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イワテバイクライフ 2015年12月前半


2015年12月15日(火)
予報では、平坦な曇天の一日だったはずだ。ところが、少しではあったが、景色を照らす光や、希望をまねく青空があった。最高気温9度6分(盛岡)。



  それは、俺も知っている。
  それは、俺も持っている。
  それは、俺も考えている。

  そんなところで頑張って、
  どこかで見たような一生が
  終っていく。
@岩手山麓

2015年12月14日(月)
温厚と言いますか、柔和と言いますか、師走も中旬を忘れさせる晴天。日陰道の氷も、とけて流れ、キラキラ飛沫。最高気温9度9分(盛岡)。



  一途だけでは、
  息苦しくて、落着かん。

  執念だけでは、
  暗ら過ぎて、かなわん。

  理想だけでは、
  胡散臭くて、食えへん。

  (痩せた笑いが さざめくだけや
@八幡平市

2015年12月13日(日)
予報とは真逆の暗い朝だった。それでも昼前には青空めいて来たが、夜が近付くにつれて不機嫌な薄雲に覆われ、小雨に濡れた。最高気温6度5分(盛岡)。



  「私は、長い間、
  意識の岸壁に佇み、
  記憶を積んだ舟が辿り着くのを
  待っていたものだ。」

  この文章を未知の言語に翻訳するために、
  睡眠を切り詰めることになる。

  (そんな夢を見た)
@三陸沿岸

2015年12月12日(土)
師走も中旬に、この陽気は「何かの間違い」か「深刻な温暖化の現れ」。まあ、有難く頂戴しておこう。最高気温9度8分(盛岡)。



  踏み付けられた者は、
  氷を叩き割りながら春を求める。

  愛され育まれた者は、
  小春日和となって厳冬を楽しむ。

  それぞれの道程が、
  今日の空を見上げ、
  すれ違う。
@岩手県三陸沿岸

2015年12月11日(金)
寒くはなかった。降ってくるのは雨ばかり。師走にしては珍しく強い雨音。加えて強風。大荒れの一日。夜、山田線が崩れた土砂でストップ。最高気温7度8分(盛岡)。



  明日を書きかえるほどの事実は、
  一切が確定するまで、
  行方不明だ。


  (その事実に触れる者は、遂に現れない)
@岩手山麓

2015年12月10日(木)
かすかに冷え込みはゆるんだ。吐く息に白さと勢いが無い。日中は、まあ薄っすら曇り空。まれに青空のようなものが見え隠れ。最高気温5度8分(盛岡)。



  氷雪の岩手山麓。
  蒼天に巨大な白鳥が舞い上がる。

  私は雪原に転げ出し、
  夢中でシャッターを切る。

  羽ばたきは静寂を払って力強く、
  上昇の勢いは永遠のスローモーションだ。

  その一切を記録していると、
  白鳥は羽をたたみ、天空に浮遊し、
  私の目を見据え、呟いた。

  (あなた、氷山の気持が、わかる?)

  そんな夢を見た。
@岩手山麓

2015年12月9日(水)
鋭利な晴天だった。盛岡では放射冷却で氷点下5度5分の朝。この冬一番の冷え込み。日中は陽射しが「春」を含んで9度3分まで上昇。



  わたくしが、
  今日も至極あたりまえに
  わたくしであることに、
  あなたは苛立つばかりでしょう。

  何から何まで気に入らず、
  汚し、貶め、嘲笑いたいことでしょう。

  (それは自然なことだと思うのです)

  あなたの中に流れているものが、
  そうさせるのですから、
  仕方ないことです。
@岩手山麓

2015年12月8日(火)
完璧な晴天だった。天空に踊る雲もなく、視界は彼方まで鮮明で、厳冬寸前の幻覚の如き春だった。最高気温6度6分(盛岡)。



  眼前の小春は
  ありのままに抱きしめる。

  (でもね、それでもね)

  道のその先は、
  てんで信用しちゃいない。

  温もりのカーブのその奥に
  ほら、氷の世界が待っている。
@岩手県内陸南部

2015年12月7日(月)
晴れた晴れた。朝から青空、陽射し真直ぐ。幹線道路は乾き、融雪剤の痕が白かった。裏の日陰の氷もとけだした。最高気温6度2分(盛岡)。



  見透かすその目に
  ふるえるの。

  なのに変わらぬあなたが
  にくらしい。

  俺は、そんな男。
  お前は、そんな女。

  嗚呼、今宵も二人は演歌の酒場。
@岩手山麓

2015年12月6日(日)
晴れてはいたが、周囲の山並みには冬雲がからみ、裾野へ分け入れば、日陰道は氷の世界。最高気温2度9分(盛岡)。



  束の間、
  洛中の我が身を堪能できれば、
  どんな汗でも流してみせる。

  そんな気分をあてにして
  成り立つ洛外の商もある。
@岩手山麓

2015年12月5日(土)
脅されていた降雪もなく朝を迎えた。日中は穏やかな晴天だったが、夕刻には冬雲に包囲され、小雪が舞い、街は黒く濡れた。最高気温6度4分(盛岡)。



  今日、誰かを選び採った者は、
  明日、この地を捨てて都へ逃げ帰る。

  明後日、都を追われて来た者が、
  明々後日、件の誰かを切り捨てる。

  (凍土の上で、仕組だけが、くるくる回る)
@岩手山麓

2015年12月4日(金)
朝から派手な湿り雪だった。盛岡では夜を迎えて7cm。この冬初めての積雪。まあ、すぐ消えて行くだけの白さだろう。最高気温が4度6分だし。



  雪のようなものは、
  派手に舞ってみせても、
  道を埋め尽すことは無い。

  噂のようなものは、
  気紛れに騒いでみても、
  遂に心に刺さることは無い。

  眺めていれば、露と消える。
  聞き流していれば、鎮まる。
@盛岡市

2015年12月3日(木)
微塵の冷気も無い朝だった。なまぬるい霧の朝だった。その後も小雨まじりの曇天。夕暮れの頃、かすかに晴れ間がのぞいた。最高気温9度8分(盛岡)。



  そちらから、
  こちらを眺めれば、
  許し難いことばかりだろう。

  こちらから、
  そちらを眺めても、
  結局、同じことになるだろう。

  なのに、
  同じ岸に佇んでいるかのような
  綺麗ごとばかりだから、
  少しの違いにも耐えられないのだろう。
@岩手山麓

2015年12月2日(水)
盛岡の最低気温が氷点下3度6分など、岩手全体この冬一番の冷え込み。朝方の超快晴は、間もなく薄雲に覆われ、夕刻にはモノクローム。微かに雨の気配。最高気温7度3分。



  模倣の波に飲まれ始めたら、
  独自性とやらの総点検だ。

  オンリーワンであるために、
  本来、人は、どれほどストイックで、
  容赦なく身を削って来たことか。
  (片手間では無理な話だ)

  さあ、やり直そう。
  ひとつひとつを
  一本の道に捧げて
  築き直そうじゃないか。
@岩手山麓

2015年12月1日(火)
師走の出だしとしては上出来。青空には微笑み、陽射しには情け。風を浴びて舞う雲には精気。そして冬を進める山には決意。最高気温7度1分(盛岡)。



  人間が好きであろうと、なかろうと、
  人は皆、同じ空の下だ。

  手を取り合うもよし、
  手を借りぬも、よし。

  それぞれに構えを決めたら、
  春を迎えるその日まで、
  酒を酌み交わし歌声に揺れる輪となるも、よし、
  凍結の一夜を貫く孤独の鋼となるも、また、よし。

  それぞれが、
  それぞれに、
  同じ冬を越えていく。
@岩手山麓

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