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イワテバイクライフ 2010年6月前半
2010年6月15日(火)
概ね曇っていたが、時折、濃厚な夏の青空が現れ、つられて雲も躍動していた。 @岩泉町
ねえ、あなた、 汚れたライオンが支配する草原を追放されて、 良かったわね。 あのまま いかがわしい群の中にいたら、 今頃、心を病んで 地平線を見ようともしない人になっていたのよ。 黒い砂嵐に飲まれ、 共犯の鎖に繋がれ、 虚飾の舞台に立ち、 勇ましく語っていたのよ。 誰が誰に勝ったとか負けたとか、 誰が名誉を掴んだとか、転落したとか、 声を枯らして叫んでいたのよ。 草原にしか通用しない言葉で 誇らしげに歌っていたのよ。 ねえ、あなたは、今日も一人だけれど、 清々しい緑に染まって、 まっすぐ走っていられるのだから、 これで良かったのよ、今となっては、本当に。 (なるほど、あの草原が火の海だ) |
2010年6月14日(月)
どこか暗く湿って胡散臭い曇天。曖昧な陽射し。案の定、夕刻の小雨。 @青森県
周囲の声に怯え、 弱者をどつく者。 自分の心に従い、 時代をどつく者。 (リーダーは、そのどちらかだ) 丘の向うに何が待っているのか、 不安で越えられない者。 水平線の彼方がどうあるべきか、 思い描いて漕ぎ出す者。 (岐路に立つ者は、そのどちらかだ) |
2010年6月13日(日)
二戸市で真夏日になった。内陸では軒並み28度前後。何より蒸し暑かった。 @花巻市(山屋トライアルパーク)
肉体的にも精神的にも 辛くなって来ると、 早く終わらせたくなるものだ。 結果や成果のことなど忘れ、 解放されたくて、 先を急ぐようになる。 当然、試技は崩れ、道筋は乱れる。 その誘惑に打ち勝って、 最後まで現実に向き合うことこそ、 本当の強さなのだ。 残された時間をギリギリまで使い、 自らを労り、心身を整え、 乗り切るイメージを描き、難関に挑む。 苦しさの中で、 自分を管理する意志を失ってはならない。 最善を尽くすのなら、急ぐな。 いたずらに動くな。 大地に寝転び、目を閉じ、 深く呼吸する時を持て。 そのような休養の創造こそが、 ここ一番の力になる。 |
2010年6月12日(土)
花巻で真夏日。内陸各地で真夏日寸前。岩手の純粋な夏は6月にあり。 @岩手山麓
旅先の事故か病気か何かで、 私は、異国の村に足止めされた。 やがて、塒を定め、仕事も覚えた。 言葉は、かたことのままだったが、 人々に受け入れられた。 そんな私に 二人の娘が思いを寄せるようになった。 (老残の私は戸惑うばかりだ) 双方の家族は勝手に話を進めていく。 両家の人々と娘達に うまく気持ちを伝えられない。 月日は経ち、婚礼の日がやって来た。 ふたつの祝宴が始まろうとしていたが、 私の姿は無い。二人の花嫁が残された。 双方の親族は、互いに疑い始めた。 さては花婿を隠したのか、と。 口論は殴り合いになり、殺し合いになった。 血の海の中で誰かが叫んだ。 「禍の元は、あの旅の男だ」 そんな夢を見た。 |
2010年6月11日(金)
真夏の皮膜は、空の蒼さを曖昧にして、どこかけだるく暮れていった。 @青森県(奥入瀬渓流)
見知らぬ町で 一軒の古い民家が 取り壊されようとしていた。 私は、誘われるように 土間にたたずんだ。 そこに 家の主らしき老女が現れた。 「不思議です。 私は、ここに一度来た気がします」 老女は微笑んだ。 「そうですとも。 赤ん坊のあなたを、 その囲炉裏端であやしたのは私です」 その理由を尋ねようとした時、 重機がうなりを上げ、 屋根がどっと崩れ落ちた。 そんな夢を見た。 |
2010年6月10日(木)
岩手全体、大気不安定。雷注意報。盛岡など所により大雨・洪水の注意報。今年初めての蒸暑さ。 @岩手山麓
○○が怒っています。 ○○が問題視しています。 ○○が「まかりならん」と言っています。 そのように、 人は、第三者を主語にして、 自分の都合を主張する。 |
2010年6月9日(水)
最高気温27度2分。日向の道は、ほぼ真夏日。ひとたび緑陰に入れば冷涼な楽園。 @盛岡市近郊
あなたの前に、 ある日、許し難い人間が現れたら、 こう考えてみることだ。 その人間が、何をしでかすのか、 あなたが、どう反応するのか、 両者の間に何が起きて、 どう転がっていくのか、 じっと見ている者がいて、 期待する展開を待っているはずだ、と。 自らの手を汚さず、 あなたを傷付け、切り捨てる口実をつくるために、 許し難い者を登場させたと思えば、 おのずと行動はひとつだ。 素知らぬ顔で、昨日の続きをすることだ。 いつも通り、走って、笑うことだ。 そういうたたずまいこそが、 卑劣な連中には、 最も面白くないことなのだ。 手出しできないのだ。 あなたは、自重するするほどに 強固な城になる。 結果、あなたの目論見通りだ。 |
2010年6月8日(火)
眩暈を誘う照り返し。ただ、風は乾いて軽く、緑陰の心地よさは格別だった。 @盛岡市近郊
愚かな壁に 体当たりするな。 突き破ったところで、 何も開けないから。 汚れた川に 裸で飛び込むな。 泳ぎ切ったところで、 臭せえだけだから。 挑発の風に 面と向き合うな。 押し返したところで、 何も残らないから。 お前が 滑稽な闘いに明け暮れている間に、 絶望の壁は聳えていく。 許せない川が溢れ返る。 時代の風は嵐へ移ろう。 (鳥となって見渡すがいい) |
2010年6月7日(月)
最高気温29度8分(盛岡)。でかい空冷エンジンの沸騰は、もはや猛暑日以上だ。 @北上高地
幾重にも波打つ丘を越えていくと、 老いた私が立っていた。 白髪は抜け落ち、裸足ではあったが、 しっかりと若草を踏みしめていた。 私の目を覗き込んで私は言った。 「今日までのことを お前は、何か大きな力のおかげだと 信じているようだが、それは違う。 お前は、お前の直観と勇気と決断で 答えを出してきたのだ。 また、お前が直面してきた困難など、 困難ではないのだ。 ひと握りの忍耐があれば、 いずれ、とけていく冬のようなものだ。 実にのどかな道だ。 しかし、その道の行方に 大きな力が働くとすれば、 それは、ただひとつ。お前の思いだ。 自らの魂を天地に向けて 日々示し続けることだ。ひたむきに。 さすれば、それは起きる」 |
2010年6月6日(日)
十和田湖までの道程は、ほぼ夏日。大気の透明度で、かろうじて6月の見晴らし。 @岩手県北部
獣を仕留めるのなら、 一発で終わらせることだ。 し損じると、厄介だ。 その後の銃口は、 なめられ切って、 イタチごっこだ。 人を叩き斬るのなら、 ひと太刀で決めることだ。 し損じると、危険だ。 その後の殺生は、 太刀筋を読まれ、 泥仕合だ。 ずどんと、 すぱっと、 結論を出せない者は、 不名誉な教訓にされるだけだ。 |
2010年6月5日(土)
寒気流入。積乱雲発生。午後には、局地的なスコール、あられ、ひょう。 @岩手山麓
のこった、のこった、はっけよい。 一枚上手の上手投げ。 二枚上手の力技。 三枚上手の土俵際。 投げを喰らったお相撲さんは、 宙に飛んで、裏返し。 土俵に落ちて、勝負あり。 べったり背中に砂を付け、 何が起きたか分らぬ風情。 引き上げる花道、照れ笑い。 やがて支度部屋で腹が立ち、 付け人いじめて憂さ晴らし。 だから低迷、番付表。 一枚上手に笑われて、 二枚上手に馬鹿にされ、 三枚上手にあしらわれ、 今日も始まる八つ当たり。 上手を取れない理由も知らず、 明日も転落、土俵下。 (道化も土俵のにぎわい) |
2010年6月4日(金)
穏やかな陽射しの盛岡を発ち秋田に入れば陰鬱な空。ついに男鹿半島でスコール。 @田沢湖(秋田県)
君は、 薫風に舞うカーテンのかげで呟く。 あなたの退屈って、 すさまじいものね。 そして、 あなたの多忙って、 おそろしいほどね。 僕は、 冷えた床に寝転んでこたえる。 そうさ、 どちらが欠けてもならない。 一方が曖昧になるだけで、 この日々は崩れる。 僕の風はね、 楽園と地獄の挟間にこそ吹き渡るのさ。 |
2010年6月3日(木)
真夏を思わせる青空と積乱雲。気分まで高気圧県内。夕暮れの風は絶品。 @八幡平市(アスピーテライン)
あの秋の光線は、 あまりに鋭利で、 僕を焼き尽くし、 全て終わらせた。 ふと気が付くと 僕に似た人間が、 僕を演じ出して、 僕を生き始めた。 以来15年だよ。 僕とは違う僕は、 この地を愛して、 僕を落着かせた。 あの秋の僕は、今、何処にいるのか。 それはね、澄み切った空の爆心地に 黒々と影になって染み付いているよ。 日々の風音は、その影の鎮魂の口笛さ。 |
2010年6月2日(水)
この季節の最高気温25度8分(盛岡)は、夏日というより初夏日、もしくは爽快日と呼ぶべきだろう。 @岩手山麓
劣等感をバネに のしあがるのは、 青年期までだな。 老年に至るまで そうしていると、 遊びも文化も無い人間で終わる。 名誉という餌に踊らされ、 我を忘れて醜くなるだけ。 なまじ高い所で意地を張るから、 一層、哀れだ。 すべてを台無しにしてから隠居しても、 誰も相手にしない。 |
2010年6月1日(火)
空の蒼さときたら、宇宙が透けて見えるほどで、純粋な太陽光線は大地を焼いた。 @北上高地
理由に理由が絡み合い、 思いと思いが結び合い、 歳月に歳月を重ねたものに 手を下すのなら、 大義と覚悟があるか。 「何故、かくも長く守り続けられたのか」と 心を向ける者と 「何故、かくも長く破壊しなかったのか」と 舌打ちする者の その差は大きい。 |