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イワテバイクライフ 2009年 9月後半
俺は、つまり、こうして生きていたいのだ。 だから、この日々のためなら、 どんなに惨い歳月も 笑顔で見送れるのだ。 |
心が決まれば、 あとは目を閉じていてもよい。 太刀を振り下ろすだけだ。 骨を断つ気で振り下ろすのだ。 腐ったものを寸断するイメージだ。 交換条件や言訳の羅列に耳など貸さず、 まっすぐ振り下ろすのだ。 妥協の提示や、うやむやにする魂胆へ、 振り下ろすのだ。 ど真ん中からふたつに割ることを念じ 振り下ろすのだ。 腰を据え、気合いを込め、 上から下へ美しく振り下ろすのだ。 我が身の明日が人質なら、 なおさら迷い無く、この身を斬って、 黒い影の息の根を絶つのだ。 |
この幸福を失うことが、 辛くて狂いそうならば、 この日々を捨てるのが、 最も賢明かもしれない。 他人に強奪される前に、 街の地図を焼くことだ。 私の暮しを焼くことだ。 結んだ絆を斬ることだ。 この空の下の思い出を ひと息に消去するのだ。 何から何まで捨てれば、 いつ此の地を失っても もう悲しむことはない。 奪う者の正体も暴ける。 その様に覚悟したのだ。 |
試すだけの出題は、 ふるい落とすことしか考えていない。 レベルを思い知らされて終わる。 阻むだけの出題は、 容易く解かせないという意地だけだ。 無用な困難の連続で疲れ果てる。 楽しませる出題は、 挑む者に理解させ探究させるものだ。 取り組むほどに実に味わい深い。 |
にこにこしていてごらん。 ある者は、それを温和と言い、 ある者は、それを不真面目と言い、 また、ある者は、それを道化と言う。 じっと黙っていてごらん。 ある者は、それを思慮と言い、 ある者は、それを反抗的だと言い、 また、ある者は、それを自閉と言う。 何でも頷いていてごらん。 ある者は、それを協調と言い、 ある者は、それをいい加減と言い、 また、ある者は、それを卑屈と言う。 実にそのようなものだ。 偶然通りがかった誰かの印象ひとつで、 人の役割は決まる。 所詮そのようなものだ。 偶然すれちがった誰かの気分ひとつで、 人の明日は決まる。 |
今日の空を映すのは、 一面の水鏡。 昨日の私を映すのは、 言葉の泥沼。 明日の道を映すのは、 吹き渡る風。 寄せては砕け、 現れては消え、 定まって乱れ、 暮れゆく湖畔。 |
もの言う気力は、若気の至り。 もの見る知恵は、老いの賜物。 昨日のわたしを 明日のわたしは、 ただ懐かしんで、 そんなこともあったと微笑むだろう。 今日の思いなど、明日は他人ごとで、 今日の決断など、明日はお笑い草で、 今日の道筋など、明日は欠伸を誘う。 だから、わたしは、 あなたを困らせてやろうと思うのだ。 何故それほど惨たらしい未来なのか、 けして忘れられないように、 今日の気力を振り絞り、 若気の至りとやらを この夕暮れに刻みつけておいてやろう。 |
うんと迷った時にはね、 何も決断しないことだ。 ぎりぎりまで何もせず、 時間切れにさせることだ。 それで、案の定、つまらないことになっても それだけのことだ。傷口はごく小さくて済む。 (運命とやらを思い知るだけさ) それが許せないならね、 走る思いに従うことだ。 後先のことを斟酌せず、 事を運んでしまうことだ。 それで、案の定、惨たらしいことになっても それだけのことだ。でかい風穴が開くだけだ。 (自分とやらを思い知るだけさ) |
つまらない後悔なんて、 何も役に立たない。 何も学ぶ事はない。 どちらにしても後悔するのなら、 全力の果てに何もかも失うことだ。 呆然とするほどの損失を被って、 取り返しがつかないところに立たされるがいい。 その時、初めて、手放したものや壊したもの、 諦めたものが、どれほど大切なものだったか、 心に深く突き刺さる。 己の愚かしさが分る。 生涯背負うに足る、 噛み締めるに足る教訓が欲しいのなら、 生死の境界さえ定かではないところで、 ひとり苦しむ他はない。 真の結果を求めるのなら、 破滅と表裏の決断を下すことだ。 (最善の後悔のために) ※本文と画像は一切関係ありません。 |
今日の出来事なんて、 数年先には意味を失い、 記憶の吹きだまりに舞っている。 (騒がしいほどに心は虚しくなる) 今日の当事者なんて、 数年先には消え去って、 残された仕組だけが動いている。 (責任を叫ぶほどに気恥ずかしい) 今日の交渉事なんて、 数年先には無効になり、 裏事情だけが一人歩きしている。 (約束を確かめるほどに薄ら寒い) 数年の旅から故郷に戻った者は、 何ひとつ変わらない風景を見渡し、呟くのだ。 「この歳月の馬鹿馬鹿しさを噛み締めなければ、 今日という日は巡って来なかったのか。 黙々と無意味という煉瓦を積み重ねることで、 人生は許されるのか」 |
目先のことに 一喜一憂しているとね、 目的地までの道を見失うよ。 昨日までの習慣を 人生のすべてのように思い込んだり、 溜め込んだものを 意固地に握り締めて離せなくなって、 結局、一歩も先へ進めなくなるなんて、 誰かの思うつぼじゃないか。 目の前のひとつの季節さえ、そうだ。 退屈な時間と見れば、日々は色彩を失う。 カレンダーの中の数年さえ、そうだ。 やり過ごすだけなら、日々は虚しくなる。 そんな季節や歳月を負わされても、 涼しい顔で楽しみ切る者こそが、 めざすところに辿り着けるんだよ。 |
わたしが、 ここに居なくても、 誰かが汗を流し、実りの秋を迎える。 そのように季節は、 ここに繰り返される。 わたしが、 ここから消えても、 誰かが種をまき、次の時代を迎える。 そのように生命は、 ここに繰り返される。 そのように天地は、 わたしを待っていてくれる。 そう思うだけで、 どんな遠回りも一瞬の出来事だ。 |
喧騒の風の中で 明日のことを決めちゃいけない。 前夜の約束さえ 実に容易く裏切られていくのだ。 実に真面目な顔で掌を返すのだ。 甘い囁きの中で 未来の一切を託しちゃいけない。 今朝の微笑さえ すでに真意を推し量れないのだ。 すでに好意とは無関係な何かだ。 (そんな時にはね) 敵でも味方でもない誰かに向い、 過ぎ去った事実だけを話すのさ。 解釈なんか微塵も加えないのさ。 素性も知れない誰かと向き合い、 取り返しのつかない約束をして、 明日を縛っちゃいけないんだよ。 利害にはしる眼差しを見逃さず、 歪曲させるものに耳など貸さず、 道の行方を凝視する他ないのさ。 誰かの思惑がからむ明後日など、 律儀に背負ったりしてはいけないよ。 |
馬鹿だなあ。 ひとの言うことを最後まで聞けよ。 (風の歌声を聞いてこい) 大切な言葉は、 いつも最後の一行だから。 慌て者だな。 最悪の結末を妄想して先走るなよ。 (青空で顔を洗ってこい) 昨日の約束は、 澄み切って嘘は無いから。 不器用だな。 熱愛か憎悪の他に情は無いのかい。 (秋の光線を浴びてこい) 消えゆくものは、 曖昧だが穏やかだから。 |
今日のあなたの思惑なんて、 数年経てば秋の雲より軽くなる。 宿場街の数日前の出来事なんて、 瞬く間に風に運び去られる。 したためた日記ですら 記憶を辿れない。 数年先の祭で 誰が笛を吹き、 誰が太鼓を叩き 誰が山車を引くのか 今日決めてみたところで 誰も振り向かない。 ただ今日の笛や太鼓が、 今年の秋を奏でるだけだ。 担ぎ手は、いくらでもいる。 次々顔ぶれは変わる。 あなたが去っても祭は続く。 あなたの言いつけなど車輪に轢かれ、塵となる。 ものごとは、躊躇せずあなたを素通りしていく。 ※本文と画像は一切関係ありません。 |