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イワテバイクライフ 2010年8月後半


2010年8月31日(火) 
実に天をつくような積乱雲を見た。夕刻、すさまじい雷雨。 @岩手山麓



  日々をありのままに受け入れられて、
  人は、はじめて顔を上げる。

  希望の温もりを体全体に感じられて
  人は、ようやく目をひらく。

  思いが届き深く深く心が満たされて、
  人は、ついに空を仰ぎ見る。

  果てしなく広がり移ろうものを知り、
  人は、足元の草花を愛でる。
 スポーツスター883R  

2010年8月30日(月)
33度5分(盛岡)。逃れようのない残暑は沿岸部も同じだった。 @葛巻町



  オートバイが好きだ。
  正確に言えば、
  オートバイで走るイーハトーブが好きだ。
  その地形の大らかさ
  その光線と影の深さ。 
  そして、なによりも、
  天空の奇跡の発生率。
  今日も確かめずにはいられないから、走り出す。
  刻々奔放に移ろう眺めを追跡できるのは、
  直観と憧れとオートバイなのだ。
 ヘリテイジ ソフテイル クラシック  

2010年8月29日(日)
快晴。32度3分(盛岡)。秋の雲など紙のように燃えてしまう。 @八幡平市(七時雨)



  そこに帰れば、
  何ひとつ変わらない眺めがある。
  記憶の通りに移ろう季節がある。
  吹き渡る風に懐かしく土が匂う。
  歳月に染まって生きる人がいる。
  一年の思いに火を放つ祭がある。

  そこへ帰るために、また一年を生きる。
  魂の安らぎを求め、また一年を越える。
  出発点をめざして、また一年ひた走る。

  それが故郷なんだね。
  たとえ異郷の地であってもね。

  (辿り着いた場所なんだよ)
 KTM250EXC-F  

2010年8月28日(土)
イーハトーブに秋を呼ぶ大会も、真夏の空のもとで行われた。 @八幡平市



  ものごとの結末には、
  理由があるものだよ。

  でもね、
  すべてが終わった後で、
  それを探しても
  本当のことは、よくわからないんだよ。
  まるで風に持ち去られたようにね。

  だから、
  あれこれ理由を付けて
  納得しようとするんだね。
  都合のいい理由でね。

  何故そうなったのか。
  その瞬間の自分が
  一番良く知っていると思うんだ。
  思い知っているんだよ。
  (今度こそは)と誓って、
  新しい瞬間に飛び込んでいくんだよ。
  そんなことを繰り返しながら、
  自分という理由をかみしめるんだね。
  
 第34回イーハトーブトライアル大会(七時雨会場)  

2010年8月27日(金)
 岩手のこの時季に33度1分(盛岡)の不気味さは
政治の季節風以上だ。 @盛岡市



  音域の狭い楽器は、
  奔放な楽譜を嫌う。
  あたかも邪教の書のように忌み嫌う。
  だから、
  どこまでも起伏のない旋律の中に棲み、
  けして転調などせず、
  破綻なく終わることを祈るのだ。
  けれど、舞台の幕は下りて、
  すっかり老いたある朝、聞くのだ。
  風に乗って病床に届く旋律を、
  天空駆けるあの旋律を聞くのだ。
 スポーツスター883R  

2010年8月26日(木)
秋の気配を許さない真夏日。積乱雲の猛々しさは常軌を逸していた。 @岩手山麓



  あなたは、いくつ空を持っていますか?

  二度と現れない雲を
  いくつ覚えていますか?

  心を染める光を
  いく度浴びましたか?

  心を包んだ風は、
  いく通りの香りでしたか?

  幾千、幾万の思いは、
  その後、どうなりましたか?
  もしかしたら、
  あの日の丘の上で
  今日のあなたを
  幾年月も待っていたのではありませんか?
 HONDA Ape100  

2010年8月25日(水) 
最高気温31度9分(盛岡)?これから何が起きても不思議ではない北国。
 @岩手県



  狂ったように
  愛想を振りまくのは誰だい?
  そうかい。仲間に入りたいのかい。
  (覚悟をひとつ示せばよいものを)

  あたりかまわず
  雑巾がけをするのは誰だい?
  そうかい。認めて貰いたいのかい。
  (人知れず汗を流せばよいものを)

  下心を丸出しに
  貢物を積み上げるのは誰だい?
  そうかい。一等賞が欲しいのかい。
  (自分を信じて歩めばよいものを)

  時を待てないばかりに、人は滑稽になる。
  悲しいほど一生懸命、無駄を重ねる。
 KTM 250EXC-F  

2010年8月24日(火) 
高原には秋。下界は猛暑。往復するほどに戸惑い、疲れる。 @北上高地



  広々としていれば、いいね。

  なにもかもが、ゆっくり近づいて来る。
  うれしい知らせも
  かなしい知らせも
  ゆっくり届く。

  運命までもが、ゆっくりおとずれる。
  空一面を映す湖水の波紋のように
  雲をゆらし、光をふるわせ、
  広がり膨らみ寄せて来る。

  微笑が歓喜へ
  悲嘆が諦観へ
  移ろうように寄せて来る。

  岸辺で明日を受け取るその瞬間(とき)までに
  心は心を決めていられるから、
  広々としていられたら、いいね。
スポーツスター883R

2010年8月23日(月)
もう声を荒げはしないが、最高気温32度9分(盛岡)というのは、明らかに掟破りでしょ。 @十和田湖



  辺境の村は、
  そこが行き止まりであるが故に
  訪れる者など稀で、
  固有の安らぎに満たされ、
  楽園になる。

  けれど、
  時代の波は例外なく押し寄せる。
  道は拓かれ、件の楽園も、
  山向こうの町とつながることになる。

  その日から、
  辺境を行き交う車の数はめざましく、
  喧騒に包まれていく。
  自然を愛でる群が笑顔をふりまく。

  辺境の人々は、
  庭先を闊歩する見知らぬ影に
  戸惑いと猜疑のまなざしを向ける。
  (我々の土地に何の用だ?)
  屈託のない人々の往来に、
  やがて、古老は我慢ならなくなる。
  (先祖代々の静寂を踏み躙られてなるか)

  ついに道は封鎖される。
  幾多の話し合いは徒労に終わる。

  辺境は秘境へと変貌し、
  ますます町の関心を呼び寄せる。
 ヘリテイジ ソフテイル クラシック  

2010年8月22日(日)
うっすらとした青空に秋の雲など流れたが、気温だけは真夏の余韻。 @岩手県



  朗報は、
  意外にも最悪の者からもたらされる。

  愚かな王が、
  その資質ゆえに
  玉座から追われるという事実などは、
  まことに喜ばしい知らせとして、
  城下を駆け巡る。
  暗い時代だったからこそ、
  それは、歓喜に値する知らせだ。
  抑圧されて来たからこそ、
  それは、祝祭を促がす知らせだ。
  牢獄にさえ光はもたらされ、
  鉄格子を打ち鳴らす音が
  闇夜を揺さぶるほどだ。

  実に、愚かな支配者は、
  最高の贈り物を残して、去るものだ。
  自らの没落という朗報を残して。
 KTM250EXC-F

2010年8月21日(土)
32度前後の地域がめじろ押し。残暑とはいえ、朝夕の色彩の鋭さは、もはや秋。 @盛岡市


  性能なんて、
  日々の風次第だ。

  今日の雲や
  今日の光や
  今日の道や、
  今日の私や
  そんなもので決まる。
  天空の行方や
  季節の顔色で
  がらっと変わる。

  風は移ろう。
  走り続けていると、
  それが見えて来る。
スポーツスター883R


2010年8月20日(金)
午後からの晴天は安定し、最高気温も27度3分(盛岡)と、ほっとひと息。大気の透明度が増した。 @十和田湖(秋田県側)


  壮絶に生きていればね、
  何が押し寄せて来ても、
  特別なことにはならないと思うんだ。
  様々な出来事のひとつとして
  受け止められる。
  不安も、悲しみも、怒りも、怖れも、
  惨憺たる一日さえ、
  命の糧となる。
  そんな気がするんだ。
ヘリテイジ ソフテイル クラシック


2010年8月19日(木)
真夏日には0度2分足りなかった。大気を支配する秋。際立つ透明度。夏の衰退が始まった。 @盛岡市


  ものごとは、
  どうでもよくなったあたりから
  良い塩梅になる。

  どう転んでもよいものに、
  無駄なことはしなくなる。
  我を張らない。
  競り合わない。
  思いつめない。

  すると、不思議なもので、
  あれこれが至極単純になる。

  ことさらに頑張り、苦しむことが
  誠実の証であると信じているうちは、
  空回りだ。
KTM 250EXC-F


2010年8月18日(水)
日中は残暑そのもの。けれど、控え目ながら夜更けの虫の音が秋を告げる。 @北上高地


  許し難い者を告発するのは容易い。
  だが、ひとたび剣を向ければ、
  裁きがつくまで、
  その者と向き合わなければならない。

  (一刻も早く決別したくてもね)

  ともあれ、
  おぞましいものと
  同じ場所で、同じ時間を
  ともにする覚悟があるのなら、
  存分にやるがいい。


  (その価値があるのなら、それでいい)
ヘリテイジ ソフテイル クラシック


2010年8月17日(火)
ぼんやり開けた青空に誘われて出掛ければ、午後のスコール。 @岩手山林道(八幡平市)


  僕たちの心には、
  きっと
  美しい旋律が眠っている。
  素直な笑顔が宿っている。
  嬉しい物語が始っている。
  それを
  揺り起こし
  くすぐり、
  明らかにするものは、
  今日の風なんだよ。

KTM 250EXCーF


2010年8月16日(月)
刺すような熱は薄らいだが、残暑健在。不快指数は依然高い。夜も更けると秋の気配。 @八幡平市


  早急に信頼や共感を得るために
  己の善良を訴える必要のある者は、
  奇妙な振る舞いに出るものだ。

  粗野な森に入ると、
  見上げる木々の枝に
  高潔な果実をぶらさげたくなる。

  陰気な森に入ると、
  獣道の裏の裏にまで
  明々と提灯をぶらさげたくなる。

  饒舌な森に入ると、
  泥酔した者達にまで
  理想郷の在処など話したくなる。

  (それもひとつの営業なのか)

スポーツスター883R


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