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イワテバイクライフ 2010年8月前半


2010年8月15日(日)
概ね岩手全体湿った曇り空。強弱織り交ぜ降雨断続。不快指数の高い一日。 @一関市(室根山)


  昨日からの雨を吸って
  黒土の山肌は、
  ぬめり、すべり、うねり、
  ブーツの一歩、車輪の半回転を
  進めることさえままならなかった。
  けれど、それをわかっていながら、
  人は、山の懐に飛び込む。
  掴んでも掴み切れない夢の手応え。
  確かめようにも確かめ切れない道の行方。
  そして、かすかな奇跡への思い。
  泥にまみれた数センチに
  それらすべてが詰まっているから、
  人は、惨憺たる結末を心静かに受け止め、
  山を下りられる。
トライアル大会「2010盆トラ」練習風景


2010年8月11日(水)
台風4号は日本海から迫っている。陽射し無く、けれど蒸し暑く、夕刻の小雨も熱気を冷まさず。


  そんなに明日が心配なら、
  運命とやらの背中を押せばいい。

  考えられる最悪の選択をして、
  それで何が起きるか、
  見ていてごらんよ。

  恐ろしい結末なんて、
  所詮、自分の想像と覚悟の範囲なんだよ。
  つまり、自分の限界というやつだよ。
  運命とやらの正体だよ。

HONDA Ape100


2010年8月10日(火)
西の彼方に台風4号。強烈な南風が、気温と積乱雲を上昇させた。 @八幡平


  黒々と墨汁で
  約束を書いちまったのかい。

  派手にペンキで
  友情を謳っちまったのかい。

  鮮血に染めて
  同盟を結んじまったのかい。

  (そりゃあ、おっかねえ)

  守り切れなかったら騒動だ。
  忘れようものなら修羅場だ。
  裏切ろうものなら命懸けだ。

  容易に消えないものは、
  たいてい、高ぶる筆の仕業さ。

  劇薬のような感動。
  無敵に思える理想。
  奇跡に等しい筋書。
  そんなものを心に含ませ
  何かを表してはいけない。

スポーツスター883R


2010年8月9日(月)
不透明な真夏日。夕刻の雷雨。雨上がりの夕闇に秋。 @盛岡市


  あなたの周囲が静か過ぎると感じたら、
  事態は相当に進行したのだ。

  とんでもない不幸の寸前か、
  それとも
  夢が実現する歓喜の寸前か、
  どちらかだ。

  ならば、先を急がず、沈黙することだ。
  どちらにおさまるのか、
  その静寂で決まるのだ。

HONDA ベンリィ50S


2010年8月8日(日)
淀みなく移り変わるのは暦。暦に従わないのは人と風。秋とは無縁の炎熱。 八幡平市(アスピーテライン)


  楽しい、と思えるだけで、今日は大成功さ。
  嬉しい、と思えるだけで、明日も大丈夫さ。
  素敵だ、と思えるだけで、日々は大盛況さ。

  そう思えるものがあれば、幸いさ。

  たいてい、それは、大そうなものではない。
  自分を満たすものは、いつもの道であったり、
  自分を励ますものは、いつもの空であったり、
  自分を走らせるのは、いつもの風であったり、
  たぶん人生は、そんなもので忙しく終わるのさ。

  突き詰める理由もなく、
  解き明かす手間もなく、
  無駄な血や涙も流さず、
  実に忙しく終わるのさ。

スポーツスター883R


2010年8月7日(土)
立秋のこの日に、内陸南部を中心に軒並みの猛暑日。誰も理由を問わないことこそ異常。 @岩手山麓


  わけもなく昨日の影を引きずらない。
  ことさらに明日を照らしたりしない。
  ただの一日としての「今日」が、いい。

  心のままに生きるだけの
  夜明けから日暮れまでが、いい。

  何かを顧みたり、何かを目指したりせず、
  ぼんやりしているだけで、
  舞い散ってしまうような、
  そんな時が、いい。

  「ああ、過ぎ去ったね」と微笑むだけの
  そんな一日が、いい。

  今日の汗を、今日の太陽で乾かし、
  今日の涙を、今日の夕風で乾かし、
  後には何も残さない。
  そんな今日が、いい。

  カレンダーさえ必要のない日々が、
  いずれ押し寄せる。

HONDA Ape100


2010年8月6日(金)
積乱雲の高さは、尋常な夏ではないことを告げていた。熱で道も風もただれていた。 @遠野市(荒川高原)


  彼方の高原に聳える積乱雲の
  その直下に佇んでみたくて、
  鉄馬に鞭を入れた。

  沈み行く太陽と
  風に流される雲を思って
  峠を飛び越えた。

  辿り着いてみれば、
  そこは、霧の中だった。
  (確かに雲の直下だった)

  見晴らしを閉ざされた丘で、
  せめて夕闇を呼吸する。
  かすかに甘く真夏が匂う。

  此処に何を求めたのか、
  ふと、振り返えれば、霧が払われていく。
  (そうなのだ)
  辿り着くまでの道筋は、輝いていた。
  思い描いて走る時間は、弾んでいた。
  それだけのために、
  人は、幻を追うことがあるのだ。

ヘリテイジ ソフテイル クラシック


2010年8月5日(木)
盛岡も35度を越えて猛暑の一日。朝方の空の蒼さに「秋の到来」を期待したのだが・・・。 @盛岡市


  机上で未来を弄ぶ者は、
  天地に示される大きなサイン(意志)を
  見落としていく。

HONDA Ape100


2011年8月4日(水)
盛岡で33度7分(この夏最高)。うだる地上から見上げる空には、秋を告げる雲も点在していた。 @



  節度の無い者は、
  愛想や世辞をばらまく。

  方策の無い者は、
  菓子や玩具をばらまく。

  人望の無い者は、
  地位や勲章をばらまく。

  確信の無い者は、
  虚言や妄想をばらまく。


  落ち着かないんだろうなあ。
  何かばらまいていないと、
  気が狂いそうなんだろうなあ。

スポーツスター883R


2011年8月3日(火)
まれに青空も現れたが、視界は曖昧。確かなことは、暑さ疲れが折り重なっていくこと。 @八幡平市



  仲間がたくさんいることを
  誇示しなくては、
  支持されないというのも、
  何だかなあ。

  信頼の輪を広げていることを
  周知しなくては、
  信用されないというのも、
  何だかなあ。

  日々がいかに充実しているか、
  喧伝しなくては、
  理解されないというのも、
  何だかなあ。


  ぼんやり、ありのままに生きていて、
  たまたま出会えたものじゃ、
  足りないのかなあ。
  ポスターカラーで描いたような
  友情や団結や物語でないと
  不安なのかなあ。寂しいのかなあ。
 

HONDA Ape100


2011年8月2日(月)
真夏日になった地域は限られたようだが、西日本を彷彿とさせる蒸暑さは健在。 @岩手山麓



  友よ、
  昨日の自分を恥じる友よ。

  少しは、空を見上げたらどうだ。

  今日から見れば、
  過去の一切は悔恨の霧の中だ。
  今日より未熟な足跡ばかりだ。

  しかし、忘れてはならない。

  昨日の君は、
  明日の君のために
  力の限りを尽くしていたのではないか。

  そんな過去を嘲笑う君は、
  明日の自分に同じように見下されるだけだぜ。

  昨日の自分の立姿が、
  どれほど愚かで滑稽であろうと、
  受け止め、抱きしめ、
  明日へ押し出すのは、
  今日の君ひとり、なんだぜ。

スポーツスター883R


2010年8月1日(日)
一関では35度を越えた。陽射しは無いくせに蒸暑さだけは一級。「さんさ踊り」開幕には酷な大気。 @岩手山麓


  「一番簡単な釣りを
  知っているかい?」と
  名人は悪戯っぽく笑った。

  「浅い流れに群れるのは、
  縄張り意識の強い雑魚さ。
  そこに少し生意気な餌を
  流し込んでごらんよ。
  朝になれば、必ず一匹、
  針をくわえているものさ。
  趣味の悪い遊びだがね。」

  私が、最上の餌を尋ねると、
  名人はこたえた。
  「川の真実さ」

HONDA Ape100

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