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イワテバイクライフ 2010年3月前半


2010年3月15日(月)
いつまでも、けだるい曇り空だったが、風に棘は無く、まあ、春寄りの一日だった。 @滝沢村(トライアルパーク)


  此処で心底笑顔になるために
  どうでもよい選択を済ませる。
  (すぱっと割り切る)

  此処で流す爽快な汗のために、
  どうでもよい計画を消化する。
  (きちんと足していく)

  此処で確かめる自分のために、
  どうでもよい勲章を捨て去る。
  (さっさと差し引く)

  私の時間や距離や高低は、
  此処を起点に算出される。
  だから、時に、とんでもない答えが出る。
ライダー:菅原さん マシーン:RTL260F

2010年3月14日(日)
春へ。季節の歩幅が伸びる。夕刻、やや強い地震(盛岡で震度4)。震源は福島県沖。 @岩手山麓


  流れていく。私が流れていく。
  確かに、その姿は私で、
  濁流の中に浮いては沈んでいる。
  (けれど、何故だ)
  私は、此処に居て、
  流れていく私を眺めている。
  では、流れていくのは誰だ?
  あるいは、此処で傍観するのは誰だ?
  私は、私を見捨てたのか。
  私は、私から離れたのか。
  此処で、ぼんやり歳月の河を眺めることで、
  事の成り行きとやらを、
  他人事にしようというのか。
  そのように正気を保とうというのか。
  束の間、何者でもない私を彼方に流し、
  何者でもない私を此処に佇ませようというのか。
HONDA Ape100

2010年3月13日(土)
イワテ全体10度前後まで気温が上がったが、やや強い風で春の気配は減殺。 @盛岡市


  実は、僕はね、
  かつて、この地の風景を撮っていた。
  やがて、この地を離れ、
  けれど、この地を思い、
  来る日も来る日も、
  この地のアルバムを眺めていた。
  たかだか数百枚の写真だったが
  それが、ある朝、僕を突き動かした。
  (生きるべき場所は、この風景と人々の中だ)
  僕は、衝動的にこの地に還り、
  此処を終の棲家にした。

  この天地と人々の記憶は、
  それほどの力を持っている。

  さて、あの日以来、
  すでに何十万枚という記憶を
  積み重ねてしまった僕は、おそろしい。
  アルバムを見つめるうちに、

  今度は何をしでかすのか、おそろしい。
HONDA Monkey

2010年3月12日(金)
霞のかかった青空は、舞い戻ってきた春なのか。やたらに雪がとけた。 @岩手山麓


  できるかもしれない。
  それも、上手にできるかもしれない。
  なれるかもしれない。
  それも、一気になれるかもしれない。
  (人には、そんなことがある)
  でもね、思いがなければ、
  手を出しちゃいけないんだよ。
  それが礼儀だよ。


  できないかもしれない。
  それも、絶対できないかもしれない。
  なれないかもしれない。
  それも、一生なれないかもしれない。
  (誰にも、そんなことがある)
  でもね、思いがある限り、
  挑まなくちゃいけないんだよ。
  それが覚悟だよ。
HONDA Ape100

2010年3月11日(木)
沿岸では降雪で鉄道の運行に乱れ。内陸では、順調に天気回復。雪もとけている。 @盛岡市


  明後日のために
  明日を犠牲にする者よ。
  せめて今日一日、
  昨日を思い、弔え。

  夢を見るために
  真実を黙殺する者よ。
  せめて今日一日、
  大地一面に、謝れ。

  幻を追いかけて
  心を踏みにじる者よ。
  せめて今日一日、
  道に佇んで、泣け。


  お前が求めたものの虚しさを思い知るまで、
  そこで、そうしていろ。
  夕闇にのまれるまで、そうしていろ。
HONDA ベンリィ50S

2010年3月10日(水)
朝方は沿岸地域などに大雪警報。一部のローカル線が運休。盛岡では、まあ、ごく一般的な雪化粧。 @岩手山麓


  境界線なんて
  今日の風ひとつで
  変わる。

  友と敵の間に立てば分る。
  どちらが正しいのか、なんて、
  ついに答えられないのさ。

  春と冬の間に立てば分る。
  どちらが美しいのか、なんて、
  じつに愚かな問いなのさ。

  光と影の間に立てば分る。
  どちらが真実なのか、なんて、
  空をつかむようなものさ。


  どちらか一方に安住していると、
  自分を見失う。
  世界を見誤る。
HONDA ベンリイ50S

2010年3月9日(火)
久し振りに刺すような寒気だった。夕刻からの小雪は、やがて思いのほかに積っていった。 @岩手山麓


  そうかい。
  頂に立った気分なのかい。
  だったら、さっさと辞めたらどうだい。
  あとは転落するだけだから。


  そうかい。
  行き先が見えないのかい。
  だったら、暫らく道草したらどうだい。
  道は逃げてはいかないから。


  そうかい。
  苦しくて仕方ないのかい。
  だったら、ひたすら続けたらどうだい。
  君が生きている証拠だから。
スポーツスター883R

2010年3月8日(月)
内陸は晴れ。沿岸は曇っていた。そこそこの光と氷点下の気温表示。その落差に気力が萎える。 @釜石市


  足並みを揃えているんじゃない。
  みんなが、何かに引きずられているだけだ。

  力を合わせているんじゃない。
  みんなが、何かにしがみついているだけだ。

  目的地を定めているんじゃない。
  みんなが、何かに乗り運ばれていくだけだ。


  何事も起きない日々を求める何かが、
  波ひとつ無い鉛の海原へ
  今日も船出していく。



  ※本文と画像は、一切関係ありません。 
ヘリテイジ ソフテイル クラシック

2010年3月7日(日)
最高気温が5度前後では、3月の実感は希薄。実は、これこそ北国の早春。 @岩手山麓


  おしなべて
  築き上げられたものの
  最大の使命は
  一度崩れ去ることだ。

  それで世界は更新されるのだから。

  とりわけ、
  人の悲しみや怒りの上に
  築き上げられたものは、
  そうなのだ。
  時の風を受けて崩れ去ることだ。
HONDA Ape100

2010年3月6日(土)
雲は、油絵の具のように重ねられ、ついに光を許さず、街は濃厚な冬空に潰された。 @盛岡市


  言葉を失うことに
  あえて言葉で向かっていくことなど
  もう止めにしようと、
  俺は、この地に来たのではなかったのか。

  筋の通らぬことに
  とことん抗い火達磨になることなど
  もう止めにしようと、
  俺は、此処を選んだのではなかったのか。

  滅んでいくものに
  未来を託し右往左往することなど
  もう止めにしようと、
  俺は、今日へ走ったのではなかったのか。


  だから、よいのだ。
  この気も狂わんばかりの静寂は、
  実に正しいのだ。
HONDA Monkey

2010年3月5日(金)
とけるために雪は降った。一面を濡らすために雪は舞い降りた。最高気温10度6分(盛岡) @岩手山麓


  いずれ消えるものを
  急かす心が
  時を長くする。

  やがて訪れるものを
  急かす心が
  時を黒く焦す。

  ついに立ち止る者を
  急かす心が
  疾病をまねく。

  いつか帰り来る者を
  急かす心が
  狂気をまねく。


  雪解けさえ、待ってはいられない。
  春到来さえ、待ってはいられない。
  終着駅さえ、待ってはいられない。
  その日さえ、待ってはいられない。
  すべてを待ちきれない炎が
  ほら路傍に揺れている。
  
HONDA ベンリィ50S

2010年3月4日(木)
そこそこ薄日もさしたが、どこか薄ら寒い。夕闇の気温表示「4度」にも感動しなくなった。 @岩手山麓


  理想は実現できると信じ、
  荒っぽい手段も許されて、
  心意気ひとつで頑張れた。
  誰もが夢を追い冒険した。

  そんな時代を知る者達よ。
  記憶を語ってはならない。
  あの日々を言葉にすれば、
  誇大妄想と揶揄され、
  野蛮人だと指さされ、
  規則違反と非難され、
  狂気の沙汰と嗤われ、
  傍若無人と罵られる。

  良い時代を呼吸した者は、
  じっとしているだけでも、
  どこか不敵な面構えだ。
  どこか不埒な目つきだ。
  そんな気配を押し隠し、
  去勢された時代に紛れようとするから、
  退屈で退屈で大欠伸が出るのさ。
  馬鹿馬鹿しくて笑う他ないのさ。
スポーツスター883R

2010年3月3日(水)
昨日の春雪に白く染まった山野は、晴天のもと陽射しを反射して猛烈な紫外線を放った。 @姫神山遠望


  イメージせよ。
  誰かがもたらす明日を
  破壊して越えていく明後日を。

  イメージせよ。
  割り振られて来る明日を
  土台から打ち崩す
  どんでん返しの明後日を。

  思い描け、その意外な結末を。
  思い定めよ、その決行の日を。

  それだけで、ほら、今日が動き出す。
  まるで時限爆弾の秒針みたいに回り出す。
  いきいきと、容赦なく、
  何より確信にみちて、
  今日が動き出す。
HONDA Ape100

2010年3月2日(火)
岩手全体、うっすら雪化粧。冷えた鼠色の空が、妙に雪の白さに馴染んだ。 @岩手山麓


  鼠が一匹、
  意気揚々と神様に報告した。
  「この度の難局を
  わたしは一人で戦い、乗り切りました。
  虎の牙も借りず、
  像の思慮や猿の知恵も借りず、
  わたし一人で戦い抜きました。」

  すると王様は尋ねた。
  「何故、お前ひとりで戦ったのだ?」

  鼠は怪訝な顔でこたえた。
  「わたしだけで十分だからです」

  神様は深く落胆して呟いた。
  「そうか、お前は、
  すべてのものの力を活かさず、無駄にして、
  お前一匹のみすぼらしい成果に
  胸を張っているのか。
  お前一匹の野心のために、
  みすみす最善の成果を逃したのか」
HONDA ベンリィ50S

2010年3月1日(月)
確かに2月の終盤は春への「勇み足」だった。帳尻を合わせるように夕闇は雪に染って、凍った。 @小岩井農場


  警報は、
  わずかでも可能性があれば、
  大きな危機に備えるために
  躊躇無く出されるものだ。
  万が一の為に、
  最善の構えをとることを
  求めるものだ。

  では、何故だ。
  この地上に
  この時代に
  この人心に
  何故、サイレンは鳴らないのだ。


  (すでに大きな波にのまれた後なのか)
HONDA Monkey

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