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イワテバイクライフ 2010年9月後半


2010年9月30日(木)
うっすらとした雲の被膜は、夕刻ようやくとけて消えて、澄んだ秋の画布が用意されたのだが、描かれたのは、あかね雲だけ。 @岩手山麓


  雨が降る?日が陰る?嵐が来る?
  それは天空のそれぞれだろ?

  人が濁る?人が淀む?人が狂う?
  それは人間のそれぞれだろ?

  わたしはね、
  わたしという構図の中に
  今日の心をおさめられれば、
  それでいいんだよ。

  空がどうであれ、誰がどうであれ、
  何がどうであれ、構わないんだよ。

  (ここがイーハトーブである限り)
HONDA Ape100


2010年9月29日(水)
秋晴れの予報だったが、終日雲が多く、その流れは速かった。最高気温19度3分(盛岡)は、秋本番への足踏み。 @岩手山麓


  良い聞き手は、
  めったに声を出さない。
  無用な感情を差し挟まない。
  ゆっくり頷くだけさ。
  (波間に上下するウキのようにね)
  まれに相槌を打つのさ。
  (忘れた頃にしなる竿のようにね)
  それが、絶妙の間合いだから、
  話は進み、深まる。

  ところが、話を聞くふりをして
  話に相乗りして、
  自分を披露する質問は、
  あざとく、興ざめだ。
  (下品な撒き餌だ)
スポーツスター883R


2010年9月28日(火)
秋霖。小雨に濡れてけむる山野。木々の葉の秋の色付きが始まり、落ち葉さえ目につくようになった。 @岩手山麓


  たいていそうだ。
  今日という日は、
  誰かの思惑で濁っている。
  誰かの画策で偏っている。
  誰かの損得で踊っている。

  でもね、
  疑っていると、真っ直ぐ歩けないよ。
  拒んでいると、満たされはしないよ。
  肯定だけでは、自分を失っていくよ。

  だからね、覚悟するんだ。
  けして迷ったりしないと。
  けして窓を閉ざさないと。
  けして染まりはしないと。

  最後の風景を心に決めてしまえば、
  今日の眺めに一喜一憂しなくなる。
HONDA Ape100  


2010年9月27日(月)
北へ向かうほど劇的に秋晴れ。温厚な陽射しだった。家路を急いで南下するほど空はダークグレー。一瞬水滴を纏った。 @青森県


  秋の障子越に聞こえて来る声がある。

  こんな愚かな日々が、
  いつまでも続くわけはありません。
  許されるわけがないのです。
  誰もがわかっているのです。
  必ず終わる日が来るのです。
  だから、不用意に事を起こしてはなりません。
  大きな波が押し寄せ、眺めが変わる日まで、
  思いを貫くのです。黙々走るのです。
  いいですね。
  裁きは、然るべき手に任せるのです。

  ささやきは、虫の音にまぎれて消えた。
  私は、握りかけた狂気を闇の懐に戻した。
ヘリテイジ ソフテイル クラシック


2010年9月26日(日)
大気全体が台風に洗われ祓い清められたのか。濃厚な秋空だった。そこに分厚い雲のうねりがあった。 @八幡平市


  あなたは、真面目で良い人なんだけれど、
  それでも、自分がどう見られているか、知りたい?

  じゃあね、大きな失敗をしたら、
  耳を澄ませてごらん。

  はじめこそ吹いていた寛容の風は止み、
  非難の波がひたひたと寄せて来るよ。
  やがて「いつも感じていたことだが」と
  誰かが口火を切るのさ。
  それを待っていたかのように、
  思いもかけない方角から礫が飛んでくる。
  この際だから言っておこうという些事も含めて、
  芋を掘るように辛辣な人物批評が連なるよ。
  しまいには、ついでの私憤まで吐き出される。

  でもね、そこで、しょんぼりしてはいけない。
  聞き返さなくちゃ。
  「それは、どういうこと?」と。
  「それとこれと何の関係があるの?」と。
  するとね、ますます興奮する者が現れて、
  腹のうちを見せてくれる。
  正体をさらしてくれるよ。

  失敗はね、自分を知り他人を知るチャンスだよ。
  (反省と理解者の登場は、その後でも遅くない)
スポーツスター883R


2010年9月25日(土)
台風12号の接近で沿岸部を中心に強風の一日。気温も盛岡で15度と10月下旬並み。雨らしい雨が降らなかったのは救い。 @姫神山麓



  奪ったことがある者は、
  奪われることを恐れる。
  屈辱の気分を知るから。
  ことさらに鍵を掛ける。

  逃げたことがある者は、
  逃げられることを嫌う。
  寂しさの風を知るから。
  ことさらに情を傾ける。

  一度でも裏切った者は、
  裏切りを許せなくなる。
  滑稽な姿が見えるから。
  ことさらに目を凝らす。

  全てを独り占めなんて
  できるはずがないのに、
  支配しようとするから、
  日々何かを失っていく。
HONDA ベンリィ50S


2010年9月24日(金)
晴天の予報など木端微塵。青空の断片を数える程度の曇天。11月さえ匂う夕闇。 @岩手県三陸沿岸


  三陸の北の海岸線から 
  そう遠くないところに 
  氏の秘密基地はあった。
  イタリア製オートバイ 
  モトグッチの世界では、
  つとに知られた存在だ。

  氏の愛機が生む鼓動は、
  驚くほど柔和で奥深い。
  大地をほぐしてとかす。

  そんな氏が照れて笑う。

  街へ行こうと思わない。
  信号待ちの時間なんて、
  人生の無駄に思えると。

  私は瞬時に理解できた。
  心に流れる時間のこと。
  思い通りの呼吸のこと。

  岩手に移り住んだ私の 
  本当の心を言い当てた 
  氏の言葉をかみしめた。

  この先に待つ信号機を 
  数えて溜息などついた。


2010年9月23日(木)
最高気温14度3分(盛岡)。ジャケットの中のフリースの何という心地よさ。夕空がかすかに朱に染まり、天気回復の兆し。 @岩手山麓



  手柄の味を覚えると、人は変わるよ。

  手柄にならない仕事などしなくなる。
  手柄が匂えば無用の仕事を抱え込む。
  手柄になれば他人の仕事も掠め取る。

  手柄と交換に格をもらい、
  手柄を手形に旅先を得る。
  手柄を名刺に刷り込んで、
  手柄と手柄を比べて競う。
  人を騙し潰し手柄を掴み、
  嘘に嘘を重ね手柄を作る。

  手柄を最高の通貨とする場所に光は無い。
  昔の手柄を自慢して老醜の道を辿るだけ。
HONDA Ape100  


2010年9月22日(水)
最高気温16度4分(盛岡)。当たらぬ雨の予報より、この冷気を予告してほしかった。 @盛岡市


  そりゃあ何でもそうさ。
  時代とともに古くなる。
  歳月を重ねて年をとる。

  (でもね、たぶん、そこからなんだよ)

  いつまで、その場所で、
  いきいきとした立ち姿でいられるか。

  いつまで、その思いで、
  ますます味わい深い顔でいられるか。

  いつまで、その構えで
  日々の光や風を呼吸していられるか。

  (つまり、そういうことなんだな)

  だからね。
  あり続けることや、生き続けることが、
  無条件に受け入れられ、
  愛されるものになった時、
  本当の物語は始まるんじゃないのかな。
  (きっとね)
HONDA Monkey


2010年9月21日(火)
昼過ぎから急速に雲は払われた。天気予報ではあり得ない青空が広がった。まさに秋の光線だった。 @岩手山麓


  昨日までのものを切り捨てることで
  新しいものであろうとする者は、
  やがて自らも古い仕組みになっていく。
  そこに気付かないまま、
  ある日、見慣れぬ誰かに切り捨てられる。

  新しさとは、歴史の中に芽生えるもので、
  ひとりの人間の思いつきなどでは無い。
  ひとりひとりが折り重なり、
  ひとつひとつが積み上げられ、
  その頂が、瞬間的に新しいだけなのだ。

  新旧に境界線などは無い。
  過去と未来を闊達に往来できる者こそが、
  時代を越えていけるのだ。

  過去を嘲らず、未来を奉らず、
  現在に生きることだ。
HONDA Ape100  


2010年9月20日(月)
午前中は薄日が射していたが、午後はどんより。秋の気配など皆無。 @岩手山麓


  少し鋏を入れるだけでいい。
  導火線の長さを決めてしまうと、
  楽なものだ。

  何がどうなっても、予定通り事は終わる。
  誰かの都合なんか、容赦なく寸断される。
  牢獄の鉄扉だって、すんなり開放される。

  すべては、その長さの範囲の出来事だ。
  不条理劇も
  暗黒時代も
  所詮は、轟音と火柱が立つまでの話だ。

  (せめて終焉の時を支配せよ)
HONDA ベンリィ50S


2010年9月19日(日)
どんよりしたままだった。けれど、雨らしい雨は降らなかった。かすかな蒸し暑さを感じただけ。 @花巻市


  きっと君は、
  遠い昔の今日のことなんか
  覚えていないだろうから、
  いつの日か、僕は、
  青年になった君を
  今日と同じ笑顔で
  応援するからね。
2010山屋エンジョイトライアル(岩手県選手権大会)


2010年9月18日(土)
最高気温27度5分(盛岡)。エネルギッシュな雲の競演だった。どこかに真夏が隠れていたようだ。 @八幡平市



  人の卑劣は、
  明確な形となり罪となるまで
  放置されることがある。

  ひとたび許し難い有り様に至り、
  裁きの手が下れば、容赦ない。
  天地の眺めまで変わるほどだ。

  それまでの静けさこそが
  神のおそろしさだ。

  それまでの画策の数々が、
  人のおろかしさだ。
KTM 250EXC−F


2010年9月17日(金)
雨の気配は急速に遠のいて、望外の青空が広がったのだが、随所にもの言いたげな雲がわき立っていた。 


  器の色を変える程度のことを
  「刷新」というのか。
  器の配置を触る程度のことを
  「改革」というのか。
  そんなところで
  堂々巡りをしていてはいけない。

  苔を纏った器は叩き割る。
  いいね。それを「革命」と言うんだよ。

  時代を越える器の形を決めることこそ
  「哲学」と言うんだよ。
  そこに満たすべきものを決めることを
  「創造」と言うんだよ。

  そのために僕らは、
  日々生まれ変わるんだよ。
スポーツスター883R  


2010年9月16日(木)
昼前からの雨は、ごくおとなしい降り方だったが、けして止むことはなく、秋を深めた。 @雫石町


  どうだい?
  いろいろ試してみて。

  計算通りだったかい?
  狙い通りだったかい?
  思惑通りだったかい?

  やっとわかって来たかい。
  答えなんて無理して出すものじゃない、と。
  いつの間にやら出ているものだ、と。

  明日をどうにかしようとするより、
  転がり込んで来る今日を
  きちんと受け止めることが、
  つまり、何というか、
  生きるということなのかと、
  思うわけさ。

  何とかしてやろうと腕まくりするから、
  困難になる。複雑になる。窮屈になる。
  答えは、何処かで決まっているのにね。

  (夢中になっていれば、いいんだよ)
HONDA ベンリィ50S  


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