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イワテバイクライフ 2011年8月後半


2011年8月31日(水)
遥か南の台風12号がゆっくり北上中。その先ぶれの雨が午後になって降り出す。一時的に激しく、雷をともなって、街を叩いた。

 

  空は暗く
  彼方に雷鳴を聞く夕暮、
  嬉々として出かけるのは、
  おそらく、
  雨上りの美しさを知る者に違いない。 

 BMW R1150R ロードスター @八幡平市 撮影日2005年8月31日  

2011年8月30日(火)
日中は汗ばむ陽射しだったが、仔細に大空を見渡せば、夏から秋へ移ろう一日だった。



  もしや、
  昔の約束を
  まだ果たしていなかったのかと、
  胸に手を当てることがある。

  久しぶりに再会した者に 
  笑顔の欠片も無い時、
  私は、失念の箱に手を突っ込み
  かき回す。

  あの宴の夜の意気投合が
  もしや、兄弟仁義だったのかと
  狼狽したりする。
MOTO GUZZI 850GT   

2011年8月29日(月)
朝方の霧は早々に払われ、けだるい夏空。盛岡では29度3分の残暑。



  発車のベルが鳴り響いていた。
  見知らぬ駅の階段を駆け下りると、
  ホームの両側に電車が停まっていた。
  しかし、行先の表示が無い。
  と、左側の車両のドアが閉まりかけた。
  私は、その隙間に飛び込んだ。
  車内には老人がひとり。
  流れ出した風景を見つめたまま、
  その横顔が私に呟いた。

  「この列車でよかったのかな?」
  心は決まっていた。
  「はい、これでいいのです。
  いつも先に走り出すものを選んできましたから」
  老人は、うなずいて微笑んだ。
  
  (そんな夢を見た)
スポーツスター883R @岩手県北部 撮影日2011年8月26日  

2011年8月28日(日)
真夏が戻って来た。エネルギッシュな陽射しだった。けれど大地の影は、さすがに秋のそれで、深かった。



  ここに暮らしているから
  この日がある。

  そこに心を向けるから、
  この道がある。

  あの頂を仰ぐから
  この空がある。


  人生をかけた思いひとつで、
  日々の風景は開ける。
ヘリテイジ ソフテイル クラシック @岩手県北部  

2011年8月27日(土)
爽快な青空だった。陽射しには、かすかに夏の余韻が漂った。けれど、はかない雲は秋そのものだった。



  この一年を
  それぞれに生き抜いて、
  再び、この場所に戻って来た。
  泥をほっぺたに付けて、
  互いに笑った。よく喋った。
  友よ、俺は、
  もう、それで充分に嬉しかったよ。

  また一年、
  祭りを準備しようじゃないか。
第35回出光イーハトーブトライアル大会 @七時雨(八幡平市)  

2011年8月26日(金)
忘れかけていた青空が、最高の内容で現れた。蒼さも、雲も、風も、夏と秋の極上のブレンドだった。



  過ぎゆく夏の記憶を
  死に物狂いでかき集めるのは、
  もう止めよう。

  すくい取れなかった光は、
  また、いつか、
  網におさめればいいじゃないか。

  受け止められなかった風は、
  また、いつか、
  心におさめればいいじゃないか。

  この見渡す限りの天地を
  庭にしていられるなら、
  それで、いいじゃないか。

  (急ぐ必要はない)
スポーツスター883R @八幡平市  

2011年8月25日(木)
秋雨前線の動きで微妙な曇天だったが、夕刻には空も開け始め、夕焼雲が明日の空を祝福した。



  休むことが
  身勝手なことにされると、
  人は、疲弊していく。

  楽しむことが、
  苦痛の対価にされると、
  人は、笑わなくなる。

  創ることが、
  余計な努力にされると、
  人は、枯れていく。
MOTO GUZZI 850GT @盛岡市(御所湖)  

2011年8月24日(水)
街はしだいに乾いたが、まれに小雨も降った。夕暮の空が少し明るかったのは救いだ。



  時代は延命できない。
  良い時代の記憶にしがみついていたら、
  次の時代を生き抜けない。
  過去に棲まず、今日に向き合い、
  明日へ進もうじゃないか。
  良い時代にしようじゃないか。
KTM250EXC−F @盛岡市 撮影日2010年8月25日  

2011年8月23日(火)
秋霖というには落ち着きのない空で、晴れるのか降るのか揺れながら、結局スコールみたいな・・・。



  ねえ、僕たちは、
  咲くことを願い、
  咲くこともなく、
  枯れていく事を
  酷く怖がっている。
  花でもないのにね。
HONDA ベンリィ50S  @岩手山麓  

2011年8月22日(月)
秋雨前線北上。時折の激しい雨が夏の熱気を洗い流した。夕刻には雨も上がり、季節は迷い始めている。

 

  辺境の酒場で
  威勢の良い声を上げるのは、
  たいてい旅人だ。

  あれやこれやの見聞録を
  村人は、じっと聞いている。
  身の縮む暴言にも顔色は変えない。
  翌日、旅の一人が消えているだけだ。

  のどかに日は暮れ、
  赤ちょうちんに今日も灯はともる。



  ※本文と画像は一切関係ありません。
 
HONDA Monkey @盛岡市 撮影日2008年8月24日   

2011年8月21日(日)
遅い夏休みに入った途端、秋の到来。はかない青空に脱力した雲。夜の冷気は濃密。

 

  大自然の胸を借りる以上は、
  その地形にどう挑むつもりなのか、
  全身で表明しなくてはならない。
  ささやかではあっても
  明確な意志を刻まなくてはならない。

  トライアルとは、
  そんなスポーツなんだよ。
  いくら歳月をかけても、尽きることがない。 
矢巾町トライアルパークにて  

2011年8月20日(土)
ずいぶん秋めいた、とはいえ、日中は青空と積乱雲。夕刻になって黒い雲が流れ込み、所により激しいスコール。



  今日進行している
  とてつもないことは、
  ひた隠しにされて、
  そう遠くないある日
  すべてが表面化しても、
  偶然の問題として処理されるのね。
  そんなことが
  ひっそり山積みされているのね。

  キッチンで君はそう呟いた。
MOTO GUZZI 850GT @北上高地  

2011年8月19日(金)
コンピューターゲームのように前線は南下し、予想外の青空が広がったが、最高気温は27度1分(盛岡)に落ち着いた。



  戦場において
  狙撃されるのは、古参兵だ。
  その経験が脅威だからだ。

  社会において、
  狙撃されるのは、年配者だ。
  その経験が疎ましいのだ。
スポーツスター883R @八幡平市  

2011年8月18日(木)
昼前から雨は本降り。夕刻には音を立ててスコール。強弱様々な雨が断続的に降った。さすがに気温は25度1分(盛岡)。



  夏の雨は、
  打たない。刺さらない。
  触れて、割れて、とろり、したたる。
  温もった被膜が人を包む、気持ちをくるむ。
  纏った雫の重さは実りの予感。
  夕闇を貫き走れば
  祝福の飛沫(しぶき)どこまでも。 
HONDA Monkey @岩手山麓  

2011年8月17日(水)
たれこめた雲は、まれに細い薄日を許したが、午後になって雨が降ったり止んだり。ひどい湿気。まるで梅雨。



  けして表に出ず、
  まして主張せず、
  下支えに撤し汗をかく青年に、
  世の大人が感服し賞賛すると、
  彼は「いえ私など・・・」と繰り返し、俯いた。

  そこへ赤ら顔の開襟シャツが
  通りがかり、言い放った。
  「なあ、兄ちゃん。
  謙遜しているうちに年をとっちまうぜ」
  高笑いを扇子であおぎながら、
  スタスタ廊下の彼方へ消えた。
  
KTM250EXC−F @岩手山麓 撮影日2009年8月19日  

2011年8年16日(火)
北海道にかかる寒冷前線で、小雨断続。稀に現われる青空も薄弱で、最高気温は29度(盛岡)



  道化師は、どこまでも追って来た。
  独裁の丘を軽やかに飛び越え、
  全体主義の旗の下をくぐり抜け、
  穏かな呼吸でたずねて来た。

  「ねえ、君、良い人に思われたいのかい?
  それとも、良い人になりたいのかい?」

  その瞬間、砲弾が炸裂した。
  硝煙の中に立ち上がった道化師は、
  焼け焦げた顔に微笑みを浮かべた。
  「その前に、自分は何者なのか、
  はっきりさせておきなよ。」
スポーツスター883R @八幡平市 撮影日2010年8月16日   

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