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イワテバイクライフ 2011年1月前半


2011年1月15日(土)
盛岡は7日連続の真冬日。かすかに青空もにじんだが、陽射しの気配さえ凍った。 @安比高原



  苦しみを噛み殺し
  強くなれるなんて、
  どんな時代の迷信だ?

  悲しみを飲み込み
  大人になるなんて、
  どこから流れた噂だ?

  不条理を受け止め
  丸く収めるなんて
  だれが出来る芸当だ?

  涼しい顔して、焼き払われ、
  笑顔のままに、叩き割られ、
  わけ知り顔で、すべて失う。

  そんなお人好しは、
  終りにする時だ。
HONDA Monkey 2007年1月15日撮影


2011年1月14日(金)
最低気温11度5分(盛岡)は、この冬一番の冷え込み。凍った雪を削り取る音が街に響いたが、たなびく雲は、どこか柔和だった。 @盛岡市



  底冷えの裁判所の
  青白い光が差し込む部屋に
  天使の絵があった。
  向かい合うように
  悪魔の絵があった。

  その真ん中に立って、人は呟く。
  「そうかもしれない。
  そうではないかもしれない。」

  生きている限り、
  人は、その問いから逃れられない。
HONDA ベンリィ50S


2011年1月13日(木)
最高気温・氷点下2度5分(盛岡)。雪はきしきし鳴いた。むき出しのアスファルトは暗くぬめった。 @岩手山麓



  弱い者を
  抑圧し続けて、
  支配した気分になっていると、
  それは起きる。

  一面の雪の下で
  何が起きているかも知らず、
  沈黙する者に
  たかをくくっていると、
  それは起きる。

  雪がとける頃、
  泥の中に、
  それは立ち上がる。

  目の前に、ぬっと現れる。
HONDA ベンリィ50S


2011年1月12日(水)
氷点下3度1分(盛岡)は「身構えろ」。降りしきる粉雪は「覚悟せよ」そりゃあ、もう逃げられない。埋もれる他に道は無い。 @盛岡市



  雪から逃れる場所はない。
  ざんざん積まれる難題に
  汗かくほかはないだろう。

  人から逃れるすべもない。
  ああだこうだの世間話に
  微笑むほかはないだろう。

  夜から逃れるカギもない。
  どんどん膨らむ胸騒ぎを
  寝かし付けるほかはない。
  
HONDA Monkey  2010年1月12日撮影


2011年1月11日(火)
最高気温氷点下1度2分(盛岡)。三日連続の真冬日。寒気にも笑顔でいられたのは、鮮明な青空だったから。 @岩手山麓



  人と人は、
  鏡をはさんで向き合っているんだね。

  微笑めば、微笑まれる。
  手を振れば、手を振り返される。
  あなたが晴れれば、わたしも晴れる。

  今日一日、人一人どう佇むのか。
  それは、
  わたし一人のことではなく、
  あなた一人のことでもないんだね。

  澄んだ鏡に
  毎日、心からの言葉をかけていますか?
  明るくうなずいていますか?
  まっすぐ向き合っていますか?
HONDA Ape100


2011年1月10日(月)
思いのほかに晴れた。そして案の定冷えた。最高気温が氷点下2度2分の真冬日(盛岡)。ちくちく冬の針が風にまじった。 @盛岡市



  出来るか出来ないか、
  それはさておき、
  どうしてもやりたければ、
  人は黙ってやるものだ。
  ところが、虚像を売って生きる者は、
  出来ないことに
  もっともらしい理由を付けて
  指一本出そうとしない。
  やりたきゃ、やる。
  いやなら、やめる。
  厳冬のど真ん中を駆け抜ける大義を
  いちいち説明する馬鹿が、
  どこにいる?
HONDA ベンリィ50S


2011年1月9日(日)
街は、朝を迎えるたび、うっすら新しい雪を纏っている。その下には凍った正月の雪。なにせ真冬日だから。 @盛岡市



  胸に手を当て、
  やましいことなど無ければ、
  自らの足跡を消す必要はない。

  誰かを憎んで、歩調を乱し、
  何かに偏って、道筋を誤り、
  醜い旅路を刻んでしまうから、
  ゆうべの一歩が気にかかる。

  かすかな良心よ。
  昨日の罪を新雪で覆いたがる者よ。
  正々堂々の行進は、
  足跡など振り返らないものだ。
HONDA Monkey  2010年1月9日撮影


2011年1月8日(土)
画布は蒼く塗り潰されていた。その上に冬の風や雲が流れていった。雪をとかすほどの光ではなかった。 @岩手山麓



  楽園の門を叩いたのはね、
  ただ緑陰を求めていたからさ。
  我がもの顔に闊歩する群に
  加わるためじゃない。
  大きく枝を広げる樹の下で、
  腰をおろし、目を閉じ、
  穏やかに呼吸をしたいだけなのだ。
  果てしなく広がる清明な天地を感じ、
  傷を癒し、心を救い、
  かすかに微笑みを取り戻す日まで、
  もの静かな人々と
  歳月の川音に耳を傾けていたいのだ。
  一本の草木のように、
  村人Aでありたいだけなのだ。
HONDA ベンリィ50S


2011年1月7日(金)
ほぼ岩手全土真冬日。叩きつける風が一面の血流を凍らせた。沿岸北部の吹雪は、時に内陸以上。 @岩手県洋野町



  拍手が欲しければ、
  浜を洗う波音を聞け。

  脚光が欲しければ、
  岬の灯台を見上げろ。

  花束が欲しければ、
  白波など眺めていろ。

  見知らぬ港町の
  底冷えの岸壁で
  春の波濤を思い描けるのなら、
  もう一日生きてみろ。

  今日息絶える海鳥さえ羽を広げるのだ
HONDA Monkey


2011年1月6日(木)
かたく凍った残雪の山に、わずかながら新雪が上積みされた。鋭利な青空は、やがて雪雲に飲まれていった。 @岩手山麓



  困難なことは何ひとつ無い。
  あるのは、
  困難と名付けた雑事があるだけだ。
  (さっさと片付けよう)

  複雑なことは何ひとつ無い。
  あるのは、
  逡巡しさまよう足跡があるだけだ。
  (思いの通りに歩こう)

  無駄なことは何ひとつ無い。
  あるのは、
  放置したままの昨日があるだけだ。
  (最後まで向き合おう)
HONDA ベンリィ50S


2011年1月5日(水)
真冬のどん詰まりの曇天は、脅し加減に小雪をちらつかせたが、何が何処で動いたのか、夕暮とともに空は開けた。 @盛岡市



  新雪に埋もれて
  夕暮を呼吸しているとね、
  時々、歳月のことが
  白く抜け落ちてしまうんだよ。
  今日という日が、
  未来のことなのか過去のことなのか、
  わからなくなるのさ。

  もしも、今日が地獄なら、
  遠い過去のことだと思えばいい。
  もしも、今日が、
  微笑みのあふれる安息日なら、
  すぐそこにある未来だと思えばいい。

  (そう決めておけばいい)
HONDA ベンリィ50S ※画像は2008年1月31日撮影


2011年1月4日(火)
雪に埋もれたままの街は、日毎に色彩を失って、ぐずぐずと輪郭が崩れていく。 @盛岡市



  先頭に立ちたい者には、
  どんどん譲る。
  冷えた風を切ってもらう。

  中心を占めたい者には、
  さっと空ける。
  大汗かいて踊ってもらう。

  見せつけたがる者には、
  手拍子を送る。
  血を流して暴れてもらう。

  目立たず、気負わず、誰かの陰で。
  逆らわず、肩組まず、輪の片隅で。
  表わさず、物語らず、照明の外で。
  欲しい風だけ手に入れる。
HONDA Monkey ※画像は2010年1月4日撮影


2011年1月3日(月)
放射冷却現象で凍り付いた大地は、まばゆい太陽を浴びて、ゆるみるとけた。大雪による県内の停電、完全復旧に至らず。 @花巻市



  幸せの役にも立たないものを
  きれいさっぱり捨てて、
  来る日も来る日も
  空高く舞う私になれたら、やがて寂しい。
  来る日も来る日も
  旅を続ける私になれたら、どこか悲しい。
  来る日も来る日も
  浮雲を追う私になれたら、ついに空しい。

  重荷を負って天空をめざすから、
  夢中になるのだ。
  暗い牢の中で放浪に憧れるから、
  夢が膨らむのだ。
  荒廃の原野で風に恋をするから、
  ひた向きなのだ。




  ※本文と画像は一切関係ありません。
ライダー:takahasi takehiroさん(国際A級)


2011年1月2日(日)
大雪の爪痕も生々しい内陸を這い出ると、かすかに軽やかな太平洋の空が開けた。 @岩手県洋野町



  まったく、それは、
  奇跡に等しいことなのだが、
  ある土地が
  人生の舞台になっていることがある。
  ある人々が
  最大の恩人になっていることがある。

  その土地のために、人々のために、
  命を燃やそうと心を決めた日こそ、
  もうひとつの誕生日なんだよ。
HONDA Monkey


2011年1月1日(土)
湿った雪が分厚くからみついて、木々は折れ、道は寸断された。わけもなく穏かな青空が他人事のように広がった。 @盛岡市



  ふと立ち止まる。
  すると、そこが出発点に思えて、
  真新しい風が吹く。

  思わず振り向く。
  すると、そこに影が立っていて、
  明日の方角を指す。

  わけもなく走る。
  すると、そこに微熱がやどって、
  雪原がとけていく。

  
HONDA Monkey

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