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イワテバイクライフ 2016年11月後半


2016年11月30日(水)
朝の青空は急速に雲に覆われた。が、昼前には明るさを取り戻し、そこそこ穏やか。結局、夕刻前には変りようの無い曇天と化した。最高気温5度1分(盛岡)。



  カブト虫こわれた・・・
  記憶の底に流れる歌声を
  たぐり寄せれば、
  見覚えのあるビルに
  辿り着く。

  (ずっと昔、働いていた気がする)

  だが、人の気配は無い。
  そこへ通りがかるマスクの女。
  私は咄嗟に訊ねた。
  「此処は、今、大丈夫ですか?」

  女は、ゆっくりマスクを外すと、
  機械仕掛けの口が縦に割れ
  「カブト虫こわれた」と笑い出す。

  (今日も、青空ひとりきり)
@岩手山麓

2016年11月29日(火)
冷え切った青空に、もやもやと冬雲。山間部では風に雪がまじり、道は濡れた。冬の棘が鋭さを増した。最高気温5度7分(盛岡)。



  風を浴びる。

  つくりものではない風。
  今日の大地に
  自ずと巻き起こる風を浴びて生きる。

  時に胸板を突き飛ばされ、
  あるいは背中を押される。

  そのような旅の果てに
   人は、雄大な風になるのだろう。
@岩手山麓

2016年11月28日(月)
雲の移ろいは轟々たるもので、吹雪きと青空が隣り合う刻々の回り舞台だった、空気だけは妙に温和だった。最高気温7度8分(盛岡)。



  つまり、
  あの日、
  あなたは、
  たかをくくっていたんですね。

  ならば、
  そういう気分の息の根を止めてやろうと、
  今日も生きて風になるのです。
@岩手山麓

2016年11月27日(日)
曇ってはいたが、岩手山は中腹あたりまで見えていたし、稀に薄日はさしたし、そこそこだったけれど、夕刻の小雨は想定外。最高気温7度5分(盛岡)。



  どんな筆を持つか、
  どんな声を出すか、
  それぞれの自由だけれど、
  それが
  絵として、歌として
  認知されるかどうかは、
  別の話なのだと
  わかって来たよ。

  すべては、
  ひとつの狭隘な輪の了見次第だと、
  わかって来たよ。

  その落胆を飲んだ上で、
  今日も思いを走らせ、
  明日を描き続けることにこそ
  意味があるのだと、
  わかって来たよ。
@岩手山麓

2016年11月26日(土)
朝から晴れていたが、すっきりとまではいかず、冷え冷えとした蒼白い大気や光線の印象ばかりだった。最高気温6度6分(盛岡)。


  
  時の気持ちが知りたければ、
  さり気なく
  河に小石を放り込んでみる。

  ぽちゃんと音が立つか、
  どぼんと深く沈むのか、
  それとも
  波紋ひとつ立たないか。

  ひとつ、はっきりすれば、
  ほら、心も決まる。
@岩手山麓

2016年11月25日(金)
最低気温が氷点下4度4分(盛岡)なら、まずは当地らしい冷え込み。日中は曇りがちながら薄日もさし、5度前後だから、冬も序の口。



  無駄をせず、
  不正をせず、
  空騒ぎせず、
  謹厳実直に、
  黙々立直し
  先に備える。

  そんな当たり前のことが
  困難であるということは、
  とっくに手遅れなのか?
  むごい筋書が待つのか?

  (冷えた子守歌が聞こえる)
@北東北

2016年11月24日(木)
真冬並みの冷え込みらしい。確かに水溜りに氷が張り、分厚い霜柱を見た。それでも青空があれば全然平気なのだ。首都圏は11月の降雪で大騒ぎ。最高気温2度8分(盛岡)。



  あなたが
  とり続けてきた態度以上のものは、
  けして返っては来ない。

  風が変っても、
  鏡の世界は変らない。
@北東北

2016年11月23日(水)
冷えた青空に、白くもやもやと冬雲の跋扈。山へ近付くほどに、小雪が舞い、牧野は白く染まっていた。最高気温4度6分(盛岡)。



  何となくわかるような、
  よくわからないような.。
  それでいいんです。

  (でないと、大変です)

  めざすところは、迷宮。
  遥かな時の果て、
  すべてが終わったある日、
  真実が浮かび上がるようなお話です。
@岩手山麓

2016年11月22日(火)
朝の地震、そして津波。そんなこんなで街から出られず、空も見上げず。夜には小雨が降っていた。最高気温16度2分(盛岡)



  高さの恐怖は、
  梯子を外されて
  初めてわかる。

  願望にも似た眺めに
  浮かれていると、
  その高さは
  ひときわ、だ。


  ※画像は前日撮影
@北東北

2016年11月21日(月)
朝から晴れたって、青空とは言い難い冷えたスクリーンだ。おまけに北へ向うほど、陽射しは遠のき、風に冬の棘。最高気温10度1分(盛岡)。



  遠い昔のまんま、
  見覚えのある男が、
  横柄な物言いで
  杜撰な段取りを告げている。

  黙って聞いていた私は、
  にわかに書類を破き、
  「私には無理だな。では失敬するよ」

  そこで夢から覚めても、
  特段の感想は無かった。

  もはや、実際、
  そんなものだから。
@北東北

2016年11月20日(日)
昨日の雨が乾き切らないまま、束の間、曖昧な空から水滴が舞った。かすかな明るさは、明日の好天の兆しか。最高気温15度6分(盛岡)。



  街は
  縦軸と横軸で
  描かれていくけれど、
  そこに染みつく歳月の濃淡は、
  ついに語られることはない。

  枯葉一枚の色に
  言葉を尽す者が
  稀であるように。
@盛岡市

2016年11月19日(土)
街は朝から濡れていた。強い雨ではなかったけれど、遂に乾くことのない一日だった。大気の熱の著しい衰退。最高気温6度1分(盛岡)。



  もし、監視すべきものがあるのなら、
  日々の行間を追うことだ。
  そこに漂う呼吸を読み取ることだ。

  ごく、たまに巡回する程度では、
  何が起きようとしているのか、
  けして、わからない。

@盛岡市

2016年11月18日(金)
放射冷却で朝は冷えたが、その後は、すかっと青空、小春日和。どこか得した気分。最高気温12度1分(盛岡)。



  ありがとう
  そのひと言も無い場所にこそ
  愛の手を。

  (断末魔に立ち会う覚悟)
@岩手県

2016年11月17日(木)
曇は、やがて所々途切れ、陽がさしたり かげったり。脆弱な青空の印象など、冷えた風に飛ばされた。最高気温8度2分(盛岡)



  鬼の正体を暴く。
  誰もが、そこに正義を信じる。

  ところが、
  その行為は、
  何故、鬼は生れたのか、という問いをまねく。
  誰が、鬼を出現させてしまったのか。
  それに触れられたくない人々がいる限り、
  百鬼夜行は終らない。
@岩手県

2016年11月16日(水)
朝から晴れた。大きな青空だったが、時折、得体の知れない雲の影が街を飲んだ。冷たい風ではなかった。最高気温8度6分(盛岡)



  「ねえ」と
  風が誰かの名前をささやいた。

  「ねえ、
  あなたの最後の一日の理由が、
  何だか、
  とてもよくわかった気がします」

  その言葉を受け止めようと
  日溜りの中に佇めば、
  街は悲しいほどの鮮やかさで
  音を失ったのです。
@盛岡市

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