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イワテバイクライフ 2009年 10月前半


2009年10月15日(木)
見渡す限りの晴天で夜明け。従って放射冷却。藪川・区界では氷点下。日中は陽射しに温もった。 @北上高地


  「もっと出来るはずだ」と欲張るな。
  頑張らないお前でいてもらいたい者もいる。
  その思惑にさりげなく寄り添えば、
  優しくされることもある。

  「こんなことでいいのか」と怒るな。
  万事平穏なお前でいてもらいたい者もいる。
  その胸中を察して微笑んでいれば、
  感謝されることさえある。

  「どうしてこうなるのだ」と問うな。
  追求しないお前でいてもらいたい者もいる。
  その都合をあっさり受け入れれば、
  すんなり開くドアもある。


  昨日と変わらぬ流れを切望する者にとって、
  お前の努力は、時に迷惑であり、
  お前の憤怒は、時に凶器であり、
  お前の詰問は、時に暴力なのだ。
  寝静まる群の中で、熱情はタブーなのだ。
KTM250EXC-F

2009年10月14日(水)
空の蒼さは深く、光は澄んでいたけれど、舞い踊る雲は少し乱暴だった。 @一戸町


  ひと山幾らの幸せを
  法外な値札で押し付けられることもある。
  それも恩着せがましく。

  破格の話であると耳打ちされ、
  まれに見る好運だと告げられ、
  感謝や恩返しまで請求される。

  捨ててはならないものを手放し、
  貫徹すべきことを止めてしまい、
  守るべきものさえ見殺しにして、
  さっさと契約書にハンコを押す。

  ひと山幾らの幸せであることを認めたら、
  あまりに寂しいから、
  目を輝かせて迎える。
  力の限り抱きしめる。
  これでよかったんだと心に言い聞かせる。
  本当に有難いことだと日々笑顔で暮らす。
  丁寧に謙虚に素直に明朗に今日を生きる。
  (嘘でもいいから、そうする)

  すると、やがて、
  ひと山幾らの幸せは人生に馴染んでいく。
  (払った代償の記憶は封印されて)
スポーツスター883R

2009年10月13日(火)
濃霧注意報で夜は明け、昼前後の雨に濡れ、やっと広く晴れ渡ったのは夕暮れのこと。 @姫神山麓


  川を渡ることを拒否しない。
  向こう岸に焚火が燃え盛っていれば、
  秋の水に濡れてもいい。
  

  谷を越えるのに躊躇しない。
  彼方の山々に道が開けているのなら、
  棘の道に傷付いていい。
  

  宙に跳ぶことに迷いはない。
  明日のその先に真の未来があるなら、
  目も眩む冒険でもいい。

  
  すべては、窓からの見晴らし次第だ。

  それで、人は救われたり悪魔になったりする。
HONDA Ape100

2009年10月12日(月)
きりっと冷え込んで夜明け。爽やかな秋晴れ。夕暮れは、冷え冷えとした影を纏って雲が流れた。 @岩手山麓


  燃えているかどうか、
  よくわからなければ、
  暗がりに佇んでみる。

  灯っているかどうか、
  はっきりしなければ、
  夜を呼び寄せてみる。

  火がつくのかどうか、
  確信が持てなければ、
  闇の中で試してみる。

  魂があるのかどうか、
  明言できないのなら、
  嵐の中に生きてみる。

  それでも、だめなら、
  我が身を焼いてみる。

 (覚悟という炎を持て)
KTM690ENDURO R

2009年10月11日(日)
未明からの雨は、日中まで断続。冷えた青空が途切れ途切れ。 @一戸町(奥中山高原)


  仲間と楽しみ競う時、
  失敗は、けして悔いにはならない。

  だってさ。
  冷えた大地に温かい拍手が起きるんだぜ。
  薄暗い空の下に輝く笑顔が浮かぶんだぜ。
  最善の道筋を語り合う熱気が漂うんだぜ。
  一面の秋を共有した絆が結ばれるんだぜ。

  そんな思いひとつで
  今年も疾走する影たちが、ほら、
  二度と無い風を収穫していく。
「イーハトーブ秋トライアル」にて

2009年10月10日(土)
気象台は岩手山の初冠雪を確認。各地でこの秋一番の冷え込み。どこか荒削りな青空と雲だった。 @岩手山麓


  わたしの行間を嗅ぎ回る者よ。
  戦々恐々の猟犬たちよ。


  お前の獲物は何だ。わたしの本心か?
  舞い踊る雲を掴み取るには、
  風の心を知れ。

  お前の魂胆は何だ。わたしの追放か?
  歌い狂う鳥を射落とすには、
  風の魂を知れ。

  お前の執着は何だ。わたしの計画か?
  潜むものを突き止めるには、
  風の熱を知れ。

  お前の恐れは何だ。わたしの告発か?
  押し寄せる闇を止めるには、
  風の涙を知れ。


  泥を纏わず、血も流さず、
  机上で読み解けるものは、
  所詮わたしの抜けがらだ。




  ※画像と本文は一切関係ありません。
スポーツスター883R

2009年10月9日(金)
台風一過の青空など、ほんの欠片程度で、主役は雨さえ降らす荒くれの雲だった。 @岩手山麓


  立場は、棲みかではない。
  束の間立っていられる場所だ。
  その足の置き場に
  「名誉」や「権威」を感じる者は、
  次から次へと新しい立場を求める。
  曲芸のように立場から立場へ飛び移る。
  その巧みさを誇りに思い、
  ますます熱心に立場を求める。
  次の立場こそが、生甲斐であり夢となる。

  (しかし、だ)

  やがて老いとともに
  立っていられる場所は限られ、ついに消えていく。
  その時、夜露をしのぐ屋根さえ無いことに気付く。
  故郷といえるものを持たないことに気付く。
  仕方なく、渡り歩いて来た立場の近くに家を持つ。
  立場の思い出を、生涯の宝として生きていく。

  立場を捨てた獣にとっては、
  見渡す一面が棲みかなのだ。
  めぐる季節が棲みかなのだ。
  移ろう雲や光さえ棲みかだ。
HONDA Ape100

2009年10月7日(水)
大型の台風18号の到来を告げるものは、まだ、ない。秋の薄日を享受するばかりだ。 @八幡平市


 孤独な道には
 寂寥という名の記憶が寄り添う。

 映画「ダンス・ウィズ・ウルブス」も
 そのひとつだ。

 主演のケビン・コスナーもよかったが、
 何より心に残るシーンがある。

 主人公に
 絶望的な辺境への赴任を命じた直後
 拳銃自殺する上官のことだ。
スポーツスター883R

2009年10月6日(火)
天気予報では「晴れ」というのかもしれないが、秋晴れが恋しい心には「駄作」というべき空だった。 @八幡平市


  漆黒の闇に飛び込んだ瞬間、
  わたしは、むしろ歓喜する。

  それは、トンネルから抜け出すカウントダウンが
  始まった瞬間なのだから。
  光の中に抜け出るイメージは刻々膨らみ、
  人生は闇の中をばく進する。

  高速回転する歳月のカウンターは、
  悲しみを巻き込んでいく。
  苦しみを飲み込んでいく。
  虚しさを噛み砕いていく。

  過ぎてゆく過ぎてゆく歳月が過ぎてゆく。
  暗ければ暗いほど心は光へ走る。
  不幸の到来は幸福への起点。
  すべての日々は過ぎ去るためにある。

  むしろ幸福の到来が恐ろしい。
  砂の様に落ちる幸せな日々が、
  残り少ない生命に見えて来る。

KTM250EXC−F

2009年10月5日(月)
夕べの雨に濡れた街は、曖昧な青空と寸断された陽射しで、どこか湿ったまま夜を迎えた。 @岩手山麓


  歳月の速度は、
  心の佇まいで決まる。
  楽しければ、瞬く間だし、
  つらければ、鉛のようだ。

  夜明けの時刻がわかっている闇の中なら、
  時は着々と流れる。
  晴れ渡ることがわかっている嵐の中なら、
  時は轟々と流れる。
  故郷に戻る日がわかっている旅の中なら、
  時は春の風となる。

  (恐ろしいのは)
  憂い無く繰り返されていく幸福の中で、
  やがて時が止まることだ。

  恋い焦がれるものを失い、
  狂おしいほどのカウントダウンを忘れ果てた時、
  人の歳月は停止する。
スポーツスター883R

2009年10月4日(日)
南東北(福島)は汗を誘う晴天だったが、北東北(岩手)では小雨模様だったらしい。 @福島県(明治トライアルパーク)


  希望も絶望も
  所詮は、同じ道中のことなんだね。

  明日を信じていれば、
  行く手は光り輝き、
  不安を抱えていれば、
  行く手の空は暗い。

  辿り着きたい場所を強く思えば、
  体も心も、その方向へ向かう。

  辿り着けない自分を想像すると、
  体も心も、一歩たりと進まない。

  道があるかどうか、ではないんだよ。
  どこへ行きたいかという意志が、
  結果的に道を開くんだよ。

  空を開くんだよ。
2009東北トライアル選手権シリーズ 第8戦 福島大会

2009年10月3日(土)
天気予報の約束など完璧に破られ、所により降雨。南東北に至り、ようやく穏やかな晴天。 @福島県(明治トライアルパーク)


  道は、千差万別だ。

  向き合うものの造形。
  挑む者の心と技。
  両者が折り合ったところに道は開ける。

  行けるか行けないか。
  越えられるか越えられないか。
  それは、つまり、
  大地のありのままに
  身を投げ出す素直さに尽きる気がする。


  怖いと思えば、不可能の山脈に突き当たる。
  楽しいと感じれば、地平の彼方に道は開けていく。
2009東北トライアル選手権シリーズ前日の練習風景

2009年10月2日(金)
まったく気の滅入る一日だった。大雨 洪水 濃霧などマイナス要素満載だった。 @滝沢村


  濃い霧が払われた。
  わたしは、一面の水鏡の中に立っていた。
  足元には秋の星座が映っている。
  ひとつひとつの星が
  辿り着くべき場所を告げている。
 (もう迷うことは無い)

  けれど、勇んで走り出せない。
  胸弾ませ歌も歌えない。
  水鏡を少しでも揺らせば、
  見渡す限りに波紋は広がり、
  明日へ導く星の道も
  崩れ消えてしまうから。
  一切の喜怒哀楽を捨て、
  闇にまぎれるのだ。
HONDA Ape100

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