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イワテバイクライフ 2011年1月後半


2011年1月31日(月)
最低気温・氷点下10度9分(盛岡)。午前中には控え目な青空もあったが、午後には冬のベールに包まれ、真冬日。 @岩手山麓



  奪い切れないものがある。
  消し去れないものがある。
  遂に覆せないものがある。

  だから、
  がつがつ夢を貪るんだな。
  おどおど傷を隠すんだな。
  いらいら先を急ぐんだな。

  すっと、間合いをとれたら
  いいのにね。
  さっと、終止符を打てたら
  いいのにね。

  (我を忘れるんだね)
HONDA Monkey


2011年1月30日(日)
前夜からの粉雪で、一面の化粧直し。幸い、残雪がふっくらした程度で、午後には陽射しも戻った。 @盛岡市



  毒は賞賛にこそ
  ひそんでいるものだ。

  批判にこめられたものなど、
  すぐに免疫が出来てしまう。

  じわりと心地よく全身にまわる毒は、
  たいてい、肯定というオブラートに
  包まれている。
  その甘い飲み口に誘われて
  効き目は、持続し深まる。

  喝采と照明に酔いしれ、
  しびれていたい心がある限り、
  それは、実に良くしみ渡る。
HONDA ベンリィ50S


2011年1月29日(土)
日向の雪は光の中でそぎ落とされ、日陰の氷はますます厚みを増して、その段差が街を切り分ける。 @岩手山麓



  みんなが
  うすうす感じていることは、
  「言葉にしちゃだめだよ」っていう
  神様の合図だよ。

  静かに眺めていれば、
  いずれ、その通りになるのだから、
  悪戯に触れちゃいけない。
HONDA ベンリィ50S


2011年1月28日(金)
印象の薄い青空を後に内陸から三陸沿岸に出てみれば、魂に届くほどの大気の温もりがあった。 @岩手県洋野町



  カモメが
  どんなに抗議していても、
  海鳴りが
  どんなに憤激していても、
  すべてを穏便に済ませたがる者は、
  カモメに餌をやり、
  海鳴りに耳を塞ぐ。
  消してしまいたい罪を
  豪壮な額の中に取り込み、
  一切を美化しようとする。

  覚えておくことだ。
  そんな枠におさまりたがるのは、
  黒い野心に酔った群だけだ。

  明日息絶える海鳥さえ、
  最後の口ばしで、それを突き砕く。

  次の瞬間消える波も
  最後の風に乗り、それを噛み砕く。
HONDA Monkey


2011年1月27日(木)
鋭利な晴天だった。したたるインクのような蒼さだった。夕暮れになって、雲が出て、むしろ落ち着くほどだった。 @岩手山麓



  吠える息が残っているのなら、
  歌のひとつも口ずさんでごらんよ。

  立てる爪が残っているのなら、
  雪原に思いを刻み付けてごらんよ。

  燃え残った人生があるのなら、
  夕闇に向かって物語ってごらんよ。
  詩のひとつ大空に綴ってごらんよ。
HONDA ベンリィ50S


2011年1月26日(水)
午前中は、まあ陽射しもあった。けれど、最低気温マイナス8度5分をプラスに転じさせるだけで精一杯だった。午後は曇って雪の匂い。 @岩手山麓

 

  理不尽なものと闘うのなら、
  傲慢なほどの覚悟が必要だ。

  ささやかな居場所を失い、
  夢の石垣ひとつ残せない者になることを
  拒否するのなら、豹変するだけだ。

  打たれたら即座に打ち返し、
  斬られたら平然と斬り返す。

  鬼になることを
  傲慢などと指さされても
  怯んではならない。

  謙虚と言う美名のもとに
  どれだけ心を焼き払って来たか、
  胸に手を当てるがいい。
HONDAベンリィ50S  


2011年1月25日(火)
最高気温がプラス2度9分(盛岡)。さすがに光がやわらかい。一方で、岩洞湖のワカサギ釣りがようやくの解禁。 @岩手山麓



  平和な日々において、
  人が運命と思い込んでいるのは、
  案外、他人の都合でつくり上げられた
  ひとつの状況に過ぎないことがある。
  見知らぬ誰かが、見知らぬ場所で、
  「まあ、こんなものか」と
  出した妥協点や辻褄合わせが、
  運命と言う名前で出回ることがある。
  一喜一憂するほどのものではない。
  むしろ、おとずれるものを
  冷徹に峻別する意志こそが、
  運命になるのだ。
HONDAベンリィ50S 


2011年1月24日(月)
やわらかいのだ。何と柔和な大気だ。どこかで壮大な和解が成立したのか。彼方に春の援軍が寄せて来たのか。 @安比高原



  役回りというものがある。

  僕の場合は、
  一本の木であったり、
  一個の岩であったり、
  遠くの山であったり、
  まあ、そんな感じだったのだが、
  風や雲や太陽の役回りの子等と
  仲良く演じていたから、
  退屈はしなかった。

  ただ、どんなお話だったのか、
  覚えてはいないけれどね。
HONDA Monkey


2011年1月23日(日)
最低気温が氷点下7度3分(盛岡)だから、そこから立ち上がるのは真冬日を免れるだけで精一杯。どんなに晴れていてもね。 @岩手山麓

 

  共感は、間髪を置かず表明すればいい。
  (大袈裟なくらいで、いい)

  疑問は、忘れたころに差し出せばいい。
   (ズボラなくらいで、いい)

  異論は、鎮静してから飲み込むがいい。
  (何も考えないのが、いい)

  事も無く暮らすだけなら、それでいい。
  学問じゃあるまいし。
  裁判じゃあるまいし。
  
HONDA ベンリィ50S  


2011年1月22日(土)
青空はある。陽射しもある。けれど凍った大地をとかすほどの力は無い。 @岩手山麓

 

  わたくしは、今日も
  この天地の眺めを収穫するのです。

  雪をまとい、氷に傷付きながらも、
  一心不乱に、かきあつめるのです。

  あたかも見渡す限りの風景が、
  今日一日だけの実りのようで、
  大嵐を覚悟した実りのようで、
  わたくしは、
  沈む太陽に追いすがるが如く
  とうとう半狂乱の農夫となり、
  冬の田園地帯を転げ回ります。

  眼球は、もはや地吹雪の中で暗くかすみ、
  指先は、凍結の風に切り落とされた後で、
  涙さえ流せない者になり果てたのですが、
  この風景の次の印象のそのまた次の瞬間を求めて、
  おいおいと泣きながら夕暮の中に転げ回るのです。

  この天地を追われ、牢獄に横たわる私のために、
  せめてもの記憶を残してやろうと、
  光という光が地平の彼方に去るまで、
  彷徨うのです。
HONDA ベンリィ50S 2011年1月21日撮影  


2011年1月21日(金)
最高気温プラス0度8分(盛岡)。イーハトーブの厳冬の最難関を見送るには、黙々生き抜くほかに手だては無い。 @岩手山麓



  力を誇る者が闊歩する時には、
  よくよく心を照らすことだ。

  何かを踏みつけなかったか。
  何かを捻じ曲げなかったか。
  何かを日陰にしなかったか。

  細やかに歩を運ばないと、
  ひとつの橋も渡れない。
  ひとつの門も開かない。
  ひとつの夢も叶わない。
  大罪の轍を刻むだけだ。

  弱い者への振る舞いひとつで、
  実に、明日は、がらり変わる。
HONDAベンリィ50S 


2011年1月20日(木)
気が付くと、大寒を迎えていた。まあ、岩手の冬のど真ん中では、暦もその程度のもの。いちおう4日ぶりの真冬日。 @盛岡市



  本当の東北人は、
  おっがねえ。

  ひとたび凍ると
  二度ととげねえ。

  ぎりぎりまで
  やさすぐで、
  あっだげえがら、、
  なおさら、
  おっがねえ。

  一面を冬にしようものなら、
  二度と春は見られねえ。 
HRC RTL260F  2009年1月20日撮影


2011年1月19日(水)
最低気温が氷点下5度6分(盛岡)なら、ゆるいものだ。最高気温がプラス0度8分(盛岡)なら有難いものだ。まして青空があれば極楽だ。 @岩手山麓

 

  スイッチの無い壁に
  オンだとかオフだとか問いかけるのは、
  ムダムダ。

  血流の無い場所で
  義理だとか人情だとか歌い上げるのは、
   ムリムリ。

  旅など知らない群に
  楽園だとか天地だとか語ったところで、
  バイバイ。

  ならば、
  このささやかな夕暮に
  心のスイッチを入れて
  魂の血流を呼び戻し
  彷徨い出す者でありたい。
HONDA ベンリィ50S


2011年1月18日(火)
最高気温プラス1度9分(盛岡)。凍り付いていた雪が、わずかに弛んで動いた。山野は風強く至る所に地吹雪。 @岩手山麓



  オートバイなど
  ついに知らない者でいられたら、
  どれほど呑気に暮らせたことだろう。

  この道の行方を
  辿ることのない者でいられたら、
  どれほど温もっていられたことだろう。

  この風の香りを
  追うことのない者でいられたら、
  どれほど正気でいられたことだろう。

  巡り会ってしまったものが、
  見渡す季節の一切が、
  私を苦しめる。
HONDA ベンリィ50S


2011年1月17日(月)
最高気温プラス1度(盛岡)。時折青空を隠す雪雲。けれど小雪は湿っていて、フロントガラスに水滴となって転がった。 @岩手山麓



  振り向けば
  いつまでも
  どこまでも
  黙りこくる影が立っている。

  春を思って
  雪に花を見ているのか。

  夏を思って
  森に緑を見ているのか。

  秋を思って
  空に錦を見ているのか。

  それとも
  今日という冬を負って、進めず
  雪に言葉を吸われ、語れず、
  いつまでも、
  どこまでも
  立ち尽くす私なのか。

  歩み出す力を
  じっと待つ季節が
  流れていく。
HONDAベンリィ50S 2010年1月17日撮影


2011年1月16日(日)
盛岡は8日連続の真冬日。少々晴れても屋根の雪の厚みは変わらない。歩道の圧雪が固く凍るばかりだ。 @岩手山麓



  未決済の箱に
  業務文書とは言い難い一冊。

  「アホ馬鹿写真集」
  副題は「考えるな。感じるんだ」

  なるほど
  私も永久に未決済の
  そのようなものなのかもしれない。
  
HONDA Monkey 2009年1月16日撮影

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