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イワテバイクライフ 2009年 9月前半


2009年9月15日(火)
街の至るところに水溜り。午後の青空を映していた。どこかけだるい陽射しだった。 @盛岡市


  余計なことは何もせず、
  明日を迎えるのが、
  正しい態度のように思える。

  どうにかしようとか、
  なんとかしようとか、
  日頃使ったこともない力を出して、
  川の流れを変えようとしたり、
  風の向きを変えようとしたり、
  東奔西走したところで、
  所詮、今日限りの汗なんだよ。

  無心に生きてきたこれまでの自分が
  すでに明日を決めているんだよ。
  良いことも、そうでないことも、
  大切な友も、そうでない他人も、
  一切は、これまでの自分が招いた必然なんだよ。
  それを素直に受け入れることこそ、
  自分に対する礼儀じゃないのか。
  余計なことはせず、潔く従うことこそ、
  自分でいられる唯一の道ではないのか。

  その道を辿っていけば、
  もつれた糸は、いずれ解きほぐれるはずだ。




  ※本文と画像は一切関係ありません。
HONDA ベンリィ50S

2009年9月14日(月)
最高気温24度5分(盛岡)。青空に雲はぎらぎらわき立ち、各所で俄雨。 @十和田湖(たぶん秋田県)


  わたしはね、
  近未来のその日のことで
  もう頭がいっぱいなのだ。

  思い描いた夢が、
  現実になるその日まで、
  秒読みに入った嬉しさで
  水鏡一面を震わせるのだ。

  今日の夕暮れは、
  つまり束の間の闇夜の入り口だから、
  思い煩うこと無く眠りに就いて、
  あとは目覚めるだけだ。

  その夜明けのために
  わたしは今日を走り、今日を記憶に残す。
  ひとつひとつの瞬間が
  何万、何億と折り重なって
  来年の秋や再来年の秋に届く橋になる。
  昏睡の季節を渡り切る橋になる。

  絶望の此岸から希望の彼岸を結ぶ橋は、
  去り行く今日を記憶し続ける狂気だ。
スポーツスター883R

2009年9月13日(日)
午前中は、思いのほかに強い雨に洗われた。けして冷たい雨ではなかった。夕方から所々に晴れ間。 @岩手山麓


  何もしなくても、なるようになる。
  手を尽くしても、なるようになる。
  結局、行き着くところが同じなら、
  何かひとつ自分の道を外れてみる。
  何かひとつ自分の裏をかいてみる。
  何かひとつ自分の宝を捨ててみる。
  それでも同じ結末に辿り着くなら、
  百年の友のように受け入れようか。
HONDA Ape100

2009年9月12日(土)
日中は局部的な小雨も、夕暮れと共に広範囲を濡らす雨に変わった。10月中旬並の気温。 @滝沢村


  今日の秋は、
  今年だけの秋ではない。

  来年の秋のために
  もうひとつの眺めを撮る。
  再来年の秋を思い
  もうひとつの瞬間を撮る。
  その次の年の秋のために
  もう一枚の絵を仕上げる。

  (そのように冬に備えるのだ)

  心におさめ切れないほどの
  「今日」の印象を糧にして
  歳月という大山脈を越えようと思うのだ。
  押し寄せる氷河期に備えて、
  今日の秋の中に薪を拾うのだ。

  来年の今日をしのぐために、
  再来年の今日を満たすために、
  その次の年の今日を在らしめるために、
  粛々と準備するのだ。

  (そうさ。この道は途絶えない)
HONDA Monkey

2009年9月11日(金)
澄んだ秋空は朝だけで、日中は岩手山の輪郭も曖昧で、夕刻には雲が広がって来た。 @岩手山麓


  大きな力を借りたければ、
  見知らぬ者に頼むことだ。

  なまじ知り合った仲では、
  事情がわかり過ぎていて、
  ひと息に事はすすまない。
  まして利害が絡めば複雑だ。
  密告の影さえ見えてくる。

  慣例や通念に囚らわれず
  ものごとを動かす知恵は、
  白紙の状態から生まれる。
  突如吹く起死回生の風は、
  意外な方角に巻き起こる。

  だから、今夜も
  まだ見ぬあなたへ
  長い長い手紙を書くのだ。
  ひとつ間違えば
  身を滅ぼすような手紙を
  夜が明けるまで綴るのだ。
スポーツスター883R

2009年9月10日(木)
秋晴れに所々荒々しい雲が流れた。山をひとつ越えると道が濡れていたりした。 @岩手山麓


  俺はね、
  日曜日の午後のショッピングセンターで
  道化者をしている自分を思うことがあるよ。

  分厚い化粧の下から
  秋空に溜息を付いて
  自分が求めた自由について考えるのさ。

  これでよかったのかな、と。
  本当によかったのかな、と。
  後悔で脹らむ風船が目に浮かぶのさ。

  きっと夕闇の家路で思うのさ。
  確かに此処は愛する地ではあるけれど、
  確かに北に聳えるのは愛する山なのだけれど
  実は、そんなことは、もうどうでもよくて、
  明日の生活のために這い回ることで精一杯で、
  やがて、風になった日々のことさえ
  忘れていく自分を、いま思い浮かべるのさ。

  死ぬほどの退屈をやり過ごし、
  不条理に怒り震えながら、それでも、
  自分とやらを綴っていられた日々を羨む道化師が
  見えて来て仕方ないのさ。
KTM250EXCーF

2009年9月9日(水)
秋晴れの朝は、気温10(盛岡)。日中は柔和な光に充たされたが、夕刻は身を固くさせる冷え込み。 @三陸沿岸


  よし、わかった。
  信じようじゃないか。

  裏切られる日まで信じようじゃないか。
  その瞬間まで
  ほがらかな人間でいられるなら、
  信じようじゃないか。

  裏切られることを予見して
  苦しむことこそ地獄なのだ。
  信じた末の結果が、
  いかに酷いものであろうと、
  信じていれば、
  その日までは夢を見て暮らせるじゃないか。
  愛する者を悲しませなくて済むじゃないか。

  騙されまいと気を張るのは、もう止めよう。
  策略を暴こうと意地など張るな。
  許し難い暗躍を追跡するな。

  いいじゃないか。くみしやすい者で。
  思惑通りにわたしを貶めてほくそ笑む者は、
  それ以上の毒を使わないのだから。
   (殺されるわけじゃないのだから)

  せいぜい信じて時を送り流そうじゃないか。
スポーツスター883R

2009年9月8日(火)
いずれ晴れると報されていて、暗い雲は小雨など降らせ、夕刻、やっとの晴天。 @盛岡市


  追放の前夜、
  私は、その声で目を覚ました。
  押し殺した声だった。
  蚊帳の外の闇からだった。

  「動いてはなりません。
  声に出してもなりません。
  動けば思うつぼです。
  声に出せば標的です。
  あなたにとって、
  一番不本意なあなたでいることが、
  つまり、あなたを守ることなのです。
  きっかけを与えてはなりません。
  口実を与えてはなりません。
  穏やかに過ごす姿こそが、
  あなたを助けるのです。
  いいですね。
  束の間、心を離れ、気配を消しているのです。
  いずれ、魔法の様にすべては変わります。
  追放する者もまた、時が来れば追放されるのです。
  静かに待つのです。
  季節を数えて待つ強さだけは必要なのです。」

  見慣れた大地は夜明けを迎えていた。
  悲しいほどに澄み切った空だった。
スポーツスター883R

2009年9月7日(月)
陽射しは濁り、風は淀み、最高気温は26度8分(盛岡)なんて、岩手の九月も変わったものだ。 @岩手山麓


  新天地に舞い降りた者は、
  誰もが高揚している。

  自らの力で
  すべてを刷新しようと意気込んでいる。
  先住の民の習慣や伝承を絶ち切り、
  固く守られて来た掟まで叩き潰す。
  おずおずと寄せられる嘆願の類は、
  とことん黙殺され焼却されていく。

  では、そのように張り切って
  何をするのかと言えば、
  過去幾度と無く繰り返された
  「顔ぶれの入れ替え」程度のもので、
  その工作に追われるうちに時間切れを迎え、
  自らも入れ替えられていく。
  なのに、本人は先の先まで
  決めておこうと意地を張る。
  責任など取れない遙か未来のことまで
 「今日の机」の上で決めたがる。


  自分が居なくなった後の天地を
  想像できる者にこそ、
  明日を託したい。
スポーツスター883R

2009年9月6日(日)
岩手一面の青空は、さらりと乾いてはいたが、陽射しの強さだけは「秋以外のもの」だったそうだ。 @宮城県(SUGOスポーツランド)


  生きることの渦中にあって、
  人は望みを握り締めることに拘る。

  それを見透かして、
  脅しや揺さ振りをかけ、
  まるめこもうとする影が現れる。

  自らの幻想を守ろうとする者ほど、
  そんな仕掛に弱いものだ。
  なんとか妥協しようとする。
  どうにか折り合いを付けようとする。
  その場をしのぐことで精一杯になる。

  自らの夢を手放せない者ほど、
  安易な打開策に奔り、
  深みにはまり、溺れていく。

  狡猾な罠にはまらない術を知っているかい?

  暗愚となり、理解せず。
  言葉を捨て、思考せず。
  ただ心に決めた道筋を辿り切ることだ。
  出口を見据えて、無心に進むことだ。
  昨日と何ひとつ変わらず、
  揺れず、崩れず、平然と、
  一日一日を終わらせることだ。

  (それこそ鉄の構えだ)


  ※画像と本文は一切関係ありません。
東北トライアル選手権シリーズ第6戦・宮城大会

2009年9月5日(土)
晴れてはいたが、夏の残党の様な雲が群がり、岩手山を隠していた。各地27度前後の最高気温。 @岩手山麓


  群のあれこれを聞かされ言わされ、
  それを生業とするものがいる。
  実にもっともらしく話すのだが、
  注意深く聞いていると、
  背後に控える黒い影が見えてくる。

  (そこでだ)

  誰かの言葉を伝えるだけの者に
  言い返すことはない。
  聞いておけ。

  誰かの思惑を伝えるだけの者に
  気色ばむのは愚かだ。
  頷いておけ。

  誰かの罠に誘い込む役目の者を
  詰問してはならない。
  恍けておけ。

  さしさわりなく、
  どうとでも取れるように、
  その者が安堵しそうな「微笑」を
  駄賃に持たせてやるがいい。


  (無駄に騒ぐな、考えるな、動くな)
HONDA Ape100

2009年9月4日(金)
速度を上げるほど風に水の微粒子を感じた。結局、泣き出すことなく曇天は曇天で終わった。 @岩手山麓


  気が付けば
  私の速度の中にお前がいる。

  振り向けば、
  今日の私にお前が追い付く。

  目が合えば、
  めざす場所を了解している。

  カットインではなく、
  すみやかに、なめらかに、
  躊躇ない合流だ。
  フェードインとは違い、
  押し寄せて、染み渡る、
  堂々たる合流だ。

  何事も無かったように、鞭を当てれば、
  お前はしなやかな弧を描いて
  私の楽園へ飛び込んで行く。
  初めて迎える道の向こうを
  覚えていたかのように、
  躊躇なく堂々と飛び込んで行く。

  (なるほど、これが風の遺伝子か)
スポーツスター883R

2009年9月3日(木)
午後から澄んだ青空。最高気温は21度9分(盛岡)。秋の歩みは穏やか。 @盛岡市(内丸)


  いつか迎える「おわりの時」を
  探ったり、思い浮かべちゃいけない。

  嬉しいことが嬉しいまま
  溢れる思いが熱いまま
  愛が出会いの時のまま
  一切は、この瞬間のことであり続けるように
  初めと終わりなど無いかのように
  風に吹かれていたい。
  光の中に今日のことさえ忘れていたい。
  ただ消えることの無い印象でありたい。

  ある日、誰も観ていない漆黒のスクリーンに
  エンディングの白い字幕が流れ出し、
  私というものの終わりを告げていたとしても、
  ほろ酔いの私は
  夜空に明日を探すのだ。
HONDA ベンリィ50S

2009年9月2日(水)
澄み切った夜明けだった。日中は陽射しも強かったが、夕刻、急速に衰弱。一気に秋の夜。 @盛岡市


  あんたがつくり上げたものは、
  あんたのすべてを映すものだ。
  あんたが消えたら抜け殻だよ。


  そう簡単には辞められないよ。
  あんたが始めた祭は、
  あんたの大風呂敷で賑わってきたのだから、
  これからもずっとホラでも何でも吹かなくちゃ、
  その祭は祭じゃなくなるよ。


  そう易々とは逃げられないよ。
  あんたが決めた掟は、
  あんたの我儘に皆が従って出来たのだから、
  これからもずっと誰彼と無く押し付けなくちゃ、
  その掟は掟じゃなくなるよ。


  そう単純には捨てられないよ。
  あんたが愛した人は、
  あんたの腐った性根を抱きしめたのだから、
  これからもずっと仕様もない人間でいなくちゃ、
  その愛は愛じゃなくなるよ。
KTM690ENDURO R

2009年9月1日(火)
台風11号は三陸沿岸をかすめて遠ざかり、お決まりの青空を残した。 @八幡平市


  今日のあなたの良さを他人が理解するのは、
  遥か先のことだから、力を抜いておやりよ。
  (証明してみせようなんて思わぬことだ)


  今日のあなたのミスを他人が見咎めるのは、
  今日中のことだから、気を張っておやりよ。
  (明日何とかしようなんて思わぬことだ)


  今日のあなたの思いを他人が受け取るのは、
  他人の心次第だから、思いのままおやりよ。
  (形にしてみせようなんて思わぬことだ)
HONDA Ape100

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