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イワテバイクライフ 2009年11月後半


2009年11月30日(月)
日向には極上の温もり。日陰には切れるような冷気。明暗混在。光と影の連続。 @三陸海岸


  道は、もう開いてしまった。こっそりとね。
  あとは、知らぬ振りして暮すだけだ。

  誰かが用意する紆余曲折とやらに
  戸惑ってみせたり、
  驚いてみせながら、
  季節の匂いを胸におさめるだけさ。
  友人と美味い酒を酌み交わすのさ。
  午睡の中で彼方の悲鳴を聞くのさ。

  そのように歳月を見送れば
  辿り着く場所は、
  この見晴らしなのさ。
  結局、ここなのさ。

  血を流して切り開いた道は、
  誰かの都合で用意された道とは、違うのさ。
  けして時の波に持ち去られないのさ。

  だからさ、今日もこうして
  押し寄せるものを愛想良くあしらうのさ。 
ヘリテイジ ソフテイル クラシック 

2009年11月29日(日)
数世代前の舞台装置みたいな青空で、リアリティは無く、刺し込む寒気だけが現実だった。 @遠野市


  そうですか。
  私は、それほど邪魔ですか。
  あなたの繁栄を破壊しかねないほどのものですか。
  よくわかります。
  数年の無事を踏み台にして、
  身の丈を越える綱渡りに明け暮れる者の
  狡猾と愚劣を嫌というほど見て来ましたから。
  どうにも許せない私ですから、
  よくわかります。

  では、私は、しばらく旅に出ます。
  あなたが一切を腐らせ、
  この地をめちゃくちゃにする間、
  日溜りの宿場町でくつろいでいます。
  あなたの逃げ道に仕掛ける罠を作りながら、
  一膳めし屋のテレビを見上げて、
  その日を指折り数えています。
ヘリテイジ ソフテイル クラシック

2009年11月28日(土)
師走目前に10度を越えてくれれば、まずは穏和な一日。 @岩手山麓


  たかだか己の1年や2年の安寧ために、
  この理想郷に火を放つ影がある。
  死んだ魚の目をして、笑い声だけは甲高く、
  見渡す限りを灰にして逃げていく。

  さて、僕はね、
  そんな仕打ちには慣れている。
  故郷を追われた日々を風の色に染め上げてね、
  愛しんで眺めるんだよ。
  するとね、復活の日までは瞬く間さ。

  だから、僕はね、
  馬鹿げたカレンダーを
  すべて破り捨てた後のことで
  頭がいっぱいなんだよ。

  僕の居ない此の地の季節から
  誰が消え、何が崩れていくのか。
  風の色に心を染めて、
  彼方から眺めていてやろう。
  遂に沈みゆくものに手を振ってやろう。
  祝福の口笛を吹き鳴らそう。

  こうしている間にも
  すべては、その日へ走り続ける。
  カレンダーから、ほら、また一日が消えた。
  面白いように時は過ぎている。
  闇の時代が高速で流れ去る。
  嗚呼、流星のように遠ざかる。
HONDA Ape100

2009年11月27日(金)
ただ冷え込んでいなかっただけ。時折の陽射しと小雨。冬の到来を猶予しただけの一日。 @盛岡市(高松の池)


  子供はね、
  君が求めるものを傷つけようとするものだ。
  だからさ、
  どうでもよいものに手を伸ばしておくことだ。
  君が見向きもしなければ、守られる。

  大人はね、
  君が計画していることを阻みたがるものだ。
  だからさ、
  どうでもよい設計図など一枚用意することだ。
  君が思案すらしなければ、守られる。

  悪魔はね、
  君が憎むものに力を与えようとするものだ。
  だからさ、
  天使のような微笑みを振りまいておくことだ。
  君が拘りを封殺できれば、守られる。
HONDA ベンリィ50S

2009年11月26日(木)
青空に白いベール。彼方の山は霞み。まずは小春日和。 @岩手山麓


  綴らない者は、
  そりゃあ涼しい顔さ。
  ぼろを出さなくて済むからね。
  気分だけは高潔を気取っていられる。

  語らない者は、
  そりゃあ安全地帯さ。
  態度表明を免れるんだからね。
  気分だけ客観の丘に立っていられる。

  表さない者は、
  そりゃあ賢こそうさ。
  時の流れに頷くだけだからね。
  気分だけ思慮深い佇まいでいられる。


  物陰から風向きを窺うだけでは、
  握りしめている正義や美意識とやらが、
  腐っていても気付かないものだ。
  それが、どれほど滑稽なものか、
  修羅場で確かめてみることだ。
スポーツスター883R

2009年11月25日(水)
うららかだ。各地で最高気温が15度を越えた。風から冬の匂いが消えた。 @宮城県気仙沼市


  飛び出してみれば
  思いのほか青空が広がる。
  (気持次第で光はさす)

  走り続けてみれば、
  地図には無い道が現れる。
  (探し求める限り続く)

  彼方まで見渡せば、
  懐かしい海と山と町がある。
  (歩み寄れば許される)

  道程を振り返れば、
  悪い事ばかりじゃなかった。
  (微笑むなら救われる)



  もう、いいじゃないか。
  さあ、夕闇の向うに待つ明日へ
  手を振ろうじゃないか。
  よろしく頼むと頭を下げようじゃないか。
  それでみんな笑顔になれば、
  今日の旅は無駄じゃなかったんだよ。
ヘリテイジソフテイルクラシック

2009年11月24日(火)
まずは晴天。最高気温11度4分(盛岡)。冬本番は猶予された。それだけの明るさ。 @岩手山麓


  ひたすらに岩を砕く者よ。
  今日一日手を休めるがいい。

  風に吹かれ、雲を眺め、
  大地に移ろう光を追い、
  無心に一日を過ごせ。

  するとどうだ。
  今日という日が
  見事に終わっていくことを知る。
  終わらせるものの力強さを知る。
  正確に公平に顔色ひとつ変えず、
  今日を終わらせ明日を引き寄せるものを知る。

  岩を砕き、山を崩そうとする者よ。
  時の力を思え。
  意志の力を遙かに超えていくものを思え。
  歳月の津波が、
  怒りも悲しみも押し流す様を思え。
  山岳を削り消し去る力を思え。
  闇さえ飲み込む力を思え。
スポーツスター883R

2009年11月23日(月)
昨日の天気予報は派手にはずれた。青空など切れ切れで、時折の冷えた小雨に震えた。 @盛岡市


  なるほど。
  まだまだ、
  いろいろ
  手はある
  わけだね。

  そうさ、あるんだよ。
  安心なんかさせない。

  なるほど。
  これから
  あれこれ
  起きると
  いう訳か。

  そうさ、想像以上さ。
  怯えさせてあげるよ。

  息をひそめている卑怯者を見ると、
  俺は、たちの悪い人間になるんだ。
  逃げ切る寸前の船に注意しておけ。

  北国の裏路地で、そんな言葉を交わし、
  私は、あの秋の私に今日のすべてを渡した。
  やつは、疑い深く受け取ると、
  バーボンの匂いを残して、
  夜明けの夢から立ち去った。
HONDA Ape100

2009年11月22日(日)
10度を越えた地域は稀で、青空に生気無く、陽射しも昨日の雪をとかし切れなかった。 @岩手山麓


  あなた馬鹿ね。
  無関心な人に
  大切なものを
  披露するのは
  誤解されたり
  揶揄されたり
  標的にされて
  良いことなど
  何も無いのよ。

  分かっているさ。
  「それらしいもの」は分っている。

  過去に棲む者には、白黒の眺めを。
  誉れ高い者達には、文化の香りを。
  芸術家気取りには、美しい孤独を。
  書斎に籠る影には、静寂と思索を。
  滑稽な自尊心には、無意味な謎を。
  教養の塗り壁には、陰気な散策を。

  そんなことは、分かっているのさ。
  でもね、一面を見渡してごらんよ。
  雪原には狐か狸の足跡ばかりだよ。
  (だから、たまにはいいんだよ)
  闇を旅する私には、ブリキの夢を。


HONDA ベンリィ50S

2009年11月21日(土)
冬のはじめの湿り雪。市街地でも数センチの積雪。午後には青空。とけた雪が凍って鏡面の夜。 


  春はね、
  到来するのではなくて、
  人が自らの心に準備するものなんだよ。

  花のように夢を咲かせ、
  薫風のように血を巡らせ、
  陽光のように命を温めれば、
  春なんだよ。

  氷雪の日々に
  ゆったり心を広げていられるなら、
  春なんだよ。

  暗い時代の中で、
  悠々と心を走らせていられるなら、
  春なんだよ。

  桜吹雪を浴びながら、心を閉ざし、
  新緑に包まれながら、笑顔を失っていたら、
  それを、冬というんだよ。

2009年11月20日(金)
冷えていた。きりっと。晴れていた。ばりっと。立っていた。轟々と山が。 @岩手山麓


 邪魔されても構わないことは、
 ことさら計画を明らかにする。
 (まずは手口を見極める)

 阻まれても影響のないことは、
 前もって道筋など漏しておく。
 (どう動くかを見定める)

 壊されても痛くはないものは、
 よく目立つ所にさらしておく。
 (その習性など記録する)


 愚かな獣は、
 おもしろいように尻尾を出す。
スポーツスター883R

2009年11月19日(木)
青空の記憶は、ほんのひとかけらで、早々に押寄せた夕闇こそ今日の印象。 @岩手山麓


  それは
  すでに
  誰かが
  語った
  表した
  そんな
  考えで
  物事を
  斬って
  いると
  自分の
  心さえ
  だれの
  ものか
  分らぬ
  ことに
  なるよ。
スポーツスター883R

2009年11月18日(水)
ぐるり山並みが白く染まり、冬に包囲されたことを知る。青空さえ凍り始めていた。 @岩手山麓


  ねえ、私はね、街角で
  その横顔を見かけたのよ。

  いかにも心の襞の無い、
  季節の香りとは無縁の
  プラスチックな鼻筋をね、見たのよ。

  (ああ、これか、と思った)

  プラスだとかマイナスだとか
  方程式だとか元素記号だとか
  そういう目で
  あなたを値踏みしたのね。

  (可哀想に)

  じゃあ、あなたは
  けしてプラスにならない人間で、
  けして割り切れない厄介な者で、
  けして誰とも手を結べない男で、
  無用なものと断定されたわけね。
  それで街を追われるというのね。

  (よくわかる。すごくわかる)
HONDA Ape100

2009年11月17日(火)
冷えた小雨が、冬の皮膜となって街を黒く艶めかせた。夕闇に雪の匂い。 @盛岡市内丸


  ひっそりしていれば、
  そっとしておいてもらえる。
  ただし微笑んでいればね、
  そうしてもらえる。
  (鋼のような沈黙ではいけない)

  ぼんやりしていれば、
  片隅に住まわせてもらえる。
  ただし羊の様であればね、
  そうしてもらえる。
  (群から離れていてはいけない)

  ゆったりしていれば、
  時々背中を押してもらえる。
  ただし愛されていればね、
  そうしてもらえる。
  (自立した様な顔ではいけない)


  ことさらに正しく明るく逞しくなくても、
  そのたたずまい次第で、
  そうしてもらえる。



   ※本文は画像と一切関係ありません
HONDA ベンリィ50S

2009年11月16日(月)
落ち葉は水溜りの中で色褪せ、空には心休まる色は無く、陰鬱な初冬だ。軽い絶望だ。 @盛岡市


  そうさ、世界にはね、
  美しいものが星の数ほどさ。

  でもね。
  何がどう美しいのか
  主張することに興味は無いんだよ。
  敢えて言葉にしなくても、
  美しいものは、
  美しいままだからね。

  安っぽい言葉で汚したり、
  思い違いでねじ曲げたり、
  己の値打の装飾にしたり、
  そんなことなら、
  関わらない方がよほど良い。

  むしろ、
  何故それを美しいと感じるのか、
  自覚しておきたいものだ。
  何かに向き合うということは、
  自分に向き合うことだからね。
  そこに誤解があっても
  まあ、いいじゃないか。
  (所詮ひとりの心の中のことだから)
  粗悪で半端な評論にくらべれば、
  罪は無いからね。

HONDA Ape100

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