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イワテバイクライフ 2015年3月前半


2015年3月15日(日)
多少の雲はあったし、少し風は冷えていたが、まぎれも無い春の気配。大気の表情がほころんだ。最高気温7度1分(盛岡)。



  逃げ切った瞬間より、
  逃げ切れると確信した日々にこそ、
  笑いはこみ上げる。

  相変わらずの用心深さで辿る
  ビクトリーロードには、
  からみつく風さえ
  ほくそ笑む。

  それを噛み殺して走るところに
  腹の底をとかすほどの
  至福の沸騰がある。

  
@三陸沿岸

2015年3月14日(土)
及び腰の予報を嘲笑って、青空が広がってみせた。まろやかな陽光だったが、風はやや冷たかった。最高気温5度5分(盛岡)。



  でかい話を
  すんなり運びたければ、
  まずは一番辛辣で疑い深い眼差しを
  説き伏せることから始めよう。

  (一世一代の何とやら、だ)
@三陸沿岸

2015年3月13日(金)
朝から晴れた。が、一面の青空とはいかず、雲と折り合いながらの好日だった。思いのほかに道は乾いていた。最高気温5度(盛岡)。



  春三月は、
  何が降って来ようと、
  何がわき起こって来ようと、
  そっとしておけば、いい。

  雪はとけ、人は代わり、憂いは消え、
  花を待つ心だけが立っている。
@岩手山麓

2015年3月12日(木)
前日からの雪は夜を越えて降り続き、地上は冬の逆流に窒息状態。午後は時折の陽射し。それでも小さな雪粒が舞い続けた。最高気温0度9分(盛岡)。



  たかだか、去年の冬と比べて
  今年の冬を断じる。
  (通りすがりの声がする)

  寒さはどうだとか、
  降雪がどうだとか、
  それで、この地の冬は
  総じてどうだとか。
  だから、今年の春は、
  どうなるとか、ならないとか。

  いい気な声を聞き流し、
  大地に吸われた雪どけ水の歳月を追って、
  今日も森を彷徨う。
@岩手山麓

2015年3月11日(水)
あの日から4年の沿岸は曇り空。盛岡では前夜からの雪が想像を越えて降り積り25cm。最高気温マイナス0度3分。氷の風に銀世界は凍った。



  心底の安らぎは、
  必ず待っている。

  嶮しい旅の果て、
  じっと立っている。

  紺碧の海を背に、
  笑顔が振り返る。
@岩手県三陸沿岸 ※撮影は震災以前です。

2015年3月10日(火)
前夜の雨に洗われ春の準備か。強風を浴びて街は束の間乾いたが、午後には吹雪いたり青空がのぞいたり。めまぐるしい空。最高気温6度1分(盛岡)。体温を奪う冷たい風だった。



  どうにも許し難いことに対して
  怒りが煮えたぎるというのは、
  至極自然なことではないのか。
  何が何故許せないか、
  鮮明であるからこその心の動きだ。

  にも関わらず、
  殊更に怒りを抑え付けることを
  人間の熟度として謳い上げるのは、
  企みを平穏に進める為の方便か。

  詐欺師が、よく言うではないか。
  「ここは、ひとつ冷静になりましょう」。

  理と情の、どちらが欠けても
  リアルな力にはならない。

  (自重と去勢を混同してはならない)
@岩手山麓

2015年3月9日(月)
午前中は曇り空にかすかな陽射しもにじんでいたが、沿岸部では、昼過ぎには雨がぱらつき始めた。内陸の雨は夜になってから。最高気温10度1分(盛岡)。



  風がサイレンの音を運んで来る。

  「皆さん、警戒してください。
  不条理な夜が迫っています。
  それは繰り返し押し寄せて来て、
  そのたびに深い闇になるのです」

  そこまでラジオが叫ぶと、
  数発の銃声があって、
  電波は途絶えた。

  (そんな夢を見た)
@三陸沿岸

2015年3月8日(日)
思った以上の好天だった。盛岡では12度5分という破格の陽気だったが、沿岸北部は冷えた海風を浴び、10度に届かなかった。



  大きな旅を始めるのなら、
  出発点は大切だ。
  めざす所に向けて心が定まる場所だから。
  惜しみなく歳月をかけて準備しよう。

  悔いなく、憂いなき旅路のために、
  辿り着く日など忘れて、
  歩き出す瞬間(とき)を思い、
  準備しよう。
@三陸沿岸北部

2015年3月7日(土)
まあ、朝から青空の気配はあった。陽射しも力を持った時間もあった。けれど、主役は雲で、岩手山も曖昧なままだった。最高気温7度7分(盛岡)。



  そりゃあ、
  あれば、あった方が、いいさ。

  金も、清浄であればね。
  力も、大義があればね。
  誉も、中身があればね。

  殊更に求めない限りね。
@岩手山麓

2015年3月6日(金)
朝から望外の晴天。陽射しは強く、日陰の雪までとかし、昨日まで水浸しの街は見事に乾いた。最高気温8度3分(盛岡)。



  遥か彼方の恩人に
  その日、手渡すべき品があった。
  けれど、猛吹雪で列車は動かない。

  その夜、恩人の秘書を名乗る女が車で現れた。
  コートの隙間から
  「さあ、まだ間に合うわ」と告げる声は
  風雪に飛ばされ、夜は白く塗り潰されていく。
  ただ、女の瞳だけは鮮明で
  見つめるほどに、どこかで会った気がする。

  夢からさめて、思い出した。
  出会った日の君だ。
@岩手山麓

2015年3月5日(木)
朝方は青空が拡大し、岩手山も雲を払って聳えて見せた。午後には雲が巻き返したが、夕刻、青空蘇生。最高気温6度9分(盛岡)。



  墨を含ませた筆を持ったら、
  いいかい、よくよく考えなよ。

  ひとたび筆を紙に乗せたら、
  もう引き返せないのだから。

  (今日も正気のひと筆であれ)
@岩手山麓

2015年3月4日(水)
湿って重い雪が、まっすぐ落ちて来て、みるみる積雪20cm。自動車道では、ハンドルをとられて自損事故が多発。最高気温6度6分(盛岡)だから、積ったものも、とけて消えるばかり。



  遠ざかったはずの冬は、
  三月の雪となり、
  私に追いすがり、
  からみつき、
  けれど、積っていられるだけの力も無く、
  その重さで崩れ、
  膨大な涙となって
  山野を濡らし、街を洗う。

  (そのように四月が準備される)

@盛岡市

2015年3月3日(火)
それはそれは澄んだ青空だった。早春の空気だった。すくなくとも朝まではそうだった。午後には、陽光の記憶すら隠す曇天。最高気温4度9分(盛岡)。



  嘘を嘘と感じない精神。
  それが温和の象徴として
  重宝されるのか。

  世界の行方を変える程の嘘を
  従順に迎え入れ、
  時に弁護できる者こそが、
  中心を許されるのか。

  見え透いた芝居に
  時代は息を飲む。
@花巻市近郊

2015年3月2日(月)
盛岡は、そこそこの青空。昨日までの湿り雪も随分とけて乾いた。県北部では風も強く、所により吹雪いた。春への足並みは、まちまち。最高気温4度3分(盛岡)。



  居場所とやらを求めて、
  それぞれの道を決める。

  片道一時間。
  満艦飾の電車に揺られて
  辿り着けば、存続の理も無き群。

  片道30分。
  車の往来も稀な道を流して
  辿り着けば、大空一面に雲の群。

  (選ぶがいい)
@盛岡市

2015年3月1日(日)
ちりちりと小粒の湿り雪。合間に薄日も射したが、市街地で10cm近く積った。夜になって大粒の雨。雪はぐしゃぐしゃに崩れた。最高気温1度(盛岡)。



  良い子のお面はね、
  褒められたい一心。

  うまくいかなければ、
  ほら、すぐ鬼になる。

  (バレバレの時代だ)
@盛岡市

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