い旗を振れば済んだことだ。
  (その程度のことが地上をのし歩いている)
愛機:KTM 690ENDURO R


2009年7月5日(日)
雲というより霧が払われ、あらわれたのは、気力を吸い取るような夏空だった。@遠野市(トライアル特設会場)



  夏は、不思議だ。


  思い詰めていたことが、
  その熱気の中で、とけ出す。


  消えなかった闇の痕が、
  その蒼さの中で、洗われる。


  見失っていた道の先が、
  その陽光に照らし出される。

愛機:HRC RTL260F


2009年7月4日(土)
時折小雨がぱらつく梅雨空。モノトーンの街で鮮やかなのは紫陽花ばかり。 @盛岡市(内丸)



  歌うことは、良いことだ。
  自分の音域がわかる。
  その狭さを、さっさと感じることだ。
  (その上で、歌手になれれば良い)


  怒ることは、良いことだ。
  自分の資質がわかる。
  その愚かさをさっさと認めることだ。
  (その上で、大人になれれば良い)


  綴ることは、良いことだ。
  自分の程度がわかる。
  その空疎をさっさと思い知ることだ。
  (その上で、何者かになれれば良い)

愛機:HONDA Monkey


2009年7月3日(金)
不透明ながら青空はあった。けだるい陽射しがあった。そこそこ夏雲がわいた。 @岩手山麓



  どんなに退屈でも、此処から離れない。
  (誰かが喜ぶ限り)離れない。

  どんなに不毛でも、此処を放棄しない。
  (誰かが貪る限り)捨てない。

  どんなに暗くても、此処の灯を消さない。
  (誰かが笑う限り)消さない。


  誰かの思惑通りにはさせないために、
  誰かの想像を越えた意志を貫くのだ。
  痛みや虚しさを平気な顔で受け止め、
  誰かが遂に根負けして立ち去るまで、
  どれほど己の人生を無駄にしようと、
  此処にでんと居座り続けようと思う。

愛機:HONDA Ape100


2009年7月2日(木)
サンプルの様な梅雨空は、昼過ぎ、にわかに陽射しを許し、かすかな蒸し暑さをまねいた。 @岩手山麓


  何故、そんなに明るいの?
  君が明るくなくても、
  太陽があるのだから、いいんだよ。
  君一人そんなに頑張らなくても、
  作った笑顔を振りまかなくても、
  気をつかって擦り減らなくても、
  誰も困りはしないから、のんびりおやりよ。

  何故、そんなに急ぐの?
  君が急がなくても、
  時は流れるのだから、いいんだよ。
  君一人そんなに走らなくたって、
  真っ先に結論を出さなくたって、
  何がなんでも形にしなくたって、
  天地はそのままだから、ゆっくりおやりよ。

  何故、そんなに語るの?
  君が語らなくても、
  世界は回り舞台だから、いいんだよ。
  君一人言葉を尽くさなくたって、
  心の奥底まで明かさなくたって、
  真実を求め疲れ果てなくたって、
  事実の方が雄弁だから、力まずにおやりよ。


  でもね、それで君が救われるのなら、
  好きにおやりよ。とことんおやりよ。

愛機:KTM250EXCーF


2009年7月1日(水)
湿って、なまぬるい朝だった。曇天に回復の兆し無く、小雨すらまじった。 @岩手山麓


  まことに有難いのは、
  わたくしに関心など持たない隣人です。

  わたくしの言葉に
  いちいち驚かず、落胆せず、怒らず、
  うわの空で聞いてくれれば良いのです。

  わたくしの経緯を
  あれこれ詮索し、値踏みしたりせず、
  動き回らずにいてくれれば良いのです。

  わたくしの明日を
  こと細かく決め付けて、ねじ曲げず、
  だらだら先送りしてくれれば良いのです。

  そもそも、わたくしは、
  いく度人柱にされても、
  繰り返し生き返る様に
  仕立てられた者ですから、
  人として当り前に扱われることなど
  期待はしません。
  (温厚な絶望です)
  だから、せめて、
  この楽園に捨てられたわたくしのことには、
  いっさい関知せず放置してくれる隣人こそ、
  最高の恩人に違いないのです。
愛機:HONDA Ape100


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