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イワテバイクライフ 2010年2月前半
できるか、できないか、 それは、さておき、 手段を持つくことは良いことだ。 どうしたいのか、どうありたいのか、 より良いイメージが脹らむからね。 何が描けるか、それはさておき、 良い絵筆を持つことは、 楽しいことだ。 何を奏でられるか、それはさておき、 良い楽器を持つことは、 嬉しいことだ。 大切なことは、 その道具がもたらすイメージに 絶えず触れることだ。 線にして、音にして、 どうしたいのか、どうありたいのか、 ひたすらに求めながら 生きることだよ。 できるか、できないか、 それは、さておき。 |
何を選ぶのか、ということより、 それで何をするのか、だよな。 何をしたくて何を選ぶのか、 そういうことだよな。 (当たり前だなあ) 何をするのか、ということより、 それでどうなりたいか、だよな。 どうなりたくて何をするのか、 そういうことだよな。 (それもあるなあ) でもなあ、 何もしたくないから、 何かに夢中になることもあるしなあ。 何も考えたくないから、 何かを選ぶということもあるしなあ。 何者にもなりたくないから、 走り続けるということもあるしなあ。 (いろいろだなあ) ※本文と画像は一切関係ありません。 |
異国の雪を 語り伝えるのなら、 その功名心を捨ててからにしてくれ。 (雪原が薄汚れるから) 異国の氷を 語り伝えるのなら、 その興奮を冷ましてからにしてくれ。 (氷上に唾が飛ぶから) 異国の冬を 語り伝えるのなら、 その祭気分を脱いでからにしてくれ。 (真実が見えないから) |
人の暮しは 屋根から滑り落ちる雪のようだ。 春の陽射しが現れれば、 いずれ、そうなる。 人の思いは、 真夜中を飲み込む雪崩のようだ。 凍える夢を温めるうちに、 まったく突然動く。 人の世は、 大山脈に横たわる氷河のようだ。 流れ出すのが恐ろしくて、 歳月を凍らせる。 |
筆を選んでいるうちに 季節は変わる。 絵の具を混ぜるうちに 風景も変わる。 構図など決めるうちに 時代も変わる。 光と影を求めるうちに 人間も変わる。 それでもなお 心に従い画布に向かう者は、 記憶の彼方に佇む 自らのトルソーを描く。 |
いつも通りの暮しなんて、いつか終わる。 いつも通りの仕事なんて、いつか潰れる。 いつも通りの算段なんて、いつか崩れる。 いつも通りの熱中なんて、いつか冷める。 (それでいい) 今日の顛末は、 所詮ひとつの「思い出」だから。 何事も変わり果てるという話だから。 いつか懐かしい記憶になっていくから。 今日の修羅場など「笑い話」だから。 終わっていくものを追うな。 潰れていくものを惜しむな。 崩れていくものを支えるな。 冷めていくものを責めるな。 すべてが過ぎ去った静けさにこそ向き合え。 |
どんなに美しいもので飾ろうと、 どんなに名誉をかき集めようと、 どんなに華やかな宴を開こうと、 埋めようの無い心を みたすことはできない。 花を、玩具を、恋を 自らに惜しみなく与える者よ。 嘔吐しながら、 なお満たそうとする者よ。 修復できるのは、 失った心そのものなのだ。 例え粉々に砕けていても、 最後のひと欠片まで拾い集め、 あるべき姿におさめる忍耐こそが、 お前を救うのだ。 その果てしない道程こそが、 生きるということではないのか。 |
デリケートな問題を 即座に解決するのなら、 無神経な者を差し向けることだ。 赤面の力業で とにもかくにも片づける。 既に手遅れの事を そっと放置するのなら、 真面目な者達に任せることだ。 赤面の奉仕で、 終わる日まで守り抜く。 見渡す大地一面を 支配するというのなら、 ロマンチストを走らせることだ。 赤面の熱情で、 大山脈さえ越えていく。 |
めざす場所が無ければ、 道筋など描けない。 大きな困難が無ければ、 挑戦には至らない。 進歩の自覚が無ければ、 技など錬磨しない。 燃えるものが無ければ、 夢なんか追えない。 遊技と見るか、競技と見るか、人生と見るか。 それだけのことだ。 |
ほどほどのところで まとめようなんて思っちゃいけない。 ぎりぎりのところで 譲り合おうなんて考えちゃいけない。 そんな了見で片付けたって、 三日も経てば、同じ騒ぎだ。 冬ひとつ越えられやしない。 肝心なものを捨て合った決着は、 もの事をこじらせるだけなのさ。 |
大球場のネット裏に居た。 私は、Tシャツに短パン姿だった。 ただ、ボールの行方を眺めるだけだから、 それで充分だった。 上陸用舟艇に乗っていた。 私は、ねじり鉢巻に半纏姿だった。 ただ、作戦の結末を見届けるだけだから、 それで充分だった。 法廷のまっただ中に居た。 私は、朗々と歌を歌うだけだった。 ただ、猿芝居の判決を受けるだけだから、 それで充分だった。 (そんな夢を見た) カラの鞄を持って家を出た。 それで充分な気がした。 |
明るく素直にマニュアル通り。 手堅く迷わずマニュアル通り。 仲良く一緒にマニュアル通り。 それでも起きる大間違い。 それでも繰り返す大失態。 戸惑うだけのマニュアル通り。 責任取らないマニュアル通り。 原因わからぬマニュアル通り。 そもそも、それは、 何も知らない者のためにある。 一番未熟な者のためにある。 そんなものを御大層に守り抜いて、 胸を張っているうちに、 想定外なことになる。 それ以外の道を探したことはないのか? そんな行為は マニュアルに載っていないと言うのか? |
わたくしは、日々こうして過ごすことで、 わたくしとは別の 誰かになってしまった気がする。 わたしが作り上げた 気紛れなイメージに従って 生きているような気がして来る。 こんな遊びに出会わなければ、 ひっそりと、けれど確かな温もりを抱いて、 暮らしていたのかもしれない。 凍結の原野に息を弾ませたり、 厳寒の夕闇に宝探しをしたり、 そんな狂気の沙汰とは無縁の わたくしだったはずだ。 けれど、イメージは、 季節の中で命を得て、 わたくしを生かし走らせる。 嗚呼、もはや、 本当のわたくしなどというものこそが幻想で、 この無益で心安らぐ行為こそが、リアルなのだ。 実態を越えていくイメージこそが、現実なのだ。 |
どんなにつまらないものでも、 手放したり、決別したものを、 一度は惜しみ、 時に後悔するものだ。 今日という日をもたらした 過去の決断は、 そのように 日々の風の中で曖昧になる。 気付けば、 いつか通った道に 迷い込んでいたりする。 |
電柱に小便をかけて 自分の縄張りを誇示するのは、 犬だけではない。 役に立つとみれば、かける。 味方になりそうなら、かける。 自慢したくなって、かける。 道だろうと 人だろうと 村だろうと 風景だろうと、 これでもかと自分の臭気を どくどくと注ぎかける。 ただれさせるまで、かける。 それが風に匂うから、 (実にあざとい匂いだから) 俺は今日の居場所を定めない。 |