TOP
イワテバイクライフ 2010年5月後半
2010年5月31日(月)
梅雨明けかと錯覚した。澄み切った大気、乾いて優しい走行風。 @岩手県北部
制限するものの無い道で 速度計の針を振り切るのは容易い。 二重三重の縛りが掛けられた道で、 思いのままに走ることこそ 腕が問われる。 「突出注意」 「独走禁止」 「安全運転」 「報告励行」 「連帯責任」 「絶対服従」 「事なかれ」 「階級優先」 そんな標識が連続する道を 高笑いしながら駆け抜ける風こそ、快速だ。 |
ヘリテイジ ソフテイル クラシック
2010年5月30日(日)
梅雨の様な空気は、初夏の青空と陽射しに払われた。乾いた風だった。 @室根山(一関市)
たぶん、 わたしが、 どう振る舞おうと、 未来は、 決まっていると思うのだ。 どんな道を選ぼうと、 行き着く先は、 もう、とうの昔に定まっているのだ。 どう闘おうと、 落ち着き先は、変わらないのだ。 わたしのすべては、 わたしの知らない 大きな手に委ねられているのだから、 あれこれ迷わないことだ。 わたしの成り行きに 一喜一憂するのは どうでもよい他人だから、 笑ってサイコロを転がせばいい。 (ほらね、と誰かがささやくはずだ) |
2010年5月29日(土)
曇天。最高気温15度8分(盛岡)。沿岸部では3月下旬並みの地域も。岩手全体に低温注意報。異常。 @盛岡市
援軍は、 窮地に立たされた者にのみ訪れる。 自らの力で苦境をしのぐ者は、 そのままにされる。 強き者よ、 だから、お前は、 どこまでも孤独なのだ。 誰にも見守られず、 ただ一人、 昨日より今日、 今日より明日と、 強くなっていく。 その強さで灰になるまで戦い続ける。 鉄壁の鎧をまとった鬱になる。 |
2010年5月28日(金)
最高気温も10度そこそこ。4月上旬並み(盛岡)。陰気な小雨に濡れる気分は、もはや梅雨。 @盛岡市
人は 名誉に走るものだ。 繁栄を望むものだ。 勝者に靡くものだ。 権威に弱いものだ。 無事を祈るものだ。 あんたが、そう信じている限り、 あんたの思うようにはならないぜ。 この世にはね、 破滅したくて、 うずうずしている人間や、 自爆する時を じっと待っている人間が、 いくらでもいることを知るべきだ。 奇麗ごとの階段をのぼって来た眼には、 狂気の沙汰かもしれないが、 この地上には、 あんたの言動を合図に 雪崩を打つ絶望があるってことを 覚えておくことだ。 |
2010年5月27日(木)
夕べの雨も乾き切らず、冷えた曇天。最高気温が10度8分(盛岡)。低温注意報。夕刻の雨。 @雫石町
牛耳る者の好みは、 所謂「等身大」というやつだ。 権威という柵の中に 安心して置いておける羊は、 大概「等身大」だ。 ありのままであること。 素っ裸で武装などしないこと。 でしゃばらず 個人の範囲におさまること。 想像力を働かせ、 哲学というレンズを通じて 世界とつながり、 大きなことを語り出さないこと。 真実に向かって背伸びしないこと。 生意気を言い出さないこと。 身のほどをわきまえること。 そのように、 素直で、慎ましく、微笑ましい者こそ 柵の中に管理しやすいものだ。 だから、もし、 柵の中で可愛がられ、認められたければ、 等身大の自分とやらを演じ切ることだ。 とりわけ牛耳る者の心象次第の牧場では、 そうすることだ。 (今日も等身大に収まり切れない影が彷徨う) |
2010年5月26日(水)
昼前には小雨も止んだが、最高気温10度9分(盛岡)は、北国の早春並み。 @岩手山麓
妻よ、 俺は、もう、ふた昔も前から 晩年とやらを生きているのだが、 不思議だ。 年毎に季節が鮮やかになる。 (ありのままに見る人になったのよ) 年毎に道が軽やかに流れる。 (行き先に迷わない人になったのよ) 年毎に嬉しい涙が溢れ出す。 (明日を信じられる人になったのよ) |
2010年5月25日(火)
予報を上回る晴天。やわらかい陽射しと青空だった。吹く風も乾いていた。 @岩手山麓
今日の結末は、 今日限りのことではない。 明日に響き、 明後日を決めることもある。 だからね、 過ぎ去った日々の顛末こそ 大切にするんだよ。 まずは、昨日を振り返ることだ。 そこに未来が隠れていたりする。 |
2010年5月24日(月)
西日本から豪雨災害のニュース。岩手でも雨音が強まっている。陰気で不穏な夜。 @岩手山麓
心を走らせる風がある。 私を救った すべての善意に対する感謝。 (今日の五月雨を贈りたい) 私を斬った すべての悪意に対する挑発。 (今日の猛毒をしのばせる) この身で受け止め、 この身に染み入る風こそ、命。 |
2010年5月23日(日)
内陸は20度前後。沿岸はせいぜい12度。大気の断層に雨の匂いが近づいて来る。 @岩手山麓
待てよ、と思う。 暗黒の時代は、 すでに相当な時を費やした。 その終焉は、まさに時間の問題だ。 砂時計の砂は、 天使のものであれ、悪魔のものであれ、 同じ速度で流れ落ちている。 (そうなのだ) 今日という時を 笑って流した者こそが、 正気でいられるのだ。 やがて目論み通りだ。 ならば争うな。 流れ去るものの邪魔をするな。 微笑んで、したたかに待て。 |
2010年5月22日(土)
内陸の各地で28度前後。ほぼ真夏の気分。珍しく透明度が保たれた晴天。 @岩手山麓
確かなことが、ひとつあるんだよ。 この眺めはね、 「私より先に消えることはない」 ということさ。 もう、そう思っただけでね、 笑顔になる。 心底の安らぎさ。 勇気さえわいて来るよ。 ある日、私が何処へ旅立っても、 此処に佇んだ魂は、 天地一面に宿って 生きていくと思えば、 どんな風も受け止められるのさ。 |
2010年5月21日(金)
梅雨の晴れ間みたいな、安心感の無い青空だった。日中はほぼ夏日だったが、夕闇の風はひんやり。 @十和田湖(秋田県側)
天空に轟音。 雲の群に砲弾炸裂。 ついに空の一角が開く。 光はその一点に押し寄せ、降下を始めた。 すると湖水は波打ち、 隆起し、あるいは襞を深め、 岸辺を騒がせる。 嗚呼、天地の攻防に較べたら、 わたくしの出来事など、 一陣の風のようだ。 かすかに血が匂うだけで、 記憶の欠片が散っていく。 もしや、わたくしは、 わたくしの歳月を散骨するために 此処に立ち止ったのだろうか。 |
2010年5月20日(木)
小雨にけむる街。雨は夕刻には止んだが、生乾きのまま夜。まずは「梅雨」の一種。 @盛岡市
始める準備は、誰もが熱心だ。 終わる準備は、どうなのだ? 今日を生きることは、 明日を始める準備なのだが、 始めるフリをしながら 終わる算段で頭が一杯というのも、 しんどい話だな。 |
2010年5月19日(水)
最高気温23度4分(盛岡)。街には夏の兆し。山には冬の亡霊。時折の薄日。夕刻の水滴。 @葛巻町
一個の握飯を差し出す者が、 悪人だろうと 善人だろうと、 構わない。 毒入りでなければ、いいのさ。 この春をもたらしたものが、 天使だろうと、 悪魔だろうと、 構わない。 花が幻でなければ、いいのさ。 何はともあれ、 深く感謝して受け取ることだ。 不可解な証文や 見え透いた交換条件さえ無ければ、 喜んで受け取ればいいじゃないか。 |
2010年5月18日(火)
太陽熱と風のブレンドは、夏日と真夏日の中間。何より照り返しの印象。 @岩泉町
この大地の心臓に届くほど 深く打ち込まれた杭は、 移ろうものや 流れるものに 逆らうように立ち続ける。 移ろうものの都合。 流れるものの理屈。 あれこれの風を受け止め、 口笛を吹く。 すべては、束の間の出来事。 やがては、塵となる思い出。 ついには、縁の無いもの達。 彼方に流れ去る日を思い浮かべ、 杭は折々の風をやり過ごす。 ひとり空を仰ぐ日を夢見て、 じっと立つ。 (で、今日の風当たりは、どうだい?) |
2010年5月17日(月)
北東北にも所々夏日の香り。太陽の熱をぐっと近くに感じた。これからの一ヶ月こそ至福。 @秋田県(田沢湖)
いいかい。 自分に都合の良いように 思い込んではいけないよ。 君が喜ぶ話を持って来た者を 天使だと決めつけちゃいけないよ。 たまたま誰かの利害に 君が関わっていただけなのかもしれない。 君を生かしておくことで、 誰かが得するだけの話だったのかもしれない。 (もちろん、その逆もあるんだよ) うれしい時ほど、離れてごらん。 つらい時ほど、近づいてごらん。 君の思いとは無縁なものが、 いかに複雑に君に絡んでいることか。 俯瞰するがいい。冷静に。 凝視するがいい。克明に。 |
2010年5月16日(日)
気象の数値はさておき、透明な大気や温厚な太陽熱、さらり乾いた風は、季節の美酒。 @矢巾町
出来ることだけやっているとね、 出来ないことは、 この世に無いことになっちゃうよ。 自分の力を知りたければ、 初めて見る関門に挑んでごらん。 どこをどうすれば、 扉が開くのか、 道が現れるのか、 壁を破れるのか、 攻めてごらん。 はね返されてごらん。 辛辣に叩き付けられてごらん。 するとね、見えて来るんだよ。 自分に足りないものが、鮮やかにね。 それを受け止めた時、体にみなぎるんだよ。 思いもよらない流れや角度や勢いが。 それを現実にしようと夢中になれる者が、 進歩するんだな。きっと。 ※本文と画像は一切関係ありません。 |