カブトラ宣言

第1回カブトラ 2005年10月29日(土)




「おおっ〜行った。クリーンだあ」

枯れ葉舞う安比高原に歓声が上がりました。
小さな単車が黒土の起伏を乗り越える度、「行けるんだ」「出来るんだ」と心が躍ります。
排気量が100ccにも満たない力が、想像を超えた楽しさを見せつけた瞬間でした。


1時間目は「講義」です。


  「風花が舞っていたよ」と
  冬の気配を匂いとって講師は登場しました。
  ペンション「ウイングライト」で
  珈琲とケーキをいただきながらの基礎講座。
  講師は、万澤安央さん。
  イーハトーブトライアルの大会会長から、
  カブトラ実施についてのアドバイスを頂く時間。
  ところが、さすがというか、やはりというか、
  トライアルにとどまらず、
  日本の教育者についての話に始まり、
  多彩な万澤さんの世界が炸裂したのでした。
  気を取り直し、
  「タイヤの空気は抜いてトライすべきですか?」との
  私の質問に「やめなさい。はずれるよ」とキッパリ。
  勉強させていただきました。
  


記念すべき日の仲間


  八幡平市からぼんずさん(左)
  盛岡市から柴太郎さん(右)です。
  私も含めて総勢三名。
  どんなことでも、そうですが、
  開拓初日は、静かなものです。
  拓き、耕して、種をまき、実り、
  やがて、人は集うのです。
  第一歩に必要なものは、
  屈託の無いこの笑顔です。

  三馬力ツーリングで生まれた絆ですが、
  私にとっては百人力です。
  また、心から応援してくださった
  クマゴロウさん、AMAさんにも感謝いたします。

  しかし、柴太郎さんのスーパーカブ、
  ロングディスタンス仕様のオーラを放っています。


2時間目、さあ挑戦


おお〜、万澤さんがトラ〜イ。模範演技〜。
いやあ、さすがアグレッシブです。
惜しくもクリーンならず。
だから、楽しいカブトラです。


あの〜、こんなに楽しそうな万澤さん、
イーハトーブトライアルでも見たことないんですけど。
ね、イッシーさん(中央)。


「いいかい、この岩の処理はね・・・」
本格的な走行ラインを ぼんずさんに指導する万澤さん。
「楽しむ時ぐらい真剣に」という氏の思いが
伝わります(感謝)。

驚きました。感激しました。
あのイーハトーブトライアルの舞台に
セクション(競技区間)が設定されていたのです。
しかも絶妙な優しさと厳しさで。
カブトラのイメージするものを
見事に掬い取ってくださったのは、
イッシーさんです。
イーハトーブトライアル・ネリクラスを誕生させた
氏ならではの心遣いに感謝です。


なるほど、これがカブトラか

三馬力ですから当然エンジンパワーはありません。
状況に応じたスロットルワークがものをいいます。
傾斜地を駆け上がる際は、助走の距離を確保するライン取りと勢いが鍵。
低い車高ですから、排気管やステップが、小さな岩や切り株に接触しやすいのです。
ラインの選択はシビアになります。
ハンドルが切れる角度は、そこそこあります。これは、武器です。
でも、小さな車体にスタンディング(ステップに立つこと)するのは、思いの外に難しいものです。
後輪に体重を掛けるように乗りたいのですが、
ともすると、熊の曲芸のように、前方へ覆い被さるスタイルになりがちです。
わずかでも、軸をはずれるとバランスが崩れます。
車体を傾かせてリーンアウトで小さく旋回するのは、慣れが必要です。
状況によっては、シートに腰をおろし、どかっと後輪に荷重をかけるスタイルも、ありでしょう。
難しく考えないことにしました。



さて、順調なスタートを切ったカブトラですが、
いきなり、やってくれました、ぼんず氏が。相当良い感じです(上から第2列目の写真)。
初めてのトライアル(ごっこ)なのに、ラインを読み、挑み、修正して、再び挑むのです。
正しくトライアルをしているのです。
クリーンの連発に万澤さんから「センスあるよ〜」とお褒めの言葉が飛び出しました。
私はといえば、
「目前の障害の更にその先に目線を送れ」「空間を広く使って助走の角度と勢いを確保せよ」
イーハトーブトライアルと寸分違わぬ助言を頂き、お遊び気分も吹き飛びました。
この本気モードが、いいじゃありませんか。



3時間目、その前に


安比高原で、トライアルごっこの基礎に触れた僕ら三人は、
万澤さん・イッシーさんに別れを告げ、聖地・七時雨へと向かいました。
何と言ってもイーハトーブトライアルのスタートゴールです(写真・左 8月28日撮影)。
この緑の草地でカブトラなど、夢のまた夢、と思っていたのですが、
何と、実現してしまったのです。
カブトラ「七時雨ステージ」が・・・(感涙)。

七時雨山荘の立花さん(上・中央)は、イーハトーブトライアル実行団のお一人です。
カブトラの企画に、快く敷地を使わせて頂けることになりました。
立花さ〜ん、感謝感激で〜す。


で、トライの前に七時雨山荘で腹ごしらえ。私は七時雨ラーメン(上・右)と熱い珈琲です。
セクションのすぐそばにクラブハウスがあるようなものです。
いいですねえ。この環境。



挑め強者たちよ・・・。


二つの七時雨セクションを並べてみました。
上の写真(左)はイーハトーブトライアルのセクション。(右)は、カブトラのセクションです。
草地の片隅にある傾斜と岩場ですが、
ほぼ、イーハトーブトライアルのセクションに隣接した形でコースを設定しました。
そうなんです。
私、セクションづくり初体験なんです。
ホ−ムセンターで調達したプラスチック製のペグ(杭)を地中に打ち、
クボトラの米澤さんからお借りしたコーステープを張りました。

記念すべき「第一作」のセクションは、傾斜地に三日月を描くようなものになりました。
降り出した雨の中で、競技開始です。



  入り口と出口には、角度と傾斜がついています。
  柴太郎さんはスムーズなリーンアウト走行ですね(上・左右)。
  モトクロスで鍛えているだけあって、さすがのトライです。

  最大の難関は(左・横)です。
  小岩を避けながら左ターンから即この傾斜を上ります。
  折からの雨で、ぬるぬるの黒土が露出しています。
  ぼんずさんも足を着いてしまいました。
  私は、ターンする時に体を後方に残し、
  腰を意識的に外側へ運び、
  斜面に正対する構えを作り、
  じわ〜とグリップの感触を手に包み込むような
  スロットルワークで、何度かクリーンできました。
  けして大きくエンジンを回す必要はありませんでした。
  カブのエンジンの粘りを再認識させられた次第です。

  しかし見よう見まねで作ったセクションでしたが、
  相当楽しめました。

文句なしの生涯スポーツ


そう言い切れる楽しさでした。
小さく非力な愛機をライダーがバランスさせ難関の出口に導く。
その困難と痛快は格別でした。
オートバイを駆使するスポーツは多岐に渡りますが、
日常のライディングと、これほどフレンドリィーにつながるスポーツは、めったにない、と感じました。
2006年の春に向けて、
さあ、あなたのカブトラ計画を聞かせてください。




以上、暫定の報告です。

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