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イワテバイクライフ 2011年12月後半


2011年12月31日(土)
最高気温プラス4度1分(盛岡)。街の雪は音を立ててとけていく。水飛沫がキラキラした。ただ、岩手山は冬雲に覆われていた。



  わたくしは、
  大切なものを
  すこし先の未来に隠したのです。
  誰がどう探したところで
  見つからないのは
  そのためです。
  すっかりのんびり静かになったら、
  春の風から受け取ろうと、
  わたくしは
  ずいぶん前に
  本当の夢をこの地の未来に
  預けたのです。
HONDA Monkey @岩手山麓

2011年12月30日(金)
さらさらの雪がほんのり積って青空の朝だった。日中は曇ったりしたが再びの青空。暗くなって束の間の小雪。かろうじて真冬日は免れた。



  憂い無き時の流れを
  今日一日に堰き止め
  我身を沈めてみれば
  水面を染める色彩は、
  血の涙か薔薇の花か。
  深く沈む記憶たちよ、
  春の光が届く日まで、
  安らかに眠るがいい。
  新しい流れを夢見て。
HONDA Ape100 @岩手山麓

2011年12月29日(木)
終日灰色。均質に塗り固められた空は、ちりちりと小雪を降らせるだけで、無愛想な真冬日にしてみせた。(盛岡で最高気温・氷点下0度5分)



  壮大なドミノ倒しを目論むのなら、
  いつでも駒に触れられる者であれ。
  生真面目に駒を並べる者であれ。
  息を詰め、機を窺い、
  一日一日を並べる者であれ。
  倒すものを並べ続ける者であれ。
  指先ひとつの反乱者となるその日まで。
HONDA Monkey @岩手山麓

2011年12月28日(水)
いかにも雪を含んだ雲が、もやもやと、あるいは奔放に流れた。おずおずと陽も射したが、小雪に蹴散らされ、夕闇を迎えた。



  八百屋で大根を探したが、無い。
  店主にたずねると、
  大根よりカブがおすすめだと言う。
  いや大根が欲しいのだと押し返すと、
  店主は事情を明かした。
  「大根農家の態度が気に入らないので
  店に出す気はない。
  息子がカブの栽培を始めたので、
  地域の特産品にしたい。
  是非カブを買ってくれ」
  ということだった。

  何処にも似たような商売があるものだ。
HONDA ベンリィ50S @盛岡市 撮影日2011年12月25日

2011年12月27日(火)
最低気温・マイナス3度7分。最高気温・プラス1度6分。平年より緩いだって?とんでもない。冷気の質が違うぜ。



  それらの建造物は、
  威風堂々の佇まいだった。
  歴史の苔を纏い、重々しく、
  街の要所を占めていた。

  しかし、よく見ると、
  街に人影は稀で、
  夜には早々に灯が消えた。
  それでも、また朝になれば、
  例の権威だけが颯爽と肩を並べている。

  (町は、どうやって生きているのか)
  誰もが半信半疑だった。
HONDA Ape100 岩手山麓

2011年12月26日(月)
氷点下8度6分という最低気温の実感は薄かった。朝から青空ベースの一日で、プラス1度2分の有難さの方が大きかった。



  「こいつは
  かっとなると
  見境が無くなっちまうんだ。
  無礼があったら
  ま、大目に見てやってくれ。」

  番犬の使い方は、
  だいたいそんな感じだ。
  飼い主は、
  自分から吠えることはない。
 HONDA Monkey @岩手山麓

2011年12月25日(日)
雲間に濃厚な青空も見えた。幹線道路の雪もとけた。けれど暗くなれば結局「氷の世界」。



  明確な意志と明瞭な言語が
  時に面倒を引き起こす村においては、
  肯定は「ほほ〜い」とか
  保留は「むむ〜ん」とか
  否定は「ひひ〜ん」とか
  三パターンもあれば十分だ。
  達人になると「あ」とか「い」とか「う」とか
  一音の微妙なニュアンスで生きている。
HONDA ベンリィ50S @盛岡市

2011年12月24日(土)
もはや最高気温が氷点下であっても驚かなくなった。数ミリでも降雪量が減れば、それでよしとする。意に反して夕刻から小雪間断なく。



  どんな重大事も
  先に送り流すほか無い仕組みの正体は、
  全体が破綻し切ってから
  ようやく見えて来るものだ。
  原因も責任も、
  一切が手遅れになってから明かされる
  巧妙な仕掛けだ。
HONDA Monkey @盛岡市(中津川) 撮影日2009年12月23日

2011年12月23日(金)
岩手全体、この冬一番の積雪。日中は穏やかな青空もあり、それなりのクリスマス気分。



  降り積ったら、さあ、とける番だ。
  掴み取ったら、さあ、手放す番だ。
  頂に立ったら、さあ、転落の番だ。

  どちらも立派に雪だ、夢だ、道だ。
  潔く、粛々と進めよう。
HONDA Monkey @盛岡市

2011年12月22日(木)
一日、ちりちりと雪粒が舞った。それなりに街は白く染まったけれど、どこか湿った雪で、幹線道路を占拠する力は無かった。



  全体が右へならえの大騒ぎをしている時は、
  みんなと同じ方角へ顔を向けておくんだよ。
  みんなと同じ目付きや口調でいることだよ。
  みんなと同じ足取りで右往左往するんだよ。
  役に立たなくてもいいからそうするんだよ。
  足手まといにされても輪の中にいるんだよ。
  気持ちは明後日でも今日に身を置くんだよ。
  ちゃんと記録にだけは残る者でいるんだよ。

  (殊更に手柄を立てる必要はないけれど)

HONDA ベンリィ50S @岩手山麓 撮影日2009年12月21日

2011年12月21日(水)
この冬一番の冷え込み。最低気温・氷点下5度3分(盛岡)。空は青かった印象なのだが、すっきりした岩手山は遂にのぞめなかった。



  幸いなことに、
  人の世は更新されていく。

  昨日と無縁の者が現われ、
  屈託のない笑顔で挨拶する。
  澄み切った眼差しと
  偏見の無い心で
  話しかけて来る。
  明日を語り出す。

  嗚呼、何と言う爽快感だ。
  正気の風だ。
HONDA ベンリィ50S @岩手山麓 撮影日2009年12月21日

2011年12月20日(火)
陽射しもあったが、凍える街をとかす温もりは無かった。断続的に小雪が舞った。



  砲弾が飛び交う空のもと
  人は生きていた。

  札束が乱れ飛ぶ空のもと
  人は生きていた。

  悪魔の雨が降る空のもと
  人は生きていた。

  未来よ、
  そんな時代を語り継ぎ、
  どうか生き延びてくれ。
  (同じ空のもとで)
HONDA Ape100 @盛岡市

2011年12月19日(月)
最低気温・氷点下4度6分(盛岡)。午前中は小雪がちらついた。日も傾いた頃、空は開けた。

 

  こんな真冬の夕暮に
  人の気配の無い場所へ急ぐ。
  ひたすらに静寂の頂へ急ぐ。
  (それはね)
  思惑の無い雲の動きや
  企みの無い影の行方を見渡して、
  私が風に何を呟くのか、
  それを聞きたくて、
  そこへ急ぐのだ。
HONDA Ape100 @盛岡市

2011年12月18日(日)
うっすら雪化粧の朝。午前中は、暗い空に小雪が舞ったが、午後は眩しい青空が戻った。最高気温2度(盛岡)



  困難を前に、
  少し悩んでみせて、
  まっすぐ解決して、
  あっさり立ち直り、
  明るく歩いて行こうなんて、
  そんな筋書は目を背けたくなる。

  現実は一筋縄じゃない。
  鋼(はがね)の希望は、
  のたうって生きた果てに芽生えるのだ。
HONDA Ape100 @岩手山麓

2011年12月17日(土)
朝方は切れ味のある冬晴れだった。しだいに不透明になったが、まずは安定した空だった。最高気温1度3分(盛岡)。



  何事も無い日々にこそ、
  想像し準備する者でありたい。

  山岳の彼方を思え。
  海原の果てを思え。
  人間の奥底を思え。
  地球の深層を思え。
  時代の行方を思え。

  (事が起きる前に思い描け)
BMW HP2 @岩手山麓 撮影日2008年12月19日

2011年12月16日(金)
まあ、朝から陽射しはあった。けれど、最高気温は、やっとプラス0度5分。実感としては真冬日。 



  子犬が後ろ足で立てば、
  人は喜ぶ。

  子猿が逆立ちをすれば、
  人は沸く。

  子供が大人を演じれば、
  人は騒ぐ。

  (人は見世物が好きだ)
HONDA ベンリィ50S @岩手山麓

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