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イワテバイクライフ 2010年1月後半


2010年1月31日(日)
ごく細かい水滴に濡れた。時折、白いものに変化した記憶もあるが・・・。 @花巻市(トライアルパーク)


  磨き続けることの価値は、
  その最中にあって、
  自覚しにくいものだ。

  絶えず今を越えようとする限り、
  僅かな進歩など必然に過ぎないから。

  ところが、
  努力を怠り始めた途端、
  それは鮮やかに見えてくる。
  瞬く間に錆び付いて、
  初めて気付く。
  何に支えられていたのか。
  何が必要なものだったのか。
  転落の風景の中に見えてくる。



  
※画像と本文は一切関係ありません。
ライダー:高橋さん(国際A級) マシーン:RTL260F

2010年1月30日(土)
湿った雪が、残雪にかすかな厚みを加えたが、ゆるんだ大気の中で消えていった。 @盛岡市


  歳月の果てに掴み取ったものを
  宝石のように磨き込んだりせず、
  暮しの片隅に放置しておける。

  困難の果てに辿り着いた世界を
  聖地のように守り抜こうとせず、
  移ろう季節の様に眺めていられる。

  いちいち驚嘆して、
  巨大な記念碑を打ち立てたりしない。
  ことさらに歓喜して、
  尽きることなく物語を綴ったりしない。

  それが、凡人の才能だ。
  



  ※画像と本文は一切関係ありません。
HONDA Monkey

2010年1月29日(金)
その空の蒼さときたら化学反応のように劇的で、雪の白さなど完全に脇役。 @岩手山麓


  厳寒の地にあって、
  人間の絆は、非常に単純な「掟」なのだ。
  血縁や友情や相性などというより、
  生きていくためには、
  互いが関わる他に無いという鉄則だ。
  選択の余地もないことに従うのだから、
  そこに多くの言葉は生まれず、
  激しい主張や対立もなく、
  人は、ありのままを飲み込んで、
  絆の輪に暮す。
  その覚悟とでも言うべきものが、
  強靱な寡黙さや、
  呆然とするほどの無欲、
  あるいは、底無しの優しさとなる。

  掟は、村のためにあるのではなく、
  一人一人の救済のためにあるのではないか。
  選択に苦しみ身を焼くことなく、
  静けさにみたされる日々の為に、
  それは必要なのだ。
  氷河期さえ生き抜く覚悟だ。
HONDA Ape100

2010年1月28日(木)
平年を8度近く上回る夜明けの街は、残雪が痩せ細り、妙に乾いていた。午後になって雨に濡れた。 @盛岡市


  正しいと思うことを言いたまえ。
  まっすぐに言いたまえ。
  何も付け加えず、
  何も差し引かず、
  言い切りたまえ。

  それで
  舌打ちをする相手なら、
  堂々と仕打ちを受けてやりたまえ。
  握手を求める相手なら、
  感謝の熱をこめて握り返したまえ。

  清明な生き様は、
  向き合うものの
  正体まで照らす。
HONDA Monkey

2010年1月27日(水)
朝方の晴れ間も、やがて灰色に塗込められ、所により雨。あるいは細かい霰(あられ)。 @岩手山麓


  誰かの心証次第で
  どうにでもなることに
  一喜一憂してはならない。

  人が変われば
  今日の善は明日の悪。
  風が変われば
  今日の誉は明日の恥。
  時が移ろえば
  今日の蜜も明日の毒。

  聡明も暗愚も、
  正義も邪悪も、
  同じ道を駆け抜ける。
  同じ丘を越えていく。
  同じ大空の下にある。

  (ならば、ひたすらに)
  今日生きる場所を踏み締め、
  明日めざす場所を心に定め、
  旅の果ての生死など問わず、
  ただ、息を弾ませて行こう。
HONDA Ape100

2010年1月26日(火)
現れては消える青空。所詮、制空権は厳冬に握られている。大地の雪解けも思ったほど進まない。 @姫神山遠望


  秀麗な山脈は
  荒野から眺めてこそ美しい。

  孤高の横顔は、
  俗世にあってこそ凛々しい。

  修羅の覚悟は、
  絶望を秘めてこそ怖ろしい。

  凡庸な人生は、
  不条理にあってこそ愛しい。
HONDA Ape100

2010年1月25日(月)
雪は、雪としての自覚も無く、まして積る気もなく、身投げする様に落下し、雨になって砕けた。 @盛岡市


  ひとつ自分に嘘をつくと、
  辻褄合わせの嘘を重ねて
  他人事の様な人生になる。

  今日の損得をささやかれ、
  明日の振る舞いを誤るな。

  未来を気遣う罠にはまり、
  積み上げた真実を失うな。

  惨憺たる結末にたじろがず、
  むしろ、胸を張れ。
HONDA Monkey

2010年1月24日(日)
確かに、晴れていた。だが、よくよく見渡せば、厳冬の吐息が山の稜線を凍らせていた。 @岩手山麓


  不本意ながら、
  嘘をつかなくてはならない時はね、
  いやいや語ってはいけない。
  しぶしぶ綴ってはいけない。
  見事なまでに嘘とわかる嘘を
  高らかにうたい上げるんだよ。
  赤面するほど嘘とわかる嘘を
  流麗な文体で仕上げるんだよ。
  嘘をつかなくてはならない不条理を
  鮮やかに描いてみせるんだよ。
  皮肉たっぷりに演じるんだよ。
  これは嘘だと感動されるほどの嘘を
  最後までつき通すんだよ。
HONDA Ape100

2010年1月23日(土)
穏やかな青空が広がった。けれど、陽射しが消えれば、いつもの氷の世界。 @岩手山麓


  此処に佇みたければ、
  薄汚れた嘘があってはならない。

  この風に乗りたければ、
  揺らぎ無い心でなくてはならない。

  この時間の中に在りたければ、
  終わることを知らない
  童でなくてはならない。
HONDA Ape100

2010年1月22日(金)
盛岡は真冬日。印象希薄な晴れ間もあった。車道だけは乾いたが、歩道は凍った雪のまま。 @盛岡市


  ひとたび決断すると、
  世界は、こうも鮮やかなのか。
  すべての輪郭は、剃刀のようだ。
  すこしでも動けば、
  魂は、鋭く切れて血を流す。
  どくどくと、とめどなく、
  放っておけば、やがて終わる。
  だから、なりふり構わず生きる。

  ひとたび覚悟すると、
  日々は、こうもリアルなのか。
  すこしでも迷えば、
  事は崩れ出す。
  手遅れになる。
  水の泡になる。
  だから、
  心底の言葉をひと息に走らせる。
  狙い定めた道を一気に駆け抜ける。

  ぬくぬくと曖昧であるより、
  運命と斬り結び、己を引き受ける。
  (後悔より、むしろ惨憺たる航海を)

HONDA Monkey

2010年1月21日(木)
雨に洗われ、早春を思わせる朝。けれど、そこから気温は下がるばかりで、凍結の夜を迎えた。 @岩手山麓


  誰が待っているのか、
  それはわからないけれど、
  木々が騒ぐ。
  (出会いがある)と。

  何が起きるというのか、
  それは予想できないけれど、
  雪原が熱い。
  (引き返せない)と。

  どんな結末なのか、
  それは風も知らないけれど、
  夕闇が叫ぶ。
  (必然なのだ)と。


  暮れゆく一面を受け入れて、
  さあ、心のままに。
HONDA Ape100

2010年1月20日(水)
暦の上では「大寒」だが、凍ったものが、ひたすらにとけて流れる一日だった。 @盛岡市


  歳月を塗り重ねた壁にとって、
  5年や10年の色なんて、
  色水にもなりはしない。

  せめて、
  この街に寄り添って生きるなら、
  この壁に塗り込められる
  ひと粒の色彩でありたい。
  人生からしたたる
  一滴の絵の具でありたい。
HONDA ベンリィ50S

2010年1月19日(火)
最高気温プラス4度4分(盛岡)。霞がかかった大気の何と眠た気なことか。 @盛岡市


  「このままでは、あなたを支え切れない」
  そんな台詞で揺さ振る者に限って、
  何も肩に乗せちゃいない。

  「このままでは、最悪の事態も有り得る」
  そんな台詞で脅迫する者に限って、
  最善の方策など知らない。

  「このままでは、未来など保証できない」
  そんな台詞で恩を売る者に限って、
  過去の世界に生きている。


  そんな台詞で成り立つ生業が、
  実は、あるのだ。
HONDA ベンリィ50S

2010年1月18日(月)
うっすらとした青空と陽射しのもと、雪景色の中に黒々続く国道だけが、寒気のゆるみを予感させた。 @岩手山麓


  その飛距離は、
  願い事を実現するまでの距離か。

  その弾道は、
  希望を叶えるための妥協の跡か。

  そのタッチは、
  無理を聞いてもらう手練手管か。


  あんたは、そんなことまでして
  青空の下で誰かにすり寄るのか。
  芝生の上で誰かにへつらうのか。
  薫風の中で誰かに懇願するのか。

  (そんな遊戯に人生を託すのか)
HONDAベンリィ50S (2010年1月17日撮影)

2010年1月17日(日)
鉛色の空は、少しづつとけて蒼い空が広がったけれど、夕闇は結局凍った。 @岩手山麓


  過ぎた記憶を辿って
  其処をめざすのでは無い。
  
  実に偶然にも、
  今日の、その時の大気に包まれるだけだ。
  流れてきたものとすれ違うだけだ。
  射し込むものに照らされるだけだ。
  押し寄せるものに飲まれるだけだ。

  其処は今日限りの天地。
  立ち会うのは、今日限りの私。
  言葉もなく、ただ心の絵筆をはしらせ、
  見渡す限りを記憶して、
  振り返れば、夕闇。
HONDA ベンリィ50S

2010年1月16日(土)
轟々たる雪雲の流れに、凍り付いた青空が浮かび上がっては溺れていった。真冬日。 @岩手山麓


  こんな凍て付く朝に何がある。
  そう思ったら、そこまでだ。
  ただ、ぬくぬくと一日は終わる。
  凍結していく血流の痛みも知らず、
  眠る様に終わる。

  こんな吹雪の雪原に何がある。
  そう思ったら、そこまでだ。
  ただ、らくらくと時は過ぎ去る。
  剥き出しの白い牙の叫びも聞かず、
  音も無く終わる。

  こんな陰気臭い空に何がある。
  そう思ったら、そこまでだ。
  ただ、ぶらぶらと日は暮れていく。
  天空を切り裂き現れる青空も見ず、
  白紙のまま逝く。
HONDA ベンリィ50S

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